LOVE BITES
SEX……好きですか…?
俺は嫌い……
嫌い……でした
声を出してはダメだ…と思っていた。
感じている事を知られるのは恥ずかしい、と思っていた。
だから最初は必至で耐えて我慢して我慢して……
……でも我慢できない程の快感の波が押し寄せてきて……
一度漏れてしまうと…もうダメ…だった。
自分でも信じられないくらい…はしたない声…だったと思う。
何を言ってるのか解らない…でも喘がずにはいられない。
揺さぶられる度に恥ずかしい言葉を口にしてしまう……。
こんなの自分じゃない、と…こんな淫売みたいなの…コンナノオレジャナイっっ
そんな姿を全部…この男に見られているという事がどうしようもなく情けなくて悔しくて。
………泣いた。
本気で自分が情けなくて…本気で泣いた。そんな情けない姿の自分を先程からずっと上から見下ろしている奴……
尊大で自信家で卑怯者で意地悪で……大っ嫌い「だった」男……
なんでそんなに余裕の表情?
…なんでそんなに…優しい…瞳…?
「……大丈夫…」
そう言って俺の涙を指で優しく拭う。
「…恥ずかしい事ではないよ…寧ろ私はとても嬉しい…」
「……ウソ…だ…」
「嘘ではないよ…」
「…み…みっともないっ…て思ってる…クセに…」
「まさか…こんなにも可愛いのに」
「そっそれ…侮辱だっっ…バカにしてるんだっっ…うぅ…あ…」
泣きながら感じている?感じながら泣いている…?
もう何だか解らなくなって……ただ…ただ…必至で彼にしがみついた…。
…それが一番最初の…彼と身体を繋げた夜………
……あ……来る……
じんわりと身体全体に上がってくる「それ」をアムロは感じた。
もう幾度も達して吐露しているけれど…その快感とは違う別のアレ…だ。
少し上半身を起こして、先程から自分を揺さぶっている男の首にしがみつく。
彼の耳元で小さく囁くように…「……きて……」と一言だけ告げる。
頷く彼の突き上げてくるリズムが早まり一層激しくなる。
「…ひ…あっ…!…ぁあ……」
限界まで怒張しているだろうの彼の雄が、アムロの内壁で最も敏感な部分を重点的に更に激しくと擦り上げた。その度にその雄を奥へ奥へと導くように収縮する内部は、男に耐え難い快感を与えてくれる。無意識の動作とはいえ…これ程までに熱く男を狂わせる秘所を持っている事を…本人はもちろんだが彼を知る他の誰が想像が出来るだろうか?普段のアムロ本人のイメージと大きくかけ離れたその秘密を知っているのは自分だけ…それが余計に男の征服欲を煽るのだ。
「…は…ぁあっっ…!…シャ…シャア……シャア…っっ」
一番のオーガズムを迎える時にはいつも自分の名を呼び続けてくれる。殊の外強くしがみつき、腰の動きを自分のそれに合わせて一緒に上り詰めようとしてくれる動作が何よりも愛しい。そんな愛しい存在に何度も口吻を送り、下腹で擦っていた彼の濡れた雄にも指を絡ませ強い刺激を与えてやる。アムロのしなやかな体が大きく弓なりに仰け反る。彼の雄はもう幾度も達しているせいか薄い透明に近いものを出すだけだが…逆にそれがますます淫猥でとても刺激的なのだ。
「…アムロ……」
名前を呼んでから最奥を幾度か激しく突くと、合図かとばかりにそこはきつく締め上げてきた。
その刺激にクッと呻き、熱い白濁の放流を放つ。
「…っっ…あぁぁぁぁっ…………!!」
アムロのイク時の声は本当に心地良い………絶頂の余韻で全身が弛緩している。
いつもの事だか…はぁはぁと荒い息を吐きながらしばらくは動けない。
そんなアムロとは対照的にまだ余裕が見えるシャアは、彼の髪や頬を優しく撫でている。
「…大丈夫か…?」
毎回毎回同じ事を言うよな…と何気なく思った。まあ…確かにここ暫くは無かった激しい営みであったので、かなりの疲労感は感じている。
「……みず………」
シャアは優しく笑うと一度キスを落としてからベッドを降りた。素肌にガウンを羽織り寝室を出て行く。そんな後ろ姿を見送りながら、アムロは大きく息を吐き出して横向きに体制を変えてみた。途端に自分の中でシャアの名残をいつも以上に感じ瞬時に赤くなる。
----ううん……何回…入れたっけ?…2…いや…3回…?
