物理学におけるリー代数

ジョージアイ

群と物理

佐藤光

リー群のいきおいでちょっと読む。どちらも既読ということになっている本。
(だから番外)。

物理学におけるリー代数

いいかげんだ。

もっとマシな本だと思っていたのだが、天下り式で、なんだか釈然としない。
SU(2)をまず出してきて、ウェイトとは、J3の固有値と同じなんだ、ともって
くる。その上で、一般の場合を説明する。という方針は、確かに判り易い。

しかし釈然としないのは、Adjoint表現を取ると、リー環にstateが取れて、
stateへの環の作用は、括弧積で書ける。という点。
H|Ei>=|[H,Ei]>
証明も説明もないんだけど、それはなぜなんだ。そもそもstateにリー環をact
させるということの意味はなんなんだ。

たとえば、回転のリー群 SO(3)に対して、リー環Jiは、無限小回転の生成子を
表わしている。
 (1+iJε)|x>
J3の固有状態は、z軸方向を軸とした回転系のようなイメージでいいのだろう
か。空間並進に対する生成子は、運動量pである。場の理論では、運動量の固
有状態は伝播し続ける波動のような状態である。空間的には全体に広がってお
り、一定の波長を持った状態。<x|p>=exp(ikx)

うーん。なんだか、解析力学的な悩みをかかえている。

群の表現というのは、群を空間Mから空間Nへの線型写像とみなした時に、その
基底の変換が行列の成分とみなせる、ことから、行列表現できるものであった。

ということで、表現を論じるなら、空間から先に論じた方がいいと思うのだ。

が、まず、抽象的なリー環の括弧積の係数 f_{abc}は、そのまま(f_{a})_{bc}と見れば、
行列となり、かつ、リー環の括弧積を満す。という所から、Adjoint表現を先
に導入してしまう。先に導入したんなら、その表現空間がどんなものかを考え
なければならない。

今、リー群が、リー環のAdjoint表現のexpで表現できた。で、この本が言うに
は、stateはリー環の中にあるというこなので、リー群の表現空間は、Adjoint
表現されたリー群の空間そのものであるはずである。
 x=exp(t^af_{a})
これは、あきらかに、|f_a>ではない。

群と物理

リー環の表現は、リー環の表現として独立してやってしまってから、stateの
weightを出してくる。抽象的に最初にやるから、SU(2)だのSU(3)だのが出てく
るまではなんだかもやもやしてしまう。

しかし、ジョージアイで疑問だった、
> Adjoint表現を取ると、リー環にstateが取れて、
> stateへの環の作用は、括弧積で書ける。
> H|Ei>=|[H,Ei]>
については、一応解説というか、問題として書かれている。

しかし、この説明は、私の頭にはわからない。私の頭が愚鈍である可能性は濃
厚だが、もうちょっとわかり易く書いてもよさそうなものではないか。

stateの意味がわからないのだ。もうそれだけに尽きる。