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●●E-ZEUSのQ&A※一部旧型E-ZEUSの内容が混在していますがご了承願います。

★E-ZEUSとはどんな装置ですか?

ほとんどの赤道儀に装着でき、日周運動の200〜800倍の高速回転が可能なモータードライブ装置です。オートガイダーの端子も装備しています。モータードライブとして使うだけでも価値がありますが、パソコンを接続すればプラネタリウムソフトの星空画面から様々な天体を自動導入できます。

元々は誠文堂新光社・『月刊天文ガイド』のTaさんが在職中に部品頒布を伴った工作記事として企画したのですが、内容が高度になったことと部品頒布が中止されたために、完成品の型で世に出ることとなり、当社が支援して窓口を承っています。

元々が雑誌の企画であったため非常に安い価格で供給されますが、40〜50万円の値打ちのある装置です。

 

★パソコンが無くても使えるのですか?

自動導入や制御はパソコンをつないでプラネタリウムソフトで行ないます。パソコン無しの場合は、高速(日周運動の200〜800倍 変更可能)、中速(日周運動の10〜30倍速)、微速(ガイド撮影用 外付けボリュームで変速)の3つの速度をもった高性能なモータードライブ装置となります。ST4などのオートガイダーもつなげます(スピード調整付き)。

どんな赤道儀にも装着可能な汎用モータードライブ装置とだけ考えても、非常に高性能な装置です。

 

★プラネタリウムソフトは何が使えますか?

SUPER STARWとYoc(ようくん)の作者がE-ZEUS計画に参画され対応しています。

特殊な制御をしているため、今のところはこの2つのソフトしか対応していないことがE-ZEUSの最大の欠点となっています。

しかし、SUPER STARWやYocは赤道儀の制御に主眼をおいた便利なソフトです。SUPERSTARWは日本よりも海外で認められた使いやすいプラネタリウムソフトで、E-ZEUSの他にも世界中の様々な赤道儀に対応しています。当社では「パッケージ版」を販売しています。

 

Yocは、ドイツ型赤道儀、フォーク型赤道儀、経緯台にも使用でき、ドイツ型の場合は子午線通過時に「鏡筒を反転させますか?」と聞いてきて、反転させる場合はいったん北極星に向いてから自動導入を開始する実用的な設計です。エラー補正導入、モザイク撮影、移動天体の追跡もできるE-ZEUS専用ソフトでフリーウエアです。こちらは観測派の人にお勧めです。

 

SUPERSTARW(谷藤賢一さん作)シエアウエア \12,000-

       http://www.now21.com/superstar/

Yoc  (瀬戸口貴司さん作) フリーウエア

       http://www7.ocn.ne.jp/~set/Yoc/Yoc.html

 

★USB端子で使えますか?

E-ZEUSUよりUSBにてパソコンへの接続を可能にしました。

以前のE-ZEUSにつきましてはUSB-RS232Cシリアル変換器を用意致しました。(販売価格\3,150-)。いくつかの変換アダプターをWindowsXPで試したところ動作確認が出来ました。しかしOSやパソコンの種類によっては動作の保証は出来ませんのでご注意下さい。

 

●●E-ZEUSの装着について

 

★どんな赤道儀に装着できますか?

移動用の小型から公開天文台の大型まで、ほとんど全ての赤道儀に装着可能です。赤道儀にモーターを取り付けさえすれば使用できるからです。

E-ZEUS標準パッケージでは、3種類のモーターを使い分けることで、小型から30cm用赤道儀クラスまで対応しています。それ以上の大型赤道儀には、パワーのある上位モーターを適宜採用することによって、公開天文台などの大型赤道儀でも動かすことができます。

標準パッケージはE-ZEUSU本体、モーター、装着料金込みの価格です(特殊な場合は、実費をいただくことがあります)。標準パッケージのモーターは、オリエンタル製2相ステッピングモーターの中からPK223(小)、PK243(中)、PK264(大)を適宜装着して出荷します。赤道儀本体を弊社までお送りください。

 

★赤道儀を送るときの注意事項は?

赤道儀の状態を見てから、ご希望をお聞きして個々にモーターの選択や装着法の設計をします。基本的にどのような状態でお送りくださっても対応できます。

お使いのモータードライブ装置の部品やケーブルなどがありましたら、一緒にお送りいただければ、それらを利用してよりスマートに装着できる場合もあります。

また、ウオームホイールの歯数など、おわかりになる範囲でおしらせいただけると助かります。

 

★30cm用赤道儀に装着したいのですが?

