(スタートは7月末だった)
真面目に読めるかどうかわからないけど、また、環と体系で借りてみた。これ
も図書館本。
しかし、スタックとか書いておきながら、全然スタックの順に読んでないね。
「微分幾何」を本当は読みたいんだけど、今年はもう少しだけ代数を勉強させ
てくれ気分なのだ。しかも、盆明けには、「群の発見」もまた借り出すつもり
なので、「群の発見」の気分を壊さない本が今求められているのだ。「群論」
(原田耕一郎、寺田至)は、ちょっと厚くて重いし。
「環と体1」(堀田良之)は、読み切れなかった私だが、もう少し若い人向けの
本があるはずだと思った。たぶん、大学生には「環と体1」は難しいんでは
ないだろうか。数学科の学生にとっても。(自己弁護入ってます)。
ということで、ちょっとだけ大学生向けっぽい本を読んでみることにする。理
工系と言ってるし。でも、一冊で、環、体と、ガロア理論、グレブナー基底を
カバーしている。読めるかなあ。自信なし。
逆にここで、ガロア理論(4章)まで読めれば、「群の発見」の理解も深くなろ
うというものだ。さらにグレブナー基底(5章)まで読めれば、コンピューター
への応用もありそう。
さすがにここんとこ環と体ばかり勉強しているので、気持ちがわかってくる。
でも、まだまだ、手探り。
「数学における加群の理論は建築物における骨組みのようなものであろうか。」
本当にそう思う。
----- 夏休みを越え、お盆休みを越え、夏が過ぎ、秋も深まり ------
結局、ほぼ3ヶ月かかった。ガロア理論の後半と代数多様体、グレブナー基底
は流し読みがせいいっぱい。気持はわかった代数多様体とグレブナー基底に比
べて、気持がまだ判らないガロア理論。
少し読む。わりとやさしい。というか最初の方は、集合、群、環、体の定義。
さすがにスラスラ。乗法が可換でないが、乗法の逆元が取れるものを斜体とい
うらしい。堀田良之の体の定義では、乗法可換性は言ってなかったと思う。
後半はそれなりに時間がかかってしまった。
しかし、いろいろなことが、えらく具体的だ。「環と体1」では抽象的すぎて、
具体例をまるで描けなかったが、こちらは逆に具体的すぎて、いろいろな情報
が抜け落ちてるんだろうな。
有限アーベル群で、全ての元に対して、σe=1となるeをべき指数という。
まて、sin関数みたいに振動するような1に行かない解は存在しないのか?その
場合は、どこかで、σnam=σn となるような、nやm があることにな
る。アーベル群だから、σman=σn これは、σm=1 になっちゃう、
とかいう論法なのだろうか。
位数がeの元が存在することの証明。最大位数の元をσとし、その位数を
m < e とする。「このとき、位数nの元τが存在し、m は n で割れない」。
で、この後、矛盾を導く証明が続くのだけど、この「」の仮定は、
そんなに自明か?
有限群では、元の位数は、群の位数の約数になるので、
もし位数の異なる元が存在しなければ、それは、素数位数の元。それしかな
いということは、巡回群。m=e=|G|。
もし位数の異なる元が存在するが、すべて、n|mであるとき。e は、群の元
の全てをσe=1, τe=1とするような自然数であるから、eは、mとn
の公倍数、つまり m|eかつn|e であるから、n|mであれば、m=e が言えて
しまう。τとσから生成される有限アーベル群では、m<e なる群は作れな
い、ということか。あ、納得。
う、ノルムの定義は「環と体1」での定義はもっと抽象的だった気がする
酒井 Rを整域とし、R\{0}上の自然数値関数v(をノルム)
体は0以外すべて単元であるような環である。a∈K に対してab=1なるb∈Kが存在
整域は、0以外に零因子の存在しない環である。ab=0ならば、a=0 もしくは、b=0。
体は整域である。a,b∈K, a≠0 で、ab=0なら、a-1ab=a-10 ⇒ b=0。
既約分解とは、a=bcと書けたら、bもしくは、cが単元になること。
