ローグス報道の歴史

voi1 PHP月刊「Voice 」 1982年9月号 

(現在は廃刊)

当代マニアック群像H 撮影:林 義勝

真夏にスウィング
---ザ・ビッグ・バンド・オブ・ローグス






voi2 なぜか、スウィング・ジャズには夏のイメージがある。トランペットの躍動的な響き、はずむようなピアノのメロディー、そしてアルト・サックスの気だるい音色。 まさに真夏の雰囲気そのものだ。アマチュア・ビッグバンド「ザ・ビッグ・バンド・オブ・ローグス」のメンバーたちは、そんな音楽ごころを知りつくしたプロ顔負けのミュージシャンたちである。



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 現在、正式メンバーは23人。一人をのぞいて総てがサラリーマンである。毎週金曜日の練習には、仕事帰りの足で練習場に駆けつける。練習の段取りをうち合わせ、楽譜を配る。一つひとつが手作業で行われてゆく。(注:現在は練習日は土曜日です。)



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音あわせ前の個室での練習。一つの楽器の音色で曲調は微妙に違ってくる。それだけに、この練習が必要なのだ。気に入った音が出るまで、何度でも繰り返し音を出す。 バンドのメンバーたちは異口同音に、「楽器を手にしていると仕事の疲れも忘れますよ。 とにかく、好きなんですね。」と語ってくれた。

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 演奏前、バンド・リーダー、伊波秀信さん(40歳)を囲んでのひと時。この日、川崎市民プラザでアマチュア・ビッグバンドのシンポジュームが開かれた。伊波さんはこの催しの世話人でもある。「ローグスは結成して15年になりますが、年々同じようなバンド仲間が増えて、今では400以上を数えていましてね」とのこと。音楽を通じて集まったもの同士、この日ばかりはメンバーたちの顔も綻びっ放しだった。




月刊ぴあ「Calendar」 1983年7月号

現在は廃刊

NEW SCENE (Photo 生井秀樹)

アフターファイブをクリエイティブに
−−−−−ビッグバンドに興じる親父たち

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練習は、細部に渡って徹底的に行われる。 ご覧の通り、ローグスのメンバーは顔も年齢もバラバラ

 アフター・ファイヴをいかに過ごすかで、その人の人生が決まってしまう、とはちょっと大袈裟だけども、今、仕事のない時間、つまり余暇の過ごし方が重要になりつつあるようだ。スタンダードなところでは、赤ちょうちんで同僚とイッパイ、クァルテットで一荘、ひとり淋しくオール7……最近健康的に、釣りテニスなんてのもあるが、仲間とバンドをやるのもまた新しい世代らしい「お遊び」ではないだろうか。
 今、アマチユア・ピッグ・バンドが何故か盛んになってきている。、学生のそれでなく、社会人のビッグ・バンド。ひと言で言ってロートル団体。これがなかなかイキが良いのだ。
 KBL=神奈川県ピッグ・バンド連盟は、働きながら活動を行なうバンドが集まって出来た連盟である。発足は、なんと今から15年前。その間、若干のバンドの移動はあったものの、ジャズがすたれようと、フュージョンが流行ろうと、キレイなお姉ちやんが歌おうと、ただただピッグ・バンド一筋に生きてきた連中なのだ。
 5月某日、KBL加盟団体のひとつ、ザ・ビッグ・バンド・オブ・ローグスの練習場を訪ね、話を聞いた。
 世田谷、午後8時。五月雨がしとしと降る中、楽器ケースを大事そうに抱えて、ひとりふたりと集まつてくる。ローグスには21歳の学生から、不惑の40まで、営業マンもいれば公務員もいる。仕事が忙しい奴がいれば、もちろんそうでない人も。それぞれがピッグ・バンドを愛し、音を出したいがためにやってくるのだ。到着順にセッティング、音出し、開始時刻の8時30分頃には、全員が揃う。
 このローグスのようなアマチュア・バンドは全国に450から500を数えるという。職場団体、大学のOB会、単なる集まり、と構成さまざま活動もいろいろだ。伊波氏は、山野楽器で山野ピッグ・バンド・コンテストを始めた人。ビッグ・バンドを吹奏楽や合唱団なみに認めてほしい、という彼の願いから、ピッグ・バンド・シンポジウムが企画された。今年で2回目を迎えるこの催しは、KBLが中心となり、全国のバンド仲間や一般大衆と交流を持とうとする場である。彼は言う。             
 「昔はピッグ・バンドというと、大学生がメインだったんです。早稲田のハイソとか慶應のライトがずば抜けてて、このふたつを目標にやってきた。ところが、今の学生バンドにはエネルギーがない。どんぐりの背くらべですよね。ところが社会人のバンドは当時学生だった連中が入ってきて、確実にレベル・アップする一方、地域ごとに連盟を作ってまとまってきてるんです。KBLが15年、この口ーグスが10年、やっと、何とかなりそうな気がしてきました」
 メンバーには、結婚して子供を持つ父親もいる。「子供も妻も、もうあきらめてるみたいですよ。家でもふとんかぶってトランペットの練習してますからね」。また「もう離縁されるかもしれません・・・」と冗談交じりに言う、トロンボーンプレーヤーも。ドラマーは「タイコを順々に課長、部長の顔に見たててやってます」と。さぞかしいい昔がするだろう。
 このように、全員が仕事と趣味と家庭の両立に苦しみながら、やっぱり音楽が、ビッグ・バンドが好きでやめられないのだ。本職でなく余った時間に自分で音楽する。クリエイティヴな生き方に拍手を送りたい。