30cm用クラスから上の赤道儀が分かれ目で、メーカーの設計思想の違いから、赤道儀ごとにモーターに必要なパワーが大きく異なります。あるメーカーは標準パッケージのモーターで対処できますが、あるメーカーは何倍ものパワーが必要で上位のハイパワー5相ステッピングモーターと専用ドライバ回路を投入する必要があります。

標準パッケージのE-ZEUSで対応できるかは、まずはメーカーによって異なるのでお問い合わせください。個体差もあるので下見が必要な場合もあります。

ハイパワーモーターが必要な場合は、5相ステッピングモーター仕様で別途お見積もりをいたします。

なお、据え付け式赤道儀の場合は、E-ZEUSをピラーに組み込むこともできます。

 

★赤緯軸が部分微動の赤道儀には装着できませんね?

赤緯がタンジェント部分微動などの赤道儀(主に五藤光学や三鷹光器の旧製品)には、弊社オリジナルの「全周ウオームホイールユニット」を装着してE-ZEUSをお使いいただけます。鏡筒と赤道儀の間にうまく装着できるように、お使いの赤道儀に合わせて設計しますので、お問い合わせください。

 

★モーターを自分で装着したいのですが?

これは歓迎いたします。モーターの選択や装着はなかなか難しいものですが、ご自分で装着できるユーザーには、モーター無しのパッケージ(160,000円)もご用意しています。

オリエンタルモーターは個人でも通販で購入できます。標準パッケージ用なら2個で40,000円くらいです。装着に際しての情報提供やお手伝いはさせていただきますので、がんばって装着してみてください。大型の赤道儀ほど容易です。

 

★現在赤道儀についているモーターは使えますか?

E-ZEUSは、赤道儀用には唯一無二と言っても過言でない高価なオリエンタル製のモーターを採用することによって、高性能を達成しています。古いステッピングモーターや小型赤道儀用の安価なPM型ステッピングモーターには使えません。また、オリエンタル製と類似のモーターでもトラブルの元なのでお勧めしていません。

E-ZEUSと同様なモーターを採用している赤道儀はタカハシの最新版Temma2などわずかです。その場合には、そのままE-ZEUSをつなげば動きますが、自動導入のスピードなどに多少の制約が生じます。詳しくはお問い合わせください。

 

●●実際の使用について

 

★導入精度はどのくらいなのでしょうか?

たとえば、当社に展示中の五藤光学MX-U赤道儀の極軸は1回転につき5142800ステップで駆動し毎ステップを狂いなく読み取っていますので、導入精度は数字の上では1ステップ相当の「0.25″」という驚異的な精度になります。

しかし、E-ZEUSはオープンループ制御ですから、赤道儀のウオームホイールや各ギヤのバックラッシュ、また赤経軸・赤緯軸・鏡筒の直角誤差などで導入精度は悪くなり、多めに見て2′〜10′の精度になります。これは赤道儀によってずいぶん変わります。

 

★自動導入のスピードはどのくらいですか?

E-ZEUSは赤道儀によって使用するモーターを選択し、E-ZEUSの設定を適宜にしてから出荷します。モーター特性やギヤヘッド、赤道儀のウオームホールの歯数や伝達ギヤ比、恒星時の駆動周波数(pps)、その赤道儀が高回転に適しているか、などによっても自動導入の設定スピードは変わります。おおむね日周運動の200倍速〜800倍速程度です。使用目的によって変更できますのでご相談ください。

 

★DC12Vでも使えますか?

DC24V(付属のスイッチング電源)仕様のE-ZEUSを、カーバッテリなどのDC12Vで使うことは自動導入時のパワーが低下して脱調を起こすのでお勧めしていません。

どうしても12Vを使用する場合は、E-ZEUS本体の内部ボリュームVR1(赤経)とVR3(赤緯)を回して自動導入の速度を落とし、脱調の起こらない速度にしてください。およそDC24V時の60%程度の速度になります。遠征時にはそのようにしてお使いのユーザーもいらっしゃいます。

昇圧型のDC-DCコンバータを使用して、DC12VをDC24Vに変換して使用する方法もあります。この場合は、24V50W程度のDC-DCコンバータが適しています。

カーショップなどで入手できるAC100Vコンバーターを用い、付属のDC24Vスイッチング電源を使用するのも変換効率は悪いですが手軽な方法です。この場合は100V60W程度を使用してください。

 

★1台のE-ZEUSを他の赤道儀に使えますか?

