加群十話 (堀田良之)
町田図書館 03/01/11返却
おもしろかった。
もっと具体例を載せてくれるともっと判りやすかったと思うが、ま、それはサ
ボりの考え方かも知れない。
ジョルダン標準形の話が、とてもとても判り難かった。
というのは、今何を考えているのかが(私には)あいまいだったから。
やりたい事は最初から最後まで、ある行列に対するジョルダン標準形をどうやっ
て簡単に計算するか、なのだが、途中、基底をEnd_K Vから、K[T]加群として
のVに行き、K[T]/p(T)に行き、K[T]/(T-a)^n に行き、と変っていくので、混
乱してしまうのだ。例えば例として、K[T]/K[T]((T-2)(T-3))とかが、K[T]^2
になる様子とか、をやってくれてたら、私にはもっとずっと判りやすかった。
行列Fが与えられた時、T1-Fをはきだし法で対角化する。
そして、diag((T-a1)^n1,(T-a2)^n2....)となれば、
n1xn1部分は、対角成分がa1, 対角成分の右上に1がならぶ、
(a1 1 0...0)
(0 a1 1 0 0)
(0 0 a1.. 1)
( ... )
(0 ... a1)
n2xn2部分は、対角成分がa2, 対角成分の右上に1がならぶ、
と、変換行列を考えるまでもなく、ジョルダン標準形に書き直すことができる。
という、スキルの(証明の)話なのだ、というのが、相当時間がかかって理解で
きた。
ヤング図形の話は、とにかくおもしろくて興奮した。これについては、「ヤン
グ図形のはなし」で書くつもり。
あと、環という言葉がやっと手触りを持って理解できた。
* 体K上のS加群とは、
f(ai+aj)=f(ai)+f(aj) f∈S, ai,aj∈K
* 体K上の群環K[G]とは、
Σaixi, ai∈K, xi∈G
これは、和と積
Σaixi+Σbixi=Σ(ai+bi)xi
Σaixi*Σbixi=Σ(ai*bj)(xixj)
が定義されている。
* 体K上のリー環は、
Σaixi, ai∈K, xi∈G
Σaixi+Σbixi=Σ(ai+bi)xi
Σaixi*Σbixi=Σai*bj[xi,xj]
リー群は、exp(Σaixi)で群元が書けた。expの肩に載っているものは、リー環。
最後の微分方程式の話はおもしろそうだったけど、今回は読まないことにした。
時間もなかったし。多分、理工系の基礎数学「線型代数」と書いてある内容は
同じだと思う。(というか、「線型代数」にはなにも書いてない)。