※※「そんな僕らの総帥夫人・2」…Sample…※※

 

◇◇You Really Got Me◇◇  

 

ネオ・ジオン宇宙攻撃軍モビルスーツ部隊に所属する精鋭軍人達の今、最も旬な話題は…
「アムロ少佐がネオ・ジオン軍専用のノーマルスーツを誂えたそうだ」
…という内容であった。
「総帥閣下と同じデザインの特別仕様らしいぜ」
「色は真っ白とか…よくお似合いだろうなあ」
そんな話題をする彼等の…鼻の下は思いっきり伸びている。
アムロ・レイ少佐…もうすぐ総帥夫人となる時期…は、すっかりMS部隊の連中の心をガッチリと捉えて、完全に「真の意味」でのアイドル扱いであった。忌むべき「連邦の白い悪魔」はドコへ行ったのやら…今では「ネオ・ジオンの白き流星」とか「ネオ・ジオンの白い女王」とか勝手に名付けたりしている者達も居る。その興奮度はファンクラブどころかお前達は熱狂的親衛隊かっ…と思わせる勢いがあった。「アムロ・レイ親衛隊」の冠は彼等にとって思惑通りの上等だぜっ…と受けて立つであろう。
「専用モビルスーツ…どんなものになるんだろうな?」
「少佐が搭乗するなら何だって良いと思うぞっ」
「いや…やはり総帥夫人に相応しい素晴らしいMSが必要だろうよ…楽しみだな」
「いっその事さ、白いサザビーとか…か?」
「そうそう、やっぱり白いのがお似合いだよなー」
「そうだな…少佐が乗るなら連邦軍のガンダムタイプだって許すぜっ」
 思い思いの妄想?をデレデレほんわか〜〜とした表情で話すMS部隊の猛者達である。いくら平和な時期とはいえ、軍人としてあるまじき締まりの無い顔になっている事実には、誰も気が付いていないのであった…。
彼等もアムロ少佐との訓練はまだ室内シミュレーション対戦しか行っておらず…一緒に宇宙空間へと出た事が無い。しかしノーマルスーツが用意された事によって、これで総隊長が参加する宇宙空間での訓練が有り得るのだ…そう考えると彼等の興奮度は一気にヒートアップする。
「…少佐のノーマルスーツ姿…かあ…」
「……どんなお姿なんだろうな…あの細い身体にピッチリと…」
「………軍服時だって…あんなに…官能的なのに…な」
 もしNTに近い、勘の良い者が側にいたら…彼等のオーラがどんどんピンク色に変わっていくのをしっかり感じたに違いない。思いっきり不埒な妄想で、総帥閣下の元で暗躍?する情報部の連中の耳に入ったら…タダでは済まされない内容なのだが。

 

「ギラ・ドーガのテスト搭乗…をですか?」
「うん。データを直に集めたいんだ。シミュレーションソフトを作成するのにも必要だしね」
アムロは明らかに嬉しそうである。やっとMSに搭乗出来る故か?敬愛する上官のそんな可愛らしささえ感じる様子が、ギュネイ中尉にも微笑ましかった。
「了解しました。俺も当然出ますよ。他には…」
「取り敢えず中隊長と小隊長は全員だ。彼等の操縦技術も確かめたい事もあるし」
 ピピピ…とキーボードを打っていたアムロの手がふと止まり、ギュネイの顔を見上げた。
「ギラ・ドーガ以外にも…もう一機、ついでに持っていくよ。整備部門に聞いたら直ぐに出せる様にしてある…って言うから」
「え…?……あ!もしかして…アレですかっ?」
「そう…まあ取り敢えず今はアレも乗ってみようかな…だね」
苦笑いに近い表情で、アムロはギュネイに笑いかけた。

