Conceptual Mathematics

Lawvere & Schanuel

ケンブリッジ大学のケンブリッジ書店で購入したのが8月。ロンドンからの帰
りの飛行機で読み始めて(8/16)、結局4ヶ月もかかってしまった。

途中大きな浮気をしたわけでもなくて、MTの本は2日で読み終ったし、電磁気
学や統計の勉強が必要になって数日止めたけど、その程度。

とてもわかりやすく書かれているのだが、やはり英語であることがネックの1。
その英語がかなり凝った言いまわしになっているのがネックの2。ところどこ
ろ内容的に難解でなかなか理解できなかったのがネックの3で3ヶ月もかかって
しまったのだった。

技術英語には仮定法は使わない、と認識していたが、この本には仮定法がいっ
ぱい出てきた。これまでに大学院と就職後読んできた教科書と論文中に出て来
た仮定法の総数を一冊で超えてしまうほど出てきた。(というか、これまでの
教科書や論文中で仮定法だ、と思った文は数個しかない)。
一つ一つの文も長いし、見たことのない単語もたくさん出てくる。
その語り口が特徴的と言っていいんだろうけど、ちょっとしつこいよと思った
り。

最初の方は簡単なので、なめてかかって、後半ついて行けなくなりかけ。
特に私にとって難しかったのが29章以降、読めるページはサクサク進むのだが、
読めないページは停滞しまくり。もっと前にも難解なページがいくつかあっ
たが既に忘れた。

カテゴリーという考え方がとてもよくわかったが、やっぱりアブストラクトす
ぎてしまって世界が見えなくなってしまう。反動もあるのだけど、もうちょっ
と現実寄りの勉強をしたくなってしまった。

あこがれの単語である Functor はほとんど登場しなかった。

ところで、アリシアは最初の方ずいぶんクレバーな発言をしていたが、最後の
方はダニーロとファティマしか登場しなくなる。アリシアはきっと独学で最後
まで勉強してしまってゼミからドロップアウトしたのだろう。

結局思ったのは、カテゴリー理論というかなり緩い枠組みで、limitとcolimit
つまり、1と0は登場し、和と積が意味をもっている。
四則演算とか、環という概念は、わりとちゃんと原始的な意味をもっているの
かなあ。といった漠然とした感想であった。

カテゴリー理論は繋がりを考える学問で、そこに真実が確かにありそうだけど、
やっぱり物理とか、数学のおもしろいことってのはもう一つ階層が上にあるん
じゃなかろうか。素粒子がいかに面白くてもそれから物性の多様性を解き明か
すことが不可能なように、カテゴリーは重要だけど、もうちょっとダイナミカ
ルな登場人物のストーリーが読みたくなってきた。
(と素粒子を勉強していた私が言ってはだめか)。

Article V の excersizeで

Y^{T1+T2} =~  Y^{T1}xY^{T2}

とあるのだが、これを証明しようとして2週間近く悩んでしまった。結局わかっ
ていない。30章にこれの証明の概略があるのだが、やっぱりよくわからない。

X → Y^{T1+T2}
X → Y^{T1}xY^{T2}

と、

Y^{T1+T2} →  Y^{T1}xY^{T2}

が言えるところまではオッケーなのだが、

Y^{T1}xY^{T2} → Y^{T1+T2}

がなぜ成立するのかがわからない。これが言えないと

Y^{T1+T2} =~  Y^{T1}xY^{T2}

が言えたことにはならないと思うのだが。

X に Y^{T1}xY^{T2} はそのままでは代入できない。
X → Y^{T1+T2} → Y^{T1}xY^{T2}

うーむ。なにかもっと意味を考える必要があるのかなあ。
カーテシアン閉を仮定してしまうと、いいようにもおもうけど。

これを考えるのに、まあ、こんな絵をぐちゃぐちゃと書いて。(graphvizで描
いたらこうなってしまったが、実際にはもうすこし対称性を重んじている。し
かし、もっといろいろなノードまで考察したので、もっとぐちゃぐちゃである)。
[graph]

2004/12/16