一意分解整域は、0と単元以外の元が一意に既約分解できる整域。素元に既約
分解できればOK。
体は一意分解整域ではない。
体K上のK[x1,x2,...]が一意分解整域であることの証明がやたら長い。なぜこ
んなにも長いのか。
体K上の多項式環 K[X]は、0次部分環 K は体であり、0を除くと、K[X]の単元
である。1次以上の多項式は、積は必ず積を取る前の式の次数より大きくなる
から、単元でない。0にもならないから、K[X]は整域であるが、体ではない。
K[X]は一意分解整域。
既約元fをとる。f|gh (fa=gh)で、f|/g なら、1=Af+Bg h=Afh+Bgh, h=Ahf+Baf
h|f fは、素元。
f=abと書けたら、a,bは、必ず、fより次元が低くなるので、既約になるま
で分解を続ければよい。有限回数で終る。
既約多項式の意味を失ないかける。
整域Rの 0でも単元でもない元 a が既約とは、a=bcと分解できるとき、bまた
はcが単元となること。
したがって、有理数体Q上の有理多項式環Q[x]の式、x/2+1/2は、
x/2+1/2=1/2(x+1)
と分解できる。1/2は単元(1/2*2=1)。ということで、x/2+1/2 は既約。
a=ub のように、単元uが存在するとき、aとbは同伴という。
x/2+1/2 と x+1 は、同伴。
Rを一意分解整域(UFD)とし、Kをその商体とする。このとき、R[x]の既約元
f(x)は、K[x]の既約元である。
Rの例としてZを取る。Kは有理数体Q。Z[x]の既約元は、ax-bみたいな形。
これは、当然 Q[x]の既約元。Q[x]では、a(x-b/a) に同伴。
x2+2x+2 も両者にとって既約元。
正しそうである。
既約元 f は R[x] の原始多項式(後で再考)。fがK[x]の既約元でないとする。
f=φψ, φ,ψ∈K[x]、単元でない、つまり、φ,ψ∉K
と分解できる。
φ'=aφ, ψ'=bψ∈R[x]とできる。
φ'ψ'=abf∈R[x]
c(φ'ψ')=c(abf)=abc(f)=ab と、 c(φ')c(ψ')はR[x]で同伴。
u=ab/c(φ')c(ψ')はR[x]で単元、つまりu, 1/u∈R。
φ*=φ'/c(φ')∈R[x]
ψ*=ψ'/uc(ψ')∈R[x]
とすると
φ*ψ*=φ'ψ'/(uc(φ')c(ψ'))=φ'ψ'/ab=φψ=f
fがR[x]の2元に分解した。
fがK[x]の既約元でないとする⇒fがR[x]の既約元でなくなった。
矛盾。
今やったことを、R=Z, K=Qとして書き直してみよう。f=x2+2x+2とする。
f=(ax+b)(cx+d)と分解できたとする。a,b,c,d∈Q。
ax+bは分母をかけると、e(ax+b)∈R[x]にできる。
u=ef/(GCD(da,db)GCD(fc,fd))
φ*=e(ax+b)/GCD(da,db)
ψ*=f(cx+d)/uGCD(fc,fd)
φ*ψ*=ef(ax+b)(cx+d)/(uGCD(da,db)GCD(fc,fd))=(ax+b)(cx+d)=f
これじゃ、上で書いたのと全然変らない。
f=x2/8+11x/60+1/15
=(x/2+1/3)(x/4+1/5) これは、Z[x]でない。スタートから破綻してる。
Z[1/120,x]とすると、そもそも既約じゃないし。
x/2+1/3は、6(x/2+1/3)=3x+2∈R[x], GCD(3,2)=1
x/4+1/5は、20(x/4+1/5)=5x+4∈R[x], GCD(5,4)=1
u=6*20/(1*1)=120 ←もちろん、これは、Z[x]の単元ではない。
φ*=(3x+2)/1
ψ*=(5x+4)/120
φ*ψ*=(15x2+22x+8)/120=f
なるほど。
UFD R上の多項式環 R[x]の既約元 f は R[x] の原始多項式という表明がなん
ども出てくる。本当か?