「麻雀放浪記」サントラ盤録音   1984年公開映画

hourou 和田誠監督、真田広之主演、鹿賀丈史、大竹しのぶ、加賀まり子などが出演した名作映画。サントラ盤B面の「センチメンタル・ジャーニー」を護国寺のスタジオで録音。
どこにも書いてないけど、本当です。映画の中ではダンスホールからかすかに聞こえてくる音楽として使われています。機会があったら聞いてみてください。
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1984年5月10日(木)  日本経済新聞(夕刊)

世界最大のジャズフェスティバル  モンタレーから招待状
日本のアマバンド 夢実現、はりきる 

84-0ジャズ好きのサラリーマンで作っているアマチュアバンドのもとに、九月に開かれる米国の モンタレー・ジヤズ・フェスティバルの事務局から招待状が届い た。世界最大のジャズフェスティバルのひとつといわれる催し に、日本のアマチュアバンドが出演するのはむろん初めて。金曜日の夜しか練習できないサラ リーマンバンドのつらさを乗り越えた夢の実現だけに、「これからは何とか練習量もふやしたい」とメンバーは大はりきり。 もっとも10日以上の休暇をどうやってとろうかと、サラリーマ ンならではの悩みも出始めた。(注:現在は練習日は土曜日です。)

宮仕え・・・頭痛い休暇とり

 このアマチュアバンドは「ザ・ ビッグバンド・オブ・ローグス」。 法政大学OBで日本電子工学院講師の伊波秀進代表〈42)が43年2月、学生時代からのジャズ仲間でウエラ化粧品に勤めている小松九一郎さん(41)らに呼びかけて作った。メンバーは現在24人。東芝、日本電電公社、住友建設、富士通、日揮、いすゞ自動車、旭硝子など一流企業に勤め るサラリーマンが大半だ。
  モンタレー・ジャズ・フェスティ バルは米国カリフォルニア州モンタレーで開かれる世界有数のジャズフェスティバル。約30の一流プロバンドを呼んで9月14日から 3日間開かれる。例年最終日に地元のハイスクールのアマチュアバンドが出演するが、ことしはこれにローグスが特別参加することになったもの。
 「世界トップレベルのモンタレーのフェスティバルに参加できることは、社会人バンドとして超一流と証明されたこと」とこの快挙を喜ぶのはジャズ評論家の瀬川昌久さん(ダウケミカル日本常任監査役)。「日本のサラリーマンがエコノミックアニマルばかりでない ことを示してきて欲し」と期待する。
  ローグスがモンタレーから招待 されることになったのは伊波さん と親しい米国カリフォルニア大学バークレー校のバンドのマネジャー、ビル・ラット氏の口ききによる。ラット氏がことし1月来日した際、伊波さんが「モンタレー のような本場で一度演奏してみたい」と"夢"を語ったところ、話がトントン拍子で進んで、このほど正式の招待状が届き、「夢がアッという間に実現してしまった」 (伊波さん)。
  もちろん話が順調に進んだのは ローグスの実力が高い評価を得て いるからだ。ローグスは毎月ニュー山王ホテル(東京・麻布)で米軍人のダンスパーティーに出演しているほか、米国大使館や英国大使館や米軍横田基地などでも招かれて演奏をしており、在日外国人社会では有名な存在という。 米国へは9月中旬、11日間の日程で出発、カリフォルニア大学 やディズニーランドでも演奏する計画。大半のメンバーがサラリーマンのため練習は毎週金曜の夜しかできないが、今後は練習時間を増やし、演奏曲目なども早急に決 めるという。
  ただ問題は費用と休暇をどうやって確保するかということ。旅費は一人当たり少なくども50万円は必要で「どこかの企業でもスポンサーになってくれれば…」と伊波さん。また11日にわたる休暇をサラリーマンはなかなかとりにくいのも悩みのタネで、小松さんも「実はまだ会社に休暇の申し出をしていない」という。サラリーマンが社外でこうしたアマチュア活勤を行うには「社内で理解を得ることが一番大切」と改めて実感しているという。


