【時の流れに身をまかせ…】 

BY:上海ジョゼフィーヌ

 

 

馬超殿は…どうして…あんなに…その、精力的…なのでしょうか?あれは民族的な血故…なのですか?何というか…とにかく…

とても…アレが…好きな人です。

自分はとても淡白な人間だ、と思ってます。もちろん過去に幾人かの女性との…関係はありました。…ついでに言うと…確かに男性にそういう事を無理矢理求められた経験も…あります…。あまり…思い出したくない過去…ですけど。故に私は…馬超殿が…初めての相手ではありません。…だからかも…しれないのですが…私はこの行為が好きではありません。無くとも生きていける…ずっとそう思ってきたから。ただ…私も男ですからどうしても…吐き出さないといけない時がある。…自慰行為でさえも後冷たさを感じる事があるけれど…それでも人との情事に溺れるよりはいいのだ、と。

馬超殿はそれを「もったいない事だ」…と言う。
「人肌の温かさと、行為の気持ち良さを知らずして、生きるのは空し過ぎる」
「…色欲に溺れるのは良くないと思います」
「溺れる、と感じる程に……俺のは…良いのか?」
己の額を私のそれに押しつけてきた。思わず紅潮する頬。彼の獣のような金色の瞳が、悪戯っぽく笑っている。…そのまま私の唇にそっと接吻を…何度か繰り返す。

「だいたいな…」
彼の右手が…困った場所を探り始める。……もう…する気なのですか…?

「やはり他人にやってもらう方が気持ち良いだろう?」

そう彼は言うのです。…………確かに……そうかもしれません…けど。

彼は…その、つまり…とても上手なんです。男同士だから…気持ちが良いトコロを知り尽くされているから?馬超殿の指が…舌が肌に触れる度に…どうしようもない快感が襲ってくる…。過去に…こんな…経験…した事はなかったんです。困ってしまうんです。

最初はずっと我慢してます…。
声を出さないように…なるべく身体を震わせないように…。

……だって…恥ずかしい…じゃないですか…。
こんなあさましい姿を…見られたくない、と思うのは当然だと思うのです…。

だけど…だけど…やがてどうしようもなく激しい波がやってきて…浚われてしまう…。

声が溢れてしまう。
身体が…更に馬超殿の愛撫を求めてしまう…。
熱い吐息…熱を帯びた肌…視界がぼやけてきて…うわ言のように…馬超殿の名前を繰り返し、哀願する…。

その瞬間が…彼はたまらなく好きだ、と言うのです。

「人形から人間になる…瞬間だよな。…ものすごく綺麗な表情するんだ…たまらないよ」

そう言って笑う彼の表情がとても酷なものに思えて、キツく睨み返しているつもりなのですけど…全然そうは見えないらしくて…返って「ソソる」と彼は言います。

「…ほら…もうこんなに出てる…」
「…い…言わないで…ください…」
「ココ…気持ち良い…よな?こうして…ほら…」
「…!…や…だ…駄目です…や…めて…」

そして涙が溢れてくる…。哀しいからなのか…気持ち良いからなのか…わからない。
そうなると…馬超殿は…そっと優しく…涙を唇でぬぐってくれる…。

「俺と…こういう事するのは…そんなに罪の意識を感じるのか?」
「……よく…わかりません…。でも…こんなに……なっちゃう…自分は…嫌…です」
「どうして?俺が好きだから、こうなっちゃうんだろう?」
「…あっ…!」
「…俺が…嫌い…か?」
「そ、そんな事ありませんっ…で、でも…ああ…ん…」

馬超殿は…好きです…。だからこういう関係になったのですから…。でもでも…こんなに…こういう事ばかりしていて…本当に良いのだろうか…と思うのです。…私は…一緒に居るだけで…良いのに…。それだけで幸せ…なのに。

「俺は子龍が好きだ。愛しているから思いっきり抱きたい。これは当然の心理だろう?」

…でも…私は…女ではありません。女のように愛される…事に抵抗を感じては…駄目なのですか?

「それは…わかっている。俺はお前に温かさを求めたり、お前を守ろう、とは思わない。お前は戦場で背中を預けられる戦友だ。そしてその戦友が俺の愛しい恋人だ」

そう言って力強く抱きしめられる…。この強い抱擁は嫌いではなく…むしろ好きで…。彼の背中に手を回して…胸に顔を埋められる…。この表情を見られないように…。

「…悩んで…いいさ。いつか答えが出てくるまで。お前が自分から俺を求めるまで…俺達にまだ時間はあるのだから」

そう…。彼は…強引で少し我侭で…こういうコトが大好きな…人だけど…優しい…。
優しい人ですね、と言うと、一部の人間にだけだ、と笑うけど。
だから…もう少しだけ甘えて…良いですか?
私の中で答えが出るまで…。

「それはもちろん。…でもヤルコトはちゃんとヤラせて…な?」

…………もう……いいです…けどね……。

 

 

≪貴方の色に染められ…≫…に続く

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