skkを普及したい


とりあえず書いてしまった、というか、skk勧誘ページは前々から書いたり消し たりしてたので、その残骸をかきあつめてみた。全然推敲してない。

SKKとは、Simple Kana to Kanji conversion programの略です。

つまりは、仮名漢字入力ソフトである。強烈である。私は完全にskk信徒となりました。 昔のemacs20ではこれしか使えなかったんでしかたなく使い始めたのですが、現在ではこれなしでは日本語を書くのがストレスになります。

多くのInput Method(IM)の、「辞書や文法解析を賢くすることで長い文章を一括変換できる」、という方針とは逆の方式を取っている。「できるだけ短かく変換すれば、人間が思っている通りに変換できる」、という方針である。

多分、まともに日本語を書いてる人なら、どんなに利口なIMを使っている人でも、変換の長さはどんどん短かくなっていくのが普通だと思う。SKKはそれをさらに押し進めたような感じだ。

IMが馬鹿でこまってる人。IMに漢字を押しつけられたり日本語の使い方を注意されるのに疑問を感じはじめた人。自分の言葉を使いたい人。emacsのキーバインドが普通に使える人、SKKがお勧めです。


SKKのいいところ。 SKKの悪いところ。

ということでskkを使いましょう。

うちの研究室のhet人なら、.emacs
(load-file "/usr/local/het/lisp/dot.emacs.skk")
と書いて、
cp /usr/local/het/dot.skk ~/.skk
すれば使えます(Cannaと共存もまったく問題なし)。

まず、M-x skk-tutorialで練習して欲しい。
始めはあまりに今までと違うので面喰らうが、すぐ慣れる。
(チュートリアルが結構長いので、送りあり変換あたりまでやればまず使用には十分)。

とにかく1,2週間、文句たらたら言いながらでも使ってみて欲しい。
それでだめなら使うのをやめるまでだ。なんでやっと慣れたキー操作をやめて 新しい操作法をわざわざ学んで、、、とかブツブツ言いながらでも、きっとそ れに見合う見返りはある。多分、1,2週間もすればCannaにはもちろん、売りもの IMにすら戻れなくなる。

それは慣れの問題、と言うよりも、SKKの方があきらかに日本語で自由に考え、 自由に書けるからです(少なくとも私にはそう思えた)。

一応キーバインドだけ書いとこうか(私はこれだけしか使ってない)。

C-x C-j  SKKスタート/終了
q        カタカナ直接←→ひらかな直接
l        ASCII(半角英数)ABC
L        全角英語ABC
C-j      ASCIIや全角英語から日本語へ戻る
スペースキー ▽モード中なら漢字変換 

ひらがな入力     →小文字で普通にローマ字入力。
漢字の始まり     →大文字。Kannji[スペース]→漢字
送り仮名の始まり →大文字。OkuRi→送り
大文字で始めてqを押すとカタカナ変換。Katakanaq→カタカナ
間違えて変換キーを押し登録モードになった、何も入れずに[Enter]で戻る。
漢字候補リストで行きすぎた時、xで戻る
何にせよ困った時はmuleのいつもの C-g

      スタート

       ↓↑ C-x C-j

     ひらがな         ← q →  カタカナ直接

l↓↑C-j   L↓↑C-j

ASCII      ABC123(全角)

漢字の開始、送り仮名の開始は大文字。
Kannji□noKaisi□,OkuRiKananoKaisi□haOomoji□.
スペースの代りにqで変換するとカタカナになる。
qsupe-suqnoKawaRinilq[C-j]deHennkann□surutoKatakanaqninaru.
、。があれば自動変換だけど私はその前にスペースで変換しちゃう。
漢字候補の確定はC-jもしくは次の文字、だが、.skkskk-egg-like-newlineがセットされていれば、Enterキーでも確定。
auto-okuri-processがセットされていれば、一度使って個人辞書に記録された送り仮名は少々間違えても(送り仮名を含めて変換しようとしても)候補にあがる。ただし、変換効率は下る。

以下ちょっと雑感。


日本語を書く人ほど変換が短かくなるのは2つ理由があると思う。
一つは文節区切りの間違いを避けるため。これはまあ当然だろう。
もう一つは思考の後戻りを避けるためだ。