可能です。実際に複数の赤道儀にお使いのユーザーもいらっしゃいます。

E-ZEUSは、日周運動の駆動周波数をユーザーが設定できるようになっています。したがって、E-ZEUSのモーターを装着した赤道儀用の周波数に設定し直し、モーターの回転方向やプラネタリウムソフトの設定を変えれば、問題なく使うことができます。E-ZEUS独特のお得な活用法ですね。

 

RS232Cの無いパソコンでも使えますか?

E−ZEUSUではUSB接続きが可能になりました。

以前のE-ZEUSの場合につきましては、ノートパソコンなどでは、E-ZEUSなどの制御機器をつなぐRS232C端子が無い製品も多くなっています。

その場合は、「USB→RS232C」または「PCMCIA→RS232C」の変換アダプターでつないでみてください。ほとんどの場合は動きます。

しかし、これらは信頼性に難があるので確実に動くことを保証はできません。お使いになる場合は自己責任でお願いします。できればRS232C端子のあるパソコンを用意してください。

 

●●その他の技術情報

 

★エンコーダは使っていないのですか?

E-ZEUSはエンコーダを用いないオープンループ制御のため、モーターを取り付けるだけであらゆる赤道儀に簡単に装着できることが特長です。

赤経・赤緯軸にエンコーダを装着したクローズドループ制御の赤道儀は、公開天文台の大型機にはよくありますね。ただし、原理の上ではクローズドループ制御は正確なはずでも、研究者用の特殊な赤道儀を除いてはエンコーダの分解能は、赤経・赤緯軸1回転につき数千〜1万ステップ程度で、ギヤを介して装着していることがほとんどです。1万ステップのエンコーダをバックラッシュのない(ギヤのない)方法で装着しても読みとりの精度は2′以上となり、実際の導入精度はE-ZEUSのオープンループ制御とほとんど変わりません。

 

★オープンループ制御とは?

機器を制御(この場合は赤道儀)するとき、位置や状態を(エンコーダなどで)読みとりながら制御することを「クローズドループ制御」といいます。これに対し、状態を読みとらずに、一方的な制御することを「オープンループ制御」といいます。

じつは、E-ZEUSは完全に一方的でな制御ではなく、モーターに信号を送る回路までは状態を読みとっていますので、本来の意味のオープンループとは異なる「セミ・クローズドループ」ともいうべき方式です。信号に応じて正しく回転する高価なステッピングモーターを採用したからこそ可能な手法です。

 

★オープンループで大丈夫ですか?

赤経・赤緯軸の回転を直に読み取るエンコーダは、クランプを緩めて手で回しても制御できるという大きなメリットはありますが、これはモータを高回転させられなかった時代の話で、現代では必要ありません。

自動導入赤道儀はクランプを緩めて手で回す必要がないため、最近の各社のエンコーダは赤経・赤緯軸に直づけしないで、モーターに付けたり(ビクセン)、ギヤ段に付けたり(ミード)、ウオームスクリューに付ける(タカハシ)のが主流になっています。E-ZEUSUと同じオープンループですが「セミ・クローズドループの一種」といえます。公開天文台の大型赤道儀も、新しいものは同様な制御になっています。

 

★日周運動の周波数を出来るだけ細かくしてもらえますか?

このお問い合わせが多いのには驚きました。もちろんご要望に添った細かい(高い)周波数に設定することは承ります。しかし日周運動の周波数は、40pps以上であれば高倍率でもなめらかに追尾するので問題はありません。

このようなお問い合わせが多いのは、PM型のステッピングモーターをマイクロステップしたり、振動の多いモーターを使ったり、チャタリングが生じる回路やモーターによって日周運動をスムーズに追尾できなかった苦い経験によるものだと思います。E-ZEUSはご心配には及びませんので、通常は40〜100pps程度に設定しています。

 

★マイクロステップとはどんなものですか?

