博士の愛した数式

小川洋子

久しぶりの小説。ものすごく高い評価を得た。

川崎市図書館で、いつ予約したんだか忘れてしまった。おそらく昨年の話であ
る。4ヶ月くらいの順番待ちで、やっと私の手元に届いた。けど、2日で読み終っ
てしまった。というか、実質2時間程度か。

淡々としていて、しみじみとするのだが、「こんな世界があったのか」みたい
に騒がれたほどの感動は、私にはなかった。ま、その世界をかなり知っている
人間だしね。

amazonの書評とか読むと、泣いて泣いているわけだけど、いやまあホロっとす
るシーンもあるけど、泣くほどでは。なんというか、ビッグコミックオリジナ
ル系癒し話のような気が。(マスターキートン的というか)。

恋愛小説という説もあるが、そーかなあ。ま、
「私は、恋愛小説として読んだ」
という無敵の書評方法を使えば、そうも言えるのだが。

映画化、はやめておいた方がいいと思う。なんでもかんでも映像化すればいいっ
てもんじゃない。

数学者は、素朴な求道人、みたいなイメージで書かれてしまっているわけだけ
ど、そんなわけはない。数学者の知り合いはあまりいないけど、理論物理学者
なんか結構普通に暮してるものだ。変人である可能性は高い。場合によっては、
かなり自己中心的で、尊大な人間だったりする。主人公みたいな、純粋で教育
的な学者がいれば、人望は得られるだろうな。

数学は悪、という人が結構いるのだけど、この本が数学の趣味性とか、文化性
とかを伝えらたら、数学を趣味としている私にとっては、うれしい限りだ。


以下ちょっと内容に触れてしまう。
昔昔、小学生時代、1から10までの足し算を簡単にする方法を考えなさい、
という問題を解けなかった私としては、いいなあ、と、思ったよ。
1から9までの平均は真中だから5。あと、10を足せばよい。というのはいいん
だけど、もともと1から9までだったら、平均するだけでいいわけで、そこらへ
んに不思議な感じが漂う。
偶数個の方が平均とは相性が良さそうなもんなのにね。(イメージだけ)