ZはUFD。Z[x]の単元は、1 しかない。
f∈Z[x], f=abと分解できたら、a∈Z もしくは、b∈Z。
f=2x+3 は既約である。1*(2x+3)としか分解できない。
f=2x+2 は、2*(x+1)と分解できるが、2には逆元がないので、既約でない。
おお、この場合、Z[x]の既約元fは、Z[x]の原始多項式。
体K上の多項式環K[x]はUFD。
UFDの0でない元は、a=u*p1n1p2n2.. と分解できる。(p1,p2は互いに同
伴でない)。
4x2+4x+1=4(x+1/2)2
2x+1=2(x+1/2)
この二つのGCDは、x+1/2 である。単元倍の不定性があり、2x+1でもGCDである。
K[x,y]は、UFD K[x]上のyを不定元とした多項式環。K[x,y]の単元は、K。
f∈K[x,y], f=abと分解できたら、a∈K もしくは、b∈K というのが f(x,y)が
yの多項式として既約であること。
f=(2x+1)y+3 は既約。
f=(2x+1)(y+3) は既約でない。
原始多項式とは、c(f)=1のこと。これは、1の単元倍の不定性をもっている。
つまり、c(f)=Kなら原始多項式。
f=4x+2
は、既約多項式だが、f=2(2x+1)=4(x+1/2) などと書けるが、まとめて、
c(f)=1と書ける。
よく考えてみると、K[x]のGCDは、Kであり、代表元 1 である。c(f)=1、原始
多項式と言ってもいい。
あ、やっとK[x1,x2,...]がUFDである証明が長い理由がわかった。
定理2.28 K[x]は、体K上の多項式環で、これがUFDであることを証明する。
系2.35 K[x,y]を、K[x]上の多項式環 K[x,y]と見ると、これが、UFDである
かどうかは、定理2.28からは言えない。K[x]は体ではないから。
定理2.33 UFD上の多項式環はUFDである。が、証明できて、系2.35に戻るんだ。
「環と体1」(堀田良之)において、完全に思考ストップの原因となったネター
環。
「すべてのイデアルが有限生成の可換環」
と言われちゃうとすごい当たり前というか、一番普通っぽい環。
「すべてのイデアルが単項イデアルである可換環」
は、単項イデアル環である。
ということは、
単項イデアル環⊂ネター環
であると思われる。
「単項イデアル整域は一意分解整域」の証明で、ネター環の特
性しか使ってないように見えるのだが、
「ネター整域は一意分解整域」は、真か否か?
「ネター環上の多項式環はネター環である」は、ヒルベルトの基底定理。
{0,1,2,3,4,5}に、√2を添加する。Z6[√2]
元は、a+b√2 という形。
イデアルは、{(0), (1,√2), (2,√2), (2,2√2), (3,3√2)}だと思う。
単項イデアル整域ではないが、ネター整域。
0, 1, 2, 3, 4, 5
√2, 1+ √2, 2+ √2, 3+ √2, 4+ √2, 5+ √2
2√2, 1+2√2, 2+2√2, 3+2√2, 4+2√2, 5+2√2
3√2, 1+3√2, 2+3√2, 3+3√2, 4+3√2, 5+3√2
4√2, 1+4√2, 2+4√2, 3+4√2, 4+4√2, 5+4√2
5√2, 1+5√2, 2+5√2, 3+5√2, 4+5√2, 5+5√2
(a+b√2)(c+d√2)=ac+2bd+(ad+bc)√2
(a, b)・(c, d)→(ac+2bd, ad+bc)
(2,√2)={n√2, 2+n√2, 4+n√2}
問題2.23 Z36のすべてのイデアルを求めよ、とあるが、解答が、
(0),(1),(2),(3),(4),(6),(9),(12)
となってるんだけど、(18)がない。まあ、忘れているだけだと思うけど。
こういうの読んでいると、じゃあ、ネター環でない環はどんなのさ、と思う。
例を挙げて欲しいんだけどなあ。
2度読む。1度目は、横に「コホモロジー」を置いて読んでいたので、「コホモ
ロジー」が早く読みたくて、斜め読み的に読んで、結局わからなくなる。2度
目は、「コホモロジー」を読み終り、じっくり、頭もリフレッシュして読む。
2度目はかなりクリアに理解できた。コホモロジーを読みながら、加群だの環