1984年9月18日(月)モンタレー・ジャズ・フェスティバル関係の新聞記事

 The most novel event of the festival, billed as the Japanese All-Star Band, played the Garden Stage Sunday.
  In truth, the band is starless; its members are engineers, computer scientist and other non-pros who meet once a week in Tokyo to rehearse for kicks. They paid their way to the United States for a tour that includes a date tonight at Carmelo's in Sherman Oaks. To prepare for the tour, conductor Hidenobu lba put them through a month's rigorous training.The result was a spit-and-polish performance, longer on accuracy than emotion.
  The orchestra includes two dance band-type vocalists: The male was very proper in his tuxedo and rimless glasses, singing "I've Got You Under My Skin" as if he had learned the words by rote; the female was looser as she scatted a chorus of "Love for Sale" in unison with the five saxophones.


1987年7月27日(月)  日本経済新聞(夕刊)

開幕飾る東京のアマチュアバンド
9月、米加州で  腕に自慢の社会人23人

87-0 サラリーマンや高校の先生など アマチュアだけで編成した東京のジャズ・ビッグバンドが、今年9月米国・カリフォルニアで聞かれる世界的に有名なジャズ祭 「モンタレー・ジャズ・フェスティパル」の開幕ステージを飾ることになった。国際交流基金も「日米文化親善に役立つなら」 と、異例の助成金として百万円を贈る。同パンドはジャズ祭に出演するほか、加州などの5つの高校を訪れ、高校生バンドと共演 することも予定しており、スイングビートに乗った粋な国際交流が実現しそうだ。

 このパンドは「ザ・ビッグバンド・オブ・ローグス。女性一人を合む23人編成のフルバンドで、全員がアマチュアの社会人。 メンバーは26−45歳までで、いすゞ自動車の設計担当、富士通の営業職、旭硝子の広報課勤務など、ほとんど全員が東京や 神奈川県下の企業に勤めている。
 パンドの結成は昭和43年2月。当時、銀座の山野楽器に勤めていた現リーダーの伊波秀進さん(45)が学生時代の仲間を集めで ジャズパンドを組んだのがきっかけだつた。「ローグス」という名前は「やんちゃ坊主」という意味の米のスラングという。
 今回、伊波さんがフェステイバルのプロデューサー、ジミー・ライオンズ氏の側近にテープを持ち込んで売り込み、認められてモン タレーへの出演が決まった。テープを聞いたライオンズ氏は「これが日本のアマチュアバンドの演奏か」と驚き、早速出演を要請して きたという。
 訪米を決めためた伊波さんは国際交流基金に働きかけ、援助を要請したところ、メンバーの航空運賃の一部として百万円の助成金を 出してくれることになった。また、日本の有名なジャズ・ピアニスト、秋吉敏子さんも、バンドのためにわざわざ曲を2曲書き、現地 へ同行して指揮をする。
 モンタレー・ジャズ・フェスティバルは今年が30周年に当たり、例年にない豪華メンバーが出演、記念すべき年を祝う。出演者は モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)、ウディ・ハーマン・オーケストラ、ボーカルのアーネスティン・アンダーソンなどジャズの 黄金時代を支えてきた大物たちばかり。
晴れの舞台を2ヶ月後に控えた「ローグス」のメンパーは、懸命の練習に明け暮れる毎日が続いている。 全員が社会人のため、訪米 のための休日を取るのも難しい。メンバーの中には既に上司を説得した人や、夏休みを返上して九月の休みをとれた人もいるが、まだ 上司に言いだせなかったり、反対された人も。メンバーの一人でトロンボーン担当の中沢哲典さん(37)=NTT勤務=は「フルバ ンドのジャズは一人でも欠けると成り立たないので、何とかうまくやりくりして実現させる」と話している。

