kamui yukara 『 Rittunna 』

雷神は
北海道見たくて上った 家来たちと
沙流川古名シシリムカ この川口に行くと アイヌ村沢山あり
神が上ったようだから窓など閉じて臆してる。大将そう言う---
成る程、窓開けてる事も閉じて 頭の物とって畏れてる 次の村に又行くと
矢張り大将出て窓開けてる人窓閉じ 頭の物とっておけと言う
一番奥の村へ行くと 大将、女二人持ち 又出て村ぐるっと歩いて
神様上って来たから窓閉じ頭の物取れと言う 皆その通りにする
娘二人水汲み乍ら泉でキナをうるかして神来る方へ
振り返りながら 神だか何だか知れないものに頭取るなと言う
大きな山あった処へウタリと共に神番はぐるっと音で山
飛ばし散らして村を壊す。 神戻りて川口の大将に
rittunna と言い乍ら 夢見せた。
俺は雷神でほんとの神 北海道見たくてシシリムカに
上ったの こう言う訳で 山壊して来たから 俺は kanna kamui の
大将だから utari は尚上る事あるから 悪い事
言うな
大きい家のようなシマルベと言う山 昔は綺麗だのに 又その山ぐるっと
散らけて岩ぐるっと散らけてあり。故に悪口言わぬ。アイヌの村を
無茶にする化け物あれば 俺等が追う役で上って来たのだから悪口
言うものでないと その雷神教えり
雷鳴の時 燭を外へ持って出るな
昔 女外へ明かり持って行くと雷落ち 家の中のものは人皆
半殺しになる 窓から火つき

hunpak pak chishintapa kichkich と歌い乍ら 山壊す
rittunna ainu moshiri
rittunna chinukan rusui
rittunna utatturano
rittunna yapash aike
rittunna shishirimuka
rittunna kotan sanputu
rittunna chieyanke

※ 沙流川のずっと十何里の奥の Tanne sat 村
 
 
金田一京助博士のユーカラノートより