だの準同型だのを理解を深めたおかげで、わりとスラスラ。一度目、あんなに
難航したのに、3日で読みおわり、4章へ。
直和とテンソル積。いつも混乱してしまう。というか、物理をやっていたころ
は、混乱していなかったような気がしていたが、数学をやりはじめてから混乱
しはじめた。
■直和
R-加群M1,...,Mrが与えられたとき、次のように加法とスカラー積を定義する
ことによって、直積集合M1×...×MrはR-加群の構造をもつ。このR-加群を
M1,..,Mrの直和(direct sum)といい、M1⊕...⊕Mrで表わす。
(u1,...,ur)+(v1,..,vr)=(u1+v1,...,ur+vr)
a(u1,...,ur)=(au1,..,aur)
■テンソル積
次のようなR-加群TをMとNのテンソル積(tensor-product)といい、M⊗RN
あるいは簡単に、M⊗Nで表わす。
(1)R-双一次写像 π: M×N→T が存在する。
(2)任意の双一次写像 φ: M×N→P に対して、R-準同型写像ψ: T→P が一意
的に存在してφ=ψ・π が成立する。
という定義はわかりにくいので、元について書けば、
M⊗Nは{u⊗v|u∈M, v∈N}で生成されたR-加群であって、次の関
係式が成立する。
(u+u')⊗v=u⊗v+u'⊗v
u⊗(v+v')=u⊗v+u⊗v'
(au)⊗v=u⊗(au)=a(u⊗v)
いわゆる直積のイメージに近いのは直和の方か。
テンソル積は、最後の条件がきつくって、
Z⊗Zmを考えると、(l,n)から生成されるのは、
l⊗n=1⊗ln
となって、l*nの剰余元となり、Z加群としては、Zmと同型である。
snake lemma
0
↓
0 0 P
↓ ↓ ↓
0→M'→M→M''→0
↓ ↓ ↓
0→N'→N→N''→0
↓ ↓ ↓
Q 0 0
↓
0
のとき、P=Q
M=N
体の拡大。
やっぱり何度読んでも難解。
ストーリーは、
K(α)=K[x]/f(x) f(α)=0である。f(x)を最小多項式と呼ぶ。
[K(α):K]=dim(f) である。
Lが、f(x)の分解体なら、
[L:K]<=n! これは、[K(α):K]=n, [K(α,β):K(α)][[K(α):K]=(n-1)n ...
なのであるのだ。この2つを混同して、ずいぶん悩んだ。
標数0の体K上なら、任意の有限拡大は、単純拡大に書ける。
Gal(L/K)は、K同型写像の自由度を除き、一意。
K(α)⊃KのK同型写像は、f(α)の解を入れ換える写像。
例えば
Q(3√2)は、a1+a2*3√2+a3*(3√2)2 と3次で書ける。
[Q(3√2):Q]=3
これのQ同型写像は、(3√2)3=2 なので、
σ(3√2)3=σ(2)=2
これは、σ(3√2)=3√2, 3√2ω, 3√2ω2のいずれかである
ことを言っているが、ωは、Q(3√2)に含まれないので、
σ(3√2)=3√2 しかない。
ということで、Q(3√2)のQ同型写像は、恒等写像しかない。
|Gal(Q(3√2)/Q)| = 1 < [Q(3√2):Q] = 3
一方、Q(3√2)の自己同型写像の部分群による固定体で、Qが作れるかというと、
実は作れない。上のように、Gal(Q(3√2)/Q)=1なので、Gal(Q(3√2)/Q)
による固定体は、Q(3√2)そのものになってしまう。
つぎに、
Q(3√2, 3√2ω)を考える。これは、3√2, 3√2ωとも、x3-2
を最小多項式とする。3解は、3√2, 3√2ω, 3√2ω2。
これは、単純拡大に書くことができて、
たとえば、
Q(3√2+2*3√2ω)=Q(3√2√-3)となる。
Q(3√2√-3)は、
a0+a1(21/3√-3)+a2(22/3)+a3(√-3)+a4(21/3)+a5(22/3√-3)
と、6次になる。
もとに戻って考えるに、Q(3√2, 3√2ω)も
(3√2)2*3√2ω=2ω
ω-ω2=√-3
ということで、6次で正しい。
[Q(3√2√-3):Q]=6=dim(f)
f(x)=x6+108
だろうな。
で、群はどういう群であるかと言うと、
Z3 かとも思ったんだが、
σ(3√2)^3=2 σ(3√2)=3√2, 3√2ω, 3√2ω2のどれか。