文化交流推進に期待 ( ジャズ評論家・瀬川昌久ざんの話)

 「ローグス」は日本でも最高レベルのアマチュアバンドだが、その実力が米国の権威ある音楽祭にも認められたことは、我々ジャズ ファンにとってもありがたいことだ。ジャズ教育を通じて今後ますます日米間の国際文化交流が進んでいくことを期待したい。

世界のジャズ祭「モンタレー・ジャズ・フェスティバル」

カリフォルニア州モンタレーで毎年9月、世界の一流ジャズメン を集めて開かれる音楽祭。1958年以来、ルイ・アームストロング、ソニー・ロリンズ、ビリー・ホリデー、チャーリー・ミンガスな どキラ星のようなスターが出演、歴史的な名演奏を残した。ニューポート(米国=現在の名称はクール・ジャズ・フェスティパル)、モ ントルー(スイス)と合わせて世界の三大ジャズ・フェスティパルとされる。


Swing Journal 1991年7月号

全国JAZZ ネットワーク 30
社会人ビッグバンド 《The Big Band of Rogues》

自称社会人No.1 !? ビッグ・バンド・オブ・ローグスだ !!

全国のいたるところにあるアマチュアのホットなサークルを紹介する好評連載。第30回は、日本全国の社会人No.1を自称するあ またのビッグ・パンドの中でも異常なノリのよさが評判のローグスを訪ねた。束京六大学ビッグ・パンドOBを中心とする彼らの実カと 正体をここに紹介。●吉村浩二
ピートルズの曲に〈シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウインドー〉というのがあるのだけど,夜中に学校の音楽室に窓か らしのびこんで練習をする,なんだかわけのわからない社会人ピッグ・バンドがあるという。窓からしのびこむような人が、はたして, ちゃんとした社会人なのだろうか。興味がわくなあ。
場所は,世田谷の住宅街だという。ぼくのうちからは,車でちょっとの所だ。夜9時からメンバーが集まるというのでぼくは,うちの奥 さんといつものように,赤いボーズのスピーカー,イタリアーノでジャズを聴きながら晩ごはんを食べて,それから出かけることにした。ちなみに,晩ごはんは,スペアリブとスパゲティで,最後にエスプレッソ。

深夜のアメリカン・スクールの地下にみたものは…

目黒通りにあるぼくのうちを出て,10分くらいで日的地に着いた。そこは,閑静な住宅街の中にあるアメリカン・スクールで夜だから校 舎全体の電気は消えているのだけど,半地下のようになった音楽室だけ,あかりがついていて,ピアノを弾いたりサックスを吹いたりし ている。音は,少しももれて来ない。ぼくたちが外で様子を見ていると,楽器を持った人が、本当に窓から入って行く。つづいてぼくた ちも窓から入ったのだけど,映画のワン・シーンみたいな感じでワクワクしてくる。でも,クセになるとマズイかもしれない。
部屋に入ると,階段教室になっている。くわしく話すと,黒板があって,それが見やすいように生徒の机がうしろに行くにつれて高く作 られているのだ。まあ.それが逆だと,とても使いにくいものね。この部屋だと,ビッグ・バンドの練習は,とてもやりやすいと思うな あ。トランペット・セクションを一番高い所に置いて.順にトロンボーン,サックスとセクションを決める。これは,トランペットがう るさいからというのではなくて,伝統的なビッグ・バンドの並び方なのだ。もともとの理由は,そうだったのかもしれない。よくは,わ からない。これで、部屋の壁にカウント・ベイシーやデューク・ユリントンの写真がはってあれぱ最高なのだけど,いくらアメリカン・ スクールでも,そこまでは望めない。
リーダーの伊波さんに紹介してもらって,どうして窓から入るのですかと聞いたら,学校の安全のためとのこと。まあ,それはそうだよ ね。玄関も夜に開けておくというのは,不用心だものね。でも,知らない人が見たら,びっ〈りすると思うなあ。このアメリカン。スク ールは,以前は三田にあったのだけど,その時からバンドの練習場所として好意で使わせてもらっている。それは,音楽担当の先生と伊 波さんが仕事で知り合って親しかったからなのだけど,伊波さんの仕事がとても役に立っているのは練習場所だけではない。もっと深く,バンド活動全体に役立っているのだ。
その伊波さんの職業は何なのかというと,ピッグ・バンド・サービス・クリニックだ。これは,ピッグ・バンドのメンバーの汗にまみれ た服をサービスでクリー二ングして〈れるのでみんないつもさっぱりとした気持ちで練習にうちこめる,といったことでは,もちろんな い。そうではなくて,伊波さんの仕事は,アマチュア・バンドのクリニックや譜面の手配そういったことなのだ。だから,ローグスのメ ンバーは譜面にこまるということはまったくなくて,それどころか,毎週新曲を練習している。これは,めぐまれているよね。
リーダーは,ちやんとした社会人であるということがわかったので他のメンバ一はどうなのかなあと思い,練習前に時間をさいてもらっ てお話をうかがうことにした。