例えば、「ある文章を書いているとき」という文章は普通に利口なIMなら一発で
変換できるだろう。でも、そうすると、「あるぶんしょうをかいているとき」と
キーを打ちながら頭の中で読みあげたあと、[変換キー]で、また文頭まで戻り、
漢字区切りを確認し、漢字を確かめ、場合によっては漢字を直し、確定すること
になる。2度読んでるわけだ。

それなりにまとまった文章を書くとき思考の後戻りはできるだけ小さい方がいい。


ペンで文章を書くとき、「頭から」文章を書いていくはずだ。まず次の単語を
漢字にするか平仮名にするか決めてから、文字を書く、あたりまえだ。
しかし、今のIMはそうなってない。まず音声イメージがあって、「どこを漢字
にするか」は変換キーを押してから考えることになる。どっちがいいとは言え
ないだろうけど、「頭から」方式のIMがあってもいいじゃないか。
それが、SKKだ(T-codeの存在も主張する人がいるだろうが)。

そして、SKK方式は、PC草創期の商用ソフトが採用しなかった「もうひとつの方法」
にとどまらず、独特の素晴しい利点がたくさんあった。ということなのです。



利点の一つを上げる。辞書にない単語があった時、ユーザーは分割入力する
ことになる。気高町(けたかちょう 私の田舎の地名)という言葉が無ければ、
気高+町 に分けて変換する。「けだかい」(「い」を消して)「まち」なんて
するわけだ。

この時、単語単位の変換のみを基本にしたSKKでは、常に変換対象は1単語なのだ
から、
「けたかちょう」で候補が尽きた時、次にユーザが取る行動はその読みの単語の
分割入力に決まっている。じゃ、候補が尽きた時点で辞書登録モードに入ってし
まえばよい。ユーザーは別の読みや熟語を利用し、いらない文字を消したりして
(「い」を消したりして)、最後に確定する、と同時にSKKは辞書登録する。すると
以降その熟語を使える。
辞書にない単語は一度分割入力すれば以降使えるのである。(もちろん分割して
確定していけば登録しない)。

これが、普通のIM方式だと、分割入力したのか、単に隣り合っていただけなのか、
間違えたから直したのか、機械からは判別できない。(「い」を消すなんてのは
機械には意味不明である)。単語登録するには別の手続きが必要である。あるいは
非常に利口なIMで何度も使用する内には学習して覚えるかもしれないが、それは
ソフトまかせだ。(そしてそういうIMは大抵とても重い)。

ちなみにSKKのユーザー辞書は(全体の辞書も)ただのテキストファイルである(見
ればSKKがなにをやってるのか見当が付く)。時々チェックして間違えて登録した
単語は消してやればよい。



ところで、清水は最近商用の利口なIMを使う機会を得ました。「SKKは一度使う
と手放せないとは言うけれど、それは操作法が違うから戻れないだけかも、それ
に、前は比較対象がお馬鹿なCannaだったもんな」、などと思っていたので、こ
こで一つSKKとそのIMを併用して冷静に比べてみようと思いました。

幸いそのIMでは大文字でも小文字でも日本語を入力できる設定にできました。
結構長く(3ヶ月くらい)、そのIMとSKKを併用しました(どちらかと言うとそのIM
の方が使用時間は長かった)、が、結局SKKだけに戻しました。操作の違いはそれ
ほど気にならなかったのですが、漢字区切り間違い、単語登録の面倒、そして思
考の後戻りが、結局ストレスとなったのでした。
私はあらためてSKKの素晴しさを思い知ったのです。


私は最近では、普通のIM方式の方が間違っていたのだ、とすら思います。他社
製品と差をつけて、売ることを考えるなら辞書を強く強くして行かなければな
らない。でもそれはドラゴンボールの敵みたいなものです。

SKKホームページ
kinput2に代るskkinputもあります。Windows95版もalphaバージョンですが存
在します(skk95)。Mac版はまだないと思います。

ちなみにskk95同梱の日本語辞書はそれほど充実してないので、本家skkから
辞書(SKK-JISYO.L)だけもらって(漢字コードをSJISにし、改行を\r\nにして)
置きかえて一発リブートくらいすれば使えるみたいです。(私自身はあまり
Winを使う機会がないので経験不足)。

simtak@phys.wani.osaka-u.ac.jp