もちろん、3√2→3√2ω→3√2ω2→3√2 という巡回もあるが、
σ(3√2)=3√2 で、σ(3√2ω)=3√2ω2という変換もある。
これは、√-3 を -√-3 ににする変換と、1→ω→ω2を組み合わせたもの
なんだろうな。
ということで、3角形の置換群群 S3 である。したがって、位数は、6。
ちゃんと書けば、1:3√2, 2:3√2ω, 3:3√2ω2として、
σ0=(1)
σ1=(123)
σ2=(132)
σ3=(12)
σ4=(23)
σ5=(13)
このうち、{σ0,σ1,σ2}だけなら、Z3(というか、A3:交代群かなあ)になるし、
{σ0,σ3}などは、Z2になる。
S3の固定体は、Q。
α∈Q(3√2√-3)
[Q(√-3):Q]=2 < |S3|=6
[Q(3√2):Q]=3 < |S3|=6
[Q(3√2ω):Q]=3 < |S3|=6
[Q(3√2√-3):Q]=6 = |S3|=6
A3の固定体は、Qかと思ったら、Q(√-3)である。なんとなれば、
√-3=(3√2)2*3√2ω+1 → (3√2ω)2*3√2ω2+1
=2ω+1=√-3
ということで、
[Q(3√2√-3):Q(√-3)]= 3 =|Z3|=3
Z2(√-3←→-√-3)の固定体は、Q(3√2)
[Q(3√2ω):Q(3√2)]= 2 =|Z2|=2
という内容は、結構後の方で、実は例題になっていた。
アファイン変換群
いくらなんでも説明がわからん過ぎ。
(i j)
(0 1), i∈Zn*, j∈Zn
が行列の積に関して群をなす。って言われたから、
(i1 j1)(i2 j2)=(i1+i2 i1j2+j1)
(0 1 )(0 1 ) (0 1 )
およよよ。と思ってしまう。
「Lie群とLie環」とか読んで、
A∈GL(n,R), b∈Rn に対して、
(A,b): Rn→Rn, x→Ax+b
がAffine変換群であることを知る。
(A1, b1)((A2, b2)x)=(A1,b1)(A2x+b2)=A1A2x+A1b2+b1
なので、合成は、
(A1, b1)(A2, b2)=(A1A2, A1b2+b1)
だから、
(A b)
(0 1)
と表現してもよかったわけです。
そして、Rが可換環のとき GL(n,R)={A∈M(n,R)|det(A)∈R*}
R*はRの単元群
というGL(n,R)の定義があったので、
GL(1,R)={A∈R*}
したがって、1次元の場合に、Affine変換群を作ると、この本の定義になるの
でした。
さらに言えば、その直後に出てくる、群の短完全系列
1→Zn→Aff(1,Zn)→Zn*→1
は、最初のZnは群としてのZnだから、和を演算とする群(単位元0)。
後半のZn*は単元群なので、積を演算とする群(単位元1)。
だから、最初の1→は、どっちか言うと、0→と書く方が正しいかも。
Sn n>4 が可解群にならない→5次方程式はべき根拡大で解けない。
可解群とは、正規部分群の列
G=G0 > G1 > G2 > ... > Gl-1 > Gl={1}
が存在して、各剰余群、Gi-1/Giがアーベル群になることを言う。
S1, S2の可解性は自明。n>=3のとき、Sn(1)=An であることに注意。
A3={1,(123),(123)2}はアーベル群だから、Sn(2)={1}。
次にS4, S4(1)=A4
V={1,(12)(34),(13)(24),(14)(23)}は、実は、V=A4(1)=S4(2)。
V=Z2×Z2なので、S3(3)は{1}
そして、Sn n>=5では、
An(1)=An
が成立する。
i,j,k,l,mを全て異なる数字にできる。(ijk)=[(ijl),(ikm)]が成立するので、
[An,An]は長さ3の巡回置換。→An
やっぱり最後は流し読みがせいいっぱい。
ガロアの定理が重要なのはわかるので、気をつけて読むのだけど、そこから先
に1のべき根とか、円分多項式とか、Affine変換群とか、いま一つそれぞれが
どう結び付いているのかわからないものが、がちゃがちゃ出てくるので、見通
しが悪い。ガロアの問題意識は、方程式のべき根による解法にあるんだけど、
体論的には、それは結果にすぎなくて、そこまでのいろいろな話が重要なのかな。