だからこんなに身体重いんだよぉーもぉー…と枕にぱふっと顔を埋める。もちろん気持ち良くないが、シャワーを浴びに行くのはあまりにも億劫だ。
----いいや…後でシャアに連れて行って貰おう……
それでまたバスルームで……になっちゃうかもだけど、もうどうでも良い。
ふと今の自分のそんな思考を「ああ…嫌だ慣れちゃって…」と思い、深い大きな溜息を吐き出した。
「…何をそんなに…大仰な溜息なぞ」
ミネラルウォーターのボトルを手にしたシャアが少し不機嫌そうな顔で自分を覗き込んでいる。
「………」
チラリとシャアを見てからモゾモゾと気怠い様子で起き上がった。冷たいボトルを受け取り一気に喉を潤す。ボトル半分ほど飲んでからシャアに戻した。彼もそれに口を付け、そのままサイドテーブルの上に置く。シャアは再びベッドの中に戻ると、大きな枕を背もたれにしたまま少し憮然とした表情のアムロの肩を抱き寄せた。
「…何がご不満かな?」
「……不満…ってワケじゃないけど…」
シャアの肩に頭を預けてアムロは静かに言葉を漏らす。
「何て言うかさ……その…慣れちゃった…なあって…」
「…ふむ…成る程」
合点が行くという返事に思わずアムロは傍らのシャアを睨み上げた。
「何だよ…その台詞ーーっっ」
「君と初めての夜と比べての素直な感想を述べただけだ」
あっさりと言ってのけるシャアにアムロの顔は羞恥でみるみる赤くなる。
「…やっぱり…覚えているんだ……」
「忘れるわけがない」
キッパリと言い切り、傍らの恋人の髪や額に優しく接吻を繰り返している。黙って大人しくそれを受け、今度は小さい溜息を付くアムロ。
「…まあ…いいか……シャアの…お陰だから…」
「何が?」
楽しげな表情を浮かべて顔を覗き込まれる。…ったく…これ以上コイツを図に乗らせてどうするんだ俺!…と思いながらも。
「…俺さ……SEX…って嫌いだったから」
「…ほう?」
面と向かって言われたのは初耳だな、とシャアは思う。
「嫌い…っていうか…苦手か」
本当はあまり話したくないであろうの弱い部分を打ち明けてくれるのは素直に嬉しい。
「多分…俺…“下手“だったと思うんだ……」
気恥ずかしいのだろうか?アムロはシーツを顔の辺りまで持ち上げてきた。
「…どうしたら彼女達が喜んでくれるか…良く解らなくて…色々と頑張ってみるんだけど…どうもね…誰にも満足して貰えなかったよーな気がするし…」
意外にも複数形である事に、取り敢えずシャアは自分の思いつく女性達を記憶の中で探っていた。…まあ自分の知らない過去の時期もあるしな。
「メカを弄っている方が全然だった楽だったよなあ…メカ相手ならどーすればいいか簡単に解るんだけどな…」
再び溜息を付くアムロの台詞に苦笑せざるを得ない。女性と機械類を同じ位置に持ってくるとは全くアムロらしい、と言えばそうなのだが…。
「あ…笑ってるなっ…どーせアンタに比べたら俺はナサケナイ引きこもり男でしたよっっ」
まあ確かに口元に浮かぶ笑みは隠しようがない。
「そういう意味では無いよアムロ…ただ単に君は本当の恋愛をしてなかっただけだろう」
その膨れっ面に軽く口吻をして、優しく言い聞かせる様に言う。
「……そういう貴方は……恋愛してたワケ…?」
アムロの上目遣いに、おや?少しは嫉妬してくれているのかな…と自惚れた。
「さあな…私にとっては恋愛とSEXは全く別物であったし」
「……言うよな…全く…」
ホント相手の女性達が可哀想ーーと追い討ちをかけた。
「幸運にもSEXだけの相手に不自由した事は無かったしな。『抱いてくれるだけで良い』という女性は多かった。彼女達は私に恋愛は求めては無かったようだが…」
…そりゃそーだろう、とアムロはしみじみ思う。戦時下にこんな豪奢で超美形でテクニシャン?だけど得体の知れない危険な男…と真っ当に恋愛など出来るワケがない。なのに相手には不自由しなかった、とサラリと言ってのける…この傲慢男っっ
「……貴方さ…ホントに世の中全ての女性と男性の敵だよね…」
「過去形にはしてくれないのか?アムロ…」
今は君一筋なのだぞーっと再びベッドに押し倒した。こらーっという抗議の声を無視して。
