現在グランプリが開催されているサーキットで、1990年代のリタイヤ理由の特徴を見てみましょう。棒グラフの出現順は、1999年の開催の順番です。
事故発生率が飛び抜けて高いのは、モナコのモンテカルロ市街です。ガードレールに囲まれて狭く、抜き所がないためでしょうか。これに続くのが、モンツァ、鈴鹿、ハンガロリング、イモラです。抜きにくい上にシケインで追突という例が多くなっています。
逆に少ないのが、シルバーストーン、ホッケンハイム、ニュルブルクリングです。ちょっと意外な感じもしますが。
エンジンに過酷なのは、イモラとモンツァのイタリアン・サーキットです。続くのがA1リングとホッケンハイム。
高回転数と長い全開率を要求されるコースはエンジンにきついようです。
逆に、最もエンジンに負荷がからないのはモンテカルロです。やはり低速(低回転数)ですからね。
インテルラゴスは後半部分の全開率が低いです。ハンガロリングとニュルブルクリングは低回転数のためです。
最もギヤボックスに過酷なところは、やはりモンテカルロですね。1レースで3,000回のシフトチェンジを要求されますからね。
続くのは、イモラ、インテルラゴス、アルバートパーク。あれ、なんか序盤戦が多いですね。それにシーズンが進むにつれて減っていくみたいな。
ギヤボックスに関しては、ニューマシン特有のトラブルで、熟成するにつれて解消されるというところのようですね。
シフトチェンジの少ないはずのホッケンハイムが多めなのはよくわかりません。
なお、97年から復活したA1リンクは、まだギヤ系トラブルが1度もありません。
ブレーキに厳しいのはアルバートパーク、モンツァ、イモラといったところです。カーボン・ブレーキは高性能ですが、一定の温度以上に上がらないと効きません。高速走行で冷えてしまい、ブレーキを効かせるために長い時間ブレーキングします。そうすると今度は磨耗するといった具合です。
逆に、エンジン・ブレーキを多用してブレーキディスクの負荷を減らせるサーキットは、インテルラゴス、カタルーニャ、スパフランコルシャンです。
サスペンションのトラブルが最も多いモンテカルロは、ガードレールへの接触によるものです。サスペンションは、ガードレールや縁石にぶつかる前提では設計しておらず、そういうことに耐えられません。
インテルラゴスは、最もバンピーなコースで、サスペンションに影響を与えます。
モンツァは縁石でしょうか。3つのシケインの縁石通過が難しいサーキットといえます。似たようなタイプのホッケンハイムはそうでもないようです。
(参考:F1倶楽部誌24号「特集・グランプリ・サーキット」)