体Kの直積集合 Kn=K×...×K n次元アファイン空間
V(f1,..,fr)={a∈An|f1(a)=...=fr=0}⊂An
を(アファイン代数多様体)。
V(I)={a∈An|f(a)=0, 任意のf∈A}
I(V)={f∈K[x1,...,xn]|f(a)=9, 任意のa∈V}
I(V)はK[x1,...,xn]のイデアル。
Vが代数多様体なら、V(I(V))=V
イデアルと代数多様体は、対応している。
可換環RのイデアルIに対して、
√I={f∈R|ある自然数mが存在して、fm∈I}
根基イデアル と呼ぶ。
素イデアルは根基イデアル。
IをK[x1,...,xn]の素イデアルとする。
整域 K[x1,...,xn]/I を K[x1,...,xn;I]と書く。その商体をK(x1,...,xn;I),
超越次元を、dim I と書く。
このとき、K[V]=K[x1,...,xn;I(V)]を座標環。K(V)=K(x1,...,xn;I(V))を有理
関数体、次元dimV=dimI(V)として定義。
Kを代数的閉体、IをK[x1,..,xn]のイデアルとするとき、
1∉Iなら、V(I)≠φ が、ヒルベルトの零点定理
1∈Iなら、I=K[x,..]。したがって、V(K[x,,])=φ の逆にあたる感じ?
I(V(I))=√I が成立する、というのが、ヒルベルトの零点定理の強形
グレブナ基底。
前々から気になる語であったグレブナ基底。なにやら数式のコンピュータ処理
の場面で活躍するものらしい。という知識はありました。
で、堀田「環と体1」にも出てきたわけですが、既に出た状態で疲れきってい
て、まったく理解できませんでした。今回、勉強して、計算はできるようになっ
た。
体K上の多項式環K[x1,x2,..,]の元の組
G={g1,g2,..,gr}
の生成するイデアルをIGとするとき、
(1)Gによるf∈K[x1,x2,..,]の割り算の剰余は一意に定まる。
(2)ん任意のf∈IGはGで簡略化され0になる。
このような、GをIGのグレブナ基底と呼ぶ。つまりイデアルを一意な座標で
書けるような基底という感じか。
さらに、LT(f)最大項、LC(f)最大項の係数、LM(f)最大項の単項式として、
(1)LC(gi)=1
(2)giの各項は ∉(LT(g1),...,(LT(gi)は除く),...,LT(gr))
の2条件を入れれば、被約グレブナ基底として基底自身が一意に定まる。
S(f,g)=LCM(LM(f),LM(g))(f/LT(f)-g/(LT(g)))
とすれば、これは、fの最大項をgで消す操作。
Gがグレブナ基底なら、S(gi,gj)は0まで簡略化可能。
Gがグレブナ基底でない場合、S(gi,gj)は、r≠0 までしか簡略化できない。
rをGに加え、G1とする。これを繰り返すと、ネーター加群なので、いつか終り、
グレブナ基底となる。
グレブナ基底の計算の実装を考えてみる。
多項式をとりあえずリスト表記する。
g1=-t4-t2-x
g2=-t5-t3-y
yの0次
xの0次
tの0次 0, tの1次 0, tの2次 -1, tの3次 0, tの4次 -1
xの1次
tの0次 -1
g1=[[[0,0,-1,0,-1],[-1]]]]
g2=[[[0,0,0,-1,0,-1]],[[-1]]]
g+f=添字が同じものを足す
g*f=各項の組み合わせについて、添字の足し算をし、係数のかけ算をする。
g/(単項式)=添字の引き算をし、係数の割り算をする。
lt(f)は、fの最大項を返す
lm(f)は、fの最大項の添字リストを返す
lm(g1)=[0,1,0]
lm(g2)=[1,0,0]
lcm(i,j) は、最小公倍数を返す
lcm(g1,g2)=map lcm g1, g2 内容は1
最初にスタートの各多項式同志の簡略化が必要。
S(g1,g2)を計算
簡略化
Gの各最大項と、S(gi,gj)の各項(Sj)を比べ、lcm(M(Sj),LM(gi))=M(Sj)
となったら
S'=lcm(Sj,LT(gi))(S/Sj-gi/LT(gi))
これを繰り返す。簡略化不可能になったとき、0なら終了。0でないなら、Gに
加えて、繰り返す。
2003/10/23