鉄壁のアンサンブルを誇るホーン陣。クールな礼儀正しさの中にも
情熱あふれるプレーぶりににはウエストコースト・ジャズを
感じたが?

メンパーの在籍年数の長さが語る家族的パンド

アメリカンスクールの半地下の音楽室で
練習に励むローグスの面々。
練習室に入るには
窓から入らねばならない。
だから、背の高い人はこうなる。

アルト・サックスの小松さんは,リーダーの伊波さんが23年前にこのバンドを創設した時からのメンバーだ。『何と言っても,バンド で演奏することの楽しさが一番の魅力』と小松さんは言う。そして,『いくら仕事で疲れていても,ここに来て楽器を持つと,すべてを 忘れて元気になる』とも言う。このことについては,話に参加していただいたメンバー全員がうなずいていた。うーん,わかるなあ。その23年前のバンド創設のことについて,伊波さんにうかがう。『大学でバンドをやっていて社会に出ると、しばらくしてまたやりたく なってくるんですよ。そこでそれだったらということで12月のダンス・パーティなどで一緒に演奏していたメンバーが集まってやるようになって,バ ンドができた。結果として,東京六大学を中心としたメンバーになったのですけど』。
その当時からずっと,金曜の夜に1回集まる というペースでバンドはつづいている。時間はというと,暗黙の了解で,夜9時に集まって9時半に音出しスタート,そして11時半くら いに終わる。この,暗黙の了解というところがいいよね。これを,あまりガンジガラメのルールにしてしまうと,たぶん23年間もはつづかなかったと思うなあ。実際には,音出しは10時になることもあるし,終わりは11時半よりたいていの場合遅くなるらしい。23 年間もつづいていると,バンドはもう生活の一部になってくる。ドラムスの小池さんとトランペットの宮沢さんは,就職と同時にローグスにも参加した.何と言うか,就バンドだ。ばくが練習室に入った時,さかんにバド・パウエルの(クレオパトラ の夢〉の練習をしていた唯一の女性プレイヤー,ピアノの鴫原さんはバンドに入って12年。バンドのクレオパトラと言っても,い いよね。以前は宮沢さんの奥さんもローグスで一緒にトランペットを演奏していたのだけど.赤ちゃんができて来られなくなってし まったという。こういう話を聞〈と,本当にバンドが生活の一部という感じが伝わって〈るよね。これまでの話でもわかるように,ローグスのメンバーの在籍年数はとても長い。そのことについてバス・トロンボーン担当で在籍10年という市浦さんは,『技術より人柄てメンバーは選ば れているのでとても仲がいい。でも,そこが新しいメンバーから見ると排他的に映るかもしれない』と言う。だけど,その市浦さんの言葉自体に,新しいメンバーに対する気づかいがあらわれていると思うなあ。
ローグスのコンサートは,1年に3〜4回。世田谷まつりなどのアトラクションに招かれる回教は,その倍くらいなのだけど,うかがった時は,ローグスはじまって以来の自主コンサートを次の週にひかえていた。ふだんのステージでは,自慢の読譜力とレパートリーの広さで曲目も決めずにスタートして,お客の反応をリーダーの伊波さんが見ながら次に演奏をする曲を決める。でも,大田区民プラザでの今度のコンサートは,曲目もジャズとラテンのスタンダードでキッチリと決めてあるという。学生時代のような,数小節単位の練習を,とても楽しそうにしているメンバーの顔を見ている と,夜のふけるのも忘れてしまう。音楽って,いいよね。

(注:現在は練習日は土曜日です。)