曲線と曲面の微分幾何 (改訂版)

小林昭七

たのしかった。
「微分幾何」を途中まで読んだときは、それはそれでたのしくて、4次元でう
だうだやってことの意味がよくわかった。つまり逆だ。物理屋は4次元から入
るのだ。
が、その時は、実は捩率の意味もよくわからなかった。「微分幾何」はコンパ
クトに書かれている分、意味を取るには手を動かしてやる必要がある。手を動
かさないで読んでいたので理解できてなかった。

この本はその点、数学の立場から書かれているので、4次元の入門としての曲
面という視点はなくて、ちゃんと曲面の興味深いことがらが、直感的理解や意
味まで考えが及ぶように書かれている。

物理屋視点から見ると、この記述はどうなの、と思う所もあるのだけど、記述
も式の見易さも基本的には良くできてる。

極小曲面についての記述はさすがに直感が働き難い。どのように変形しても曲
面の曲面積が大きくなる、という状況があるのだろうか。うーむ。

極小曲面はとばしながら、しかし、極小曲面のような問題設定こそ、数学なの
かも知れないなあなどと思いながら読む。