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BROTHER


バンバンバンバン!
武「ファッキンジャップくらい分かるよ、バカ野郎。」

バタン(ドアが開いた音)
ジ「ちょっと待て。」
武「うわっ、誰だお前!」
ジ「あんた今『ファッキンジャップくらい分かる』って言ったよね?」
武「あ、あぁ、言ったさ。それがどうしたってんだよ。」
ジ「本当に分かってるのかなぁ。」
武「なんだとこの野郎! なめてんのか!」
ジ「じゃあ、どういう意味か訳してみてよ。」
武「あぁ? なんでそんなことしなきゃいけねぇんだよ?」
ジ「ププ。本当は分かんないんでしょ? 強がっちゃって…ププ」
武「なんだと? 分かったよ。じゃあ、訳すよ。なめんなよ!
  ええと、ジャップは日本人を侮辱した言い方だろ?
  で、ファックは…なんだよ、俺の口から言わせんのかよ、この野郎(照)」
ジ「じゃあ、インは?」
武「イン?」
ジ「Fuckin' Jap の"in"だよ。」
武「イン…なんだ? 進行形?」
ジ「進行形だったら、be動詞が要るでしょ?」
武「そうだよな。じゃあ、動名詞か?」
ジ「つまり、『日本人とファックすること』って意味?
  そんなことを日本人に向かって言っても、侮辱として成立しないでしょ。」
武「そうか…じゃ、現在分詞?」
ジ「『ファックしてる日本人』ってこと?」
武「やっぱり違うか…
  でも、ファッキンジャップが侮辱した言い方なのは間違いないだろ?
  それだけ分かっていれば充分さ。」
ジ「まぁ、確かにファッキンジャップは侮辱の言葉なんだけどさ。
  でも、そもそも本当にファッキンジャップなんて言ってたのかなぁ?」
武「はぁ? てめぇ、またいちゃもんつける気か!」
ジ「いちゃもんだなんて、そんな。
  でも、そんなことを本当に言ってたのかなぁって、疑問に思ってさ。」
武「なんだと? 俺は確かにこの耳で聞いたぞ!」
ジ「でもさぁ、ファッキンジャップの意味も分からないような英語力で、
  ネイティブの英語をちゃんと聞き取れるのかなぁ?って思ってさぁ。」
武「うっ。でも多分、ファッキンジャップって言ってたぞ。
  9割くらいの確率で言ってた。」
ジ「本当かなぁ? 本当は『発禁ジャック』って言ってたのかもよ。」
武「発禁ジャック? なんだそれ? 意味分かんねぇこと言うなよ。」
ジ「えっ!? あの有名な発禁ジャックさんを知らないの? マジで?」
武「何? その発禁ジャックってのは、そんなに有名なのか?(動揺)」
ジ「はぁ〜、発禁ジャックさんを知らないなんて…
  君は本当にアメリカのことを何も知らないんだね。」
武「そこまで有名なのか…で、その発禁ジャックってのは何者なんだよ。」
ジ「そんなの、そこら辺にいるアメリカ人に聞けば、すぐに分かることだよ。
  あーあ、やっぱその程度の知識じゃ、完璧なヒアリングなんて無理だね。
  無理無理。絶対無理。」
武「そうなのか…だんだん自信が無くなってきちゃったな。」
ジ「なんだ。そんなに大した自信もないのに、
  この人たちを撃っちゃったの? 非道いことするなぁ。」
武「あぁ…そうだね、この人たちには悪いことをしたね。」
ジ「悪いことをしたと思ったら、素直に謝った方がいいぞ。」
武「うん、そうだね。ギャングさんたち、早とちりして撃っちゃってゴメンね!」
ギ「ピクピク(痙攣)」
ジ「『もう、気にしてないよ』だってさ。」
武「本当? 良かった〜。」
ジ「でももう、知ってる単語が聞こえた気がしたからって、
  早とちりしちゃダメだぞ。」
武「うん、分かったよ。でも、英語って難しいね。」
ジ「英語に関わらず、言葉でコミュニケーションをとるってのは、
  結構難しいことなんだよ。」
武「えっ!? そんなことないよ。日本語なら僕にだって完璧に理解できるよ。」
ジ「いや、それがそうでもないんだよ。」
武「え〜? なんで?」
ジ「えーとねぇ、例えば『金髪の美しい女の子』って言われたとするよね。
  これはどういう意味だと思う?」
武「え? そのまま、金髪の美しい女の子って意味じゃないの?」
ジ「そうじゃなくて、『美しい』のは『金髪』? それとも『女の子』?」
武「うーんと…金髪かなぁ? でも、女の子ってこともあるよねぇ。
  んー…どっちの意味でもとれるよ。」
ジ「そうだろう? だから、言った人は『金髪が美しい』という意味で言ったのに、
  言われた人は『女の子が美しい』って解釈しちゃうことがあるんだよ。」
武「ふーん、言葉って難しいね。
  でも、言葉を使わないと、相手に何かを伝えることなんてできないよね。」
ジ「いや、そんなことはないよ。
  言葉を使わなくてもコミュニケーションは可能だよ。」
武「え? どうやって? ジェスチャーとかそういうこと?
  でもジェスチャーじゃ、言葉よりも正確に何かを伝えることはできないよ?」
ジ「いや、ジェスチャーでもないんだよ。」
武「じゃあ何なの? 勿体ぶらずに教えてよ〜。」
ジ「フフフ、それはねぇ…テレパシーさ!」
武「テ、テレパシー!? ホントにそんなことができるの?」
ジ「簡単だよ。さっき、ギャングさんが伝えてくれた『もう、気にしてないよ』も
  テレパシーで感じ取ったんだよ。」
武「ホント!? すごーい! ねぇねぇ、僕にもできる?」
ジ「あぁ、君にだって簡単にできるよ。やってみるかい?」
武「うん、やるやる。で、どうやるの?」
ジ「まず、頭の中に伝えたいイメージを思い浮かべて。」
武「うん、思い浮かべたよ。{岸本加世子}」
ジ「それを私に向かって送りつけるようなイメージを浮かべて。」
武「えーと、こうかな?
  {岸本加世子〜、岸本加世子のイメージ〜、伝われ〜}」

バキューン

武「ぐはっ! うぅ…… な、なんで撃ったんだよ?」
ジ「てめぇ!『ファッキンアメ公』ってテレパシーを送ったろ!
  そのくらい分かるよ、バカ野郎。」
武「そ、そんなことを送ったんじゃないのに…」
ジ「ウソ!? マジで? 早とちりして撃っちゃってゴメンね!
  え? うんうん。『そんなの気にしてないよ』って? 良かった〜。」
武「それも送ってないよ…」
ジ「ドンマイ、ドンマイ。」
武「うぅ…… と、ところであんた、何者だったんだよ…」
ジ「あ、これは紹介が遅れまして。わたくし、発禁ジャックと申します。」
武「お前がかよ。」































真木蔵人「あの〜、僕の出番は?」


01/10/24