(その一)

句碑121 冬ざれて万象已に眠りをり  法花

冬 眠

俳句寺は十二月に入ると、境内にある木々の紅葉した落ち葉が散り、

家族みんなで境内の落ち葉掃除の毎日が続きます。山は楢の木の枯

葉が散策コースの道に落ちてまるでジュータンを引きつめた様に成り

ます。散策する人の落ち葉を踏みしめる音が境内に響き渡るほどです。

寺では、この落ち葉を集めて運び、堆肥を作って来年の野菜を作るため

の肥やしにしています。そして、十二月の下旬になると、境内の木々も来

る年に備え、まだまだ堅い蕾を持ちながら体を休め、冬眠に入ります。

 

 

12月の仏教行事         成 道 会

十二月の仏教行事は、八日がお釈迦様が明けの明星を見てお悟りを開いた事に因んで、

僧堂やお寺では成道会 と云う行事があります。特に僧堂雲水さんにとっては「 雲水殺しの

大接心」と言われる辛い修行の日々が、一日から八日までの七日間続きます。朝から晩ま

で座禅座禅、そして、夜も横になって眠る事も出来ません。

 

お焚上げ

正覚寺では、十二月二十八日は餅つき をして、正月のお供え物を作ります。一般に「餅つき」は

二十八日にするもので二十九日の「餅つき」は「苦」を撞くという事で行いません。寺では午前中、

仏殿や、床の間、鐘楼堂等へ正月に飾る「鏡餅」を撞きます。(最近では残念ながら電気の機械で

餅を撞いています。)  お焚き上げ」は薄暗くなった午後四時頃から始めます。檀家さんから集め

られ、要らなくなったお人形や、その年のお札、位牌等、そして俳句寺の一句掲示板に掲げられた

奉納俳句を、寺の子供達とお経をあげながら燃やし、今年の無事平穏に感謝しお焚上げをします。

最近はお焚き上げを、お願いする人も段々なくなってまいりました。お寺の方も、時々不燃ごみや

有害の煙やガスを出す物もあり、お焚き上げする物はお札や位牌等の燃える物に限っています。

 

松  飾

正月のための松飾

十二月三十日は、正覚寺では正月の為の「松飾」をします。前日の二十九日

に「松」、「竹」、「梅」、そして「南天」を切って置き三十日に飾り付けます。南天

の実はいつもヒヨドリの餌と成ってしまい、実のついた南天を探すのにいつも

苦労します。それに「松」は山に取りに行くのですが、松食い虫の被害で、いつ

か松飾も出来なくなるのではなんて心配をしています。尚,三十一日に松飾をす

るのは「一夜飾り」といって昔からよくないと忌み嫌われていますので御注意下さい。

 

 

除夜の鐘

正覚寺では、十二月の三十一日大晦日に除夜の鐘を撞きます。NHKの紅白歌合戦の大鳥が歌う

十一時四十分位から、本堂、鐘楼堂に明かりをつけ、鐘撞堂の上り口に温まる焚き火の火を着け、

甘酒を用意して住職は五十メーター上にある鐘撞堂に向かいます。そこで般若心経を三巻上げな

がら「除夜の鐘 」を撞き始めます。除夜の鐘は本年度中に百八つの鐘を撞き終わらなければいけ

ません。ですから零時前には百八つ撞き終わるのが本当なんです。本年度中に積もり積もった煩

悩を打ち消して、来る年には新鮮な新しい気持ちで新年を迎えると言うのが本来に意味するところ

です。元旦の零時過ぎから正覚寺本堂では、老僧が 新年の祝聖の読経を始めます。そして、この

頃から一般の参拝者も、お参りや鐘撞きに上って参ります。一般の皆様方が十二時過ぎに撞く鐘

は、新年を祝し、新年の心持や、御願いを願う鐘と言って良いでしょう。正覚寺の鐘は元旦の二時

ぐらいまで、参拝客の人々によって打ち鳴らされます。向かいの山には石老山と言う山があり、そ

こには古義真言宗の顕鏡寺というお寺があります。このお寺の鐘と大智山正覚寺(俳句寺)の鐘が

一キロの距離を挟んで交互に、或いは、同時に鳴り響く様は実に情緒あるものです。

参拝客の新年の鐘撞き 焚き火場所で新年の挨拶風景 本堂での祝聖の読経とお参り

 

蝋   梅(ろうばい)

俳句寺の境内に一月に入ると、「蝋梅」が咲き始めます。蝋梅と云っても後で梅がなる分けでもなく

全く木自体は梅と似つかぬ種類です。折れやすく、そして、梅のように木が堅くありません。蕾や花

の形は梅に似ています。それに特有のよい香りがして、俳句寺境内に素晴らしいよい香りを撒き散

らしています。この時期一度訪ねてみて下さい。冬の俳句寺もよいものですよ!

十秒お待ちください、二枚の写真が代ります。
境内に咲く蝋梅、頂上に鐘楼堂あり。


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