見上げるシャアは本当に自分を慈しむ表情をしている。…もう解っているからそんな瞳でじっと見つめないで欲しい……本当に恥ずかしいからさ…「愛と体の相乗効果があると言う事は…どうやら私も君とのSEXで知ったようだ」
「…そういう恥ずかしい事をさり気なく言う……」
「恥ずかしい事では無いぞ?愛し合っているからこそ…こんなに求め合える」
シャアの手がまだ気怠さの残るアムロの肌を滑っていく。
「ちょっ…!止めろよっ…!あんなにしただろっっ…」
そんな抗議なぞ完全無視で、そのいやらしい動きの手はアムロの下肢をまさぐり始めた。
「わわっっ!…ばっっ…かっっ!そっ…そこはダメだっっ…気持ち悪いんだからぁぁっっ…!」
「…そうか?まだまだ熱いようだが…」
「だってっ…あ…貴方がいっぱい……!…っっっあぁ……や…ゆ、指…だめっっ…」
シャアが指を動かす度に、ぐちゅぐちゅっ…と淫猥な音が響き、受け入れた名残と自身の体液が溢れてきてしまう。堪らずアムロは激しく首を振ってヤメロっと訴えるが…。
「…凄いな…まだこんなに熱くて柔らかいぞ……」
長い指が会陰部と内壁のある場所を同時に責め立てる。アムロのとても感じる部分を、だ。
「…っ…ひあっっ…!…ダメっ…そこっっ……ぅあ…ああぁぁっっ…!」
途端に漏れる甘い嬌声…何度でもいつまでも君を啼かせたい…私の大好きな声……
「君の此処はまるで………の様だな……何を待っているのかな?アムロ…」
「やっ…!お、お願い…だからっっ……やめ…やめてっっ…シャ…アっっ…!」
あまりにも猥雑な言葉にそれだけでゾグゾクと下肢から背中を駆け上がってくるものがある。こんな状態でイかさせるのは絶対に嫌だ。多分…自分はもう吐露出来ない。出来ないのに…まだ全身が性感帯の様に感じているこの体が恨めしい。自分の体はそう…なのだ。解っているだけに悔しい。悔しくてたまらない。
……こんなの…こんなの……まるで……女…みたいじゃないか……
アムロは本気で涙目になっているが止めてやるつもりは無かった。今の彼は此処の刺激だけで充分イク事が出来る…そんな淫らな体になってしまったのだ。もちろんそう仕込んだのは自分だが…彼自身の内面にもその体にも天性のそういう部分があったのは事実。
そんな彼が……SEXが嫌いだったと言う。こんな淫らな君が…そんな事を言うのか。
…それを目覚めさせたのは自分だ。それだけで何よりもこんなにも自分が駆り立てられる。
もっともっと君を曝け出してあげよう……君の体がどんなに素晴らしくどんなに淫らでどんなに熱く男を受け入れるのか……。まだまだ君は自分が知らない…いや私でさえ知らない部分がたくさんありそうだからね……
「…ひぃ…あ…ぁぁぁあああーーーーー……っっ!!」
ビクビクッと大きく身体を痙攣させているアムロ。その刺激だけで達してしまった恥ずかしさに本気で涙が溢れた。同時に怒りが増してくる。
…こんなの…慣れないぞっっ…絶対に慣れてたまるものかぁっっ!シャアのバカヤローっっ!
…と、思いっきり頭の中で叫んだので、絶対この思念は彼に届いているハズだ。
なのに当の本人はなんと穏やかに笑っている事かっっ
「…こ…この助平オヤジぃっっ……!」
「それは酷い。オヤジ…はないだろう?」
「30過ぎたらみーんなオヤジなのっっ!!ばかばかっっ!この変態がーっっっ!」
「それならば…もうすぐ君もオヤジなのか…それは切ない」
シャアは自分の胸の中にすっぽりとアムロの体を抱き込んだ。厚い胸板をポカポカと殴ってくるアムロが可愛くて仕方ない。出来る限りのキスを彼の体のあちこちに送った。「まだまだ…愛の相乗効果は確かめられそうだな」
「うう…前言いっぱい取り消すっっ!…シャアのお陰でやっぱり色々と嫌いになったあぁっ!」
所詮アムロのこの叫びも、この男にとっては熱い甘い恋人達の睦み事に過ぎない…のであった。
……まだまだシャアについては自分は学習能力が足りないかもしれない……
どうやら自覚が無いのは…体に関してだけでは無い様子のアムロである。
FIN
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ああ…やっぱりエロスが…エロスが足りませぬっっ!
タイトルと全然合ってナイな……とほほ…(2008/8/2)