スウィート・ウォーターの軍専用宇宙港から、アムロ達を載せた巡洋艦二隻が出港してゆく。
模擬訓練に参加する者はギュネイ中尉以外に十名のパイロットである。総隊長と初めての宇宙空間での模擬戦に、彼等の気分も高揚していた。
ブリーフィングを終えてから、全員が士官専用ロッカールームでパイロット・ノーマルスーツに着替える事となる。
「いよいよアムロ少佐の技術が見られるのか」
「楽しみだな」
一応、隊長職にある役職者ばかりであるので、一般兵の様な下世話な話題は露骨にはしないのだが…数人の者は『ついに噂のノーマルスーツ姿をっっ役得だぜっっ!』と心の中でガッツポーズを決めていたりするのであった…。
ギュネイ中尉は誰よりも素早く着替えて、アムロ少佐専用として与えられている部屋へと急ぐ。アムロはMS部隊総隊長…という役職ではあるが、次期総帥夫人…というエライ肩書きも持つ。
「アムロ少佐はロッカールームなどで他の者と同じ場所で…決して着替えてはならない」
という総帥閣下直々の命令をギュネイも聞かされているのではあるが…これは役職や身分よりも総帥の個人的な思惑の方が大きく影響していると思われる…。
-----まあ確かに少佐の身分なら別にした方が良いと思うけどさ……大佐も心配し過ぎだよなあ…いくらちょっとヤバい雰囲気持ってても…だぜー?男なんだからさあーっっ
アムロ少佐の護衛を務める様になってまだ一ヶ月程…そんな事を考えながらこの巡洋艦の高級士官室のドアの前に立ち、インターフォンを押した。
「アムロ少佐ーっっ…準備は宜しいですかー?」
暫くの間があってから返事があった。
『早いねギュネイ……うん、取り敢えず大丈夫…入って良いよ』
ドアのロックが解除される音が響き、ギュネイは自動で開かれる其処をくぐって室内へと足を踏み入れる
「失礼しますっっ少佐っっ…………っっつつ??!!」

ギュネイの目にいきなり飛び込んできたのは……
白いノーマルスーツに覆われた綺麗な形のお尻だった。
アムロが部屋の中で四つん這いになって、つまりこちらにお尻を向けているのである。…どうやら何か探している様子なのだが。
「しょっ…少佐っっ…あのっ…そのっっ…何かお探しですかっ?」
何故かそのポーズに心臓の鼓動が早くなるのを感じ、声が上擦ってしまう。その四つん這いのポーズのままで、アムロが顔だけをこちらに向けてきた。
「うん…ちょっと落としちゃって……指輪…なんだけど」

「は?…指輪…ですか?」
そう聞き返しながらも視線は…そのお尻から全く外せないギュネイ中尉である。
------な…何だかスゲェ……そそる形なんだけどおぉぉっっっ!
「鎖から外した時うっかり転がってっちゃってさ……ああ…ドコまで行ったんだ」
「えっ…と…重力値調整してみますか?浮いてた方が探しやすいかも………ん?…あっ!」
ギュネイは自分の足元に光るそれを見つける。
「少佐っっ!ココにありましたよっっ!」
その金色に輝く指輪を拾い上げた。赤い小さな宝石がいくつか埋め込まれているソレを見て…天然だろうな、高価なんだろうなあ…と何気なく考えた。
「あっそれだっ…ありがとう、ギュネイ中尉っっ」
嬉々とした表情を見せて、アムロは立ち上がりギュネイからそれを受け取る。そして自分の左手の薬指にそれを填めると、その上からノーマルスーツグローブを装着し始めた。
「少佐……って普段その指輪されていましたっけ?」
「付けてないよ。いつもは鎖を通して首から下げている。外から見えないけどね」
「…婚約指輪……ですよね?」
「うん……でもやっぱり恥ずかしいからさ…くれた人が色々とウルサイんだけど…」

まあ確かに普通の男は…そんな豪華な「婚約」指輪は指に填めてはいないだろうが…アムロが次期総帥夫人だと誰もが知っているのだし、別にいーんじゃないか?とは個人的には思うが。
でもノーマルスーツ着用時には敢えて…なんて、何だかドキドキするなあ、と考え…目の前のアムロ少佐の姿をしみじみと見つめてみる。
総帥閣下とお揃いの…同じデザインの真っ白いノーマルスーツ…関節部に覗く部分だけが赤だ。アムロの髪の色と良く合っている。シンプルなのに目立つ配色……こんな姿だとアムロの細さがますます際立つ感じだ。
------細いんだけど…何だか…太腿とかお尻とか…凄く……何というかーっっっ!
「肉感的」という言葉が浮かんで、途端にブワッと首から上の血が沸騰する様な気がした。
-------た、確かにっっヤバイぜっっ!この雰囲気は……ちょっとなんてモンじゃないっ!凄くヤバイっ!!

※※続きは「そんな僕らの総帥夫人・2」でどうぞ…※※