時計の秒針のようにカクカクと動くステッピングモーターの1ステップをさらに細かいステップに分割し,スムーズに回転させる駆動方式です(天文ガイド2007年5月号に解説があります)。E-ZEUSは8分割と16分割のマイクロステップを適宜選択して出荷します。

これは非常に微妙な駆動方式で、モーターによってはマイクロステップの間隔が均一になりません。様々なモーターをテストして、オリエンタル製のハイブリッド・ステッピングモーター(の一部の製品)が使用に耐える唯一無二のモーターであることが判明し、E-ZEUSのモーターに採用しています。

 

●●技術情報のまとめ

 

E-ZEUSの開発スタッフの人たちは、モータードライブ装置の開発に30年以上も関わり、日本の技術をリードしてきた人たちです。E-ZEUSの開発ポイントをインタビューしたので下記に示します。

 

(1)小型から中型の赤道儀に使用されている安価なPM型ステッピングモーターは、巻線抵抗の変更や電圧アップなど、いかなる手段を投入してもマイクロステップが均一にならない。100〜300ppsの細かな駆動をしても、1ステップで大きく動いてしまうことがあるので、実際には10pps程度の分解能ということも珍しくなく、惑星を高倍率で観察するとフラついているのが分かる。

 

(2)高価なハイブリッド型ステッピングモーターでも、マイクロステップが均一にならないことが多く、使用に耐えるのはオリエンタル製品の一部だけである(構造の違いによる)。

マイクロステップ駆動を研究すると、最終的にはオリエンタル製のモーターに行き着く。

 

(3)ステッピングモーターを通常の駆動をすると、カクカク動く節度がはっきりしているため、それが原因で赤道儀に振動が伝わって視野が振動することがある。マイクロステップは、ステップの節度がそれほどはっきりしていないので振動が起きにくくスムーズで、この意味でも赤道儀の駆動には適している。

 

(4)ステッピングモーターの高速回転の上限はモーターの応答周波数(pps)で決まってしまうので、高速回転を上げる場合は恒星時駆動のppsを少なくすればよい。そのため以前は恒星時駆動周波数を8〜16ppsまで下げた製品もあった。これでは高倍率時に視野が振動するのは当然で、「日周運動の周波数を出来るだけ細かくしたい」という希望は、恒星時駆動周波数の低い製品を使った経験によるものではないか。

 

(5)ステッピングモーターは、いきなり高速回転させると脱調して回らなくなるので、最初はゆっくり、中間でスピードアップして、最高速付近で再び非常にゆっくりスピードアップさせる必要がある。このスローアップ駆動を司るのが「アナログ式外山回路」。通常はアナログでなく「台形駆動」や「階段駆動」をするため、自動導入のスローアップがガクガクしてスムーズに回らない。つまり脱調を伴って回るため、導入の精度も狂う(認識できるほど狂うかどうかは別問題)。

E-ZEUSのスローアップは驚くほど静かに回るので、現物を見た人は最初はこのことに驚く。

 

(6)E-ZEUSの成功の元は、

○高価なオリエンタル製ステッピングモーターの投入

○アナログ式スローアップ外山回路の投入

○様々な設定変更とモーター交換であらゆる赤道儀に対応

※標準パッケージは、30cm用赤道儀程度まで対応のモーターとドライバ(内蔵)を揃えたシステム。それ以上の大型赤道儀用は、E-ZEUS本体はそのままで、上位の5相ステッピングモーターや、さらに上位のリスクマイコン搭載の脱調レスモーターを採用する。

 

(7)E-ZEUSの効果的な利用法

1980〜90年代には小型から大型まで優れた赤道儀が数多く生産された。その後の自動導入化は、予算の多い公開天文台用や大量生産品で実現したが、ハイアマチュア向けのメーカーは撤退や淘汰または自動導入化されないまま現在に至る。E-ZEUSはこのような「古いが優秀な赤道」に装着するのが最も効果的で赤道儀が生まれ変わる。大型ほど費用対効果は高い。

 

★保証について

 

E-ZEUSの保証については、保証書は付いていませんがご購入後から1年までの故障は無償修理致します。1年を超えた場合は有償になります。

無償修理は正常な使用状態での場合に限ります。

 

次の場合は有償になります。

 

1.使用上の誤り、落下、衝撃による故障及び損傷の場合。2.火災、浸水、地震、落雷、等による天災地変による故障の場合。3.異常電圧による故障。4.修理、改造、分解などによって故障した場合。

尚、修理品の送料はお客様にて、ご負担願います。

 

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