《 初めて好きになったヒト 》

 

 

ネオ・ジオン軍MS部隊所属のギュネイ・ガス中尉は、建前上一応小隊長の地位にある。
だが彼はMS部隊の全統括権を持つ総隊長アムロ・レイ少佐の護衛兼直属扱…となっているので、事実彼自身は部下を持つ身ではない。
つまり彼の日々の仕事は、総帥夫人の肩書きをも持つ上司の護衛が最も優先される事項となる。
朝晩の送迎もさる事ながら、部隊本部に置いては出来る限り目を離さずに側に居るようにしている。
お陰でアムロの信奉者達には夢の様な任務だろう、といつも嫌味を言われ続けるのだが…この護衛の任務は相当苦労するものなのだ。
時々ではあるのだが、アムロの方が勝手に消えてしまう事があるので、その時は相当慌てる。まあ大抵は本部内に居るので直ぐには見付かるのだが。それとプライバシーを楯に取られて「ついてくるな」と命令される事もある。このプライバシー、アムロにとっては大変重要らしく、自身の執務室にはセンサーのみで監視カメラを付けさせない事を、夫人に対しては超々々々々心配症である、あの総帥に受諾させた程だ。
アムロが一人で居る処が目に付けば、すぐにどこぞのSPから「仕事をしろ」と連絡が入ってくるのだ。護衛したくとも怒られるんでいっっ…と心の中で悪態をつきながら、少し離れた位置でアムロを見守っているのだが。

ギュネイから見れば、此処でのアムロは「存在」が目立つし、彼自身のニュータイプ能力もあるのだから…もう少し好きに自由にさせてやっても良い気もするのだが。
だが万が一、という事もあるし…その万が一の場合は、ネオ・ジオンで一番偉いアムロの夫君がどんな恐ろしい鉄槌を振り下ろしてくるか、が想像不可なくらいの恐怖なので…取り敢えずはアムロに「ほっといていーのに」と文句を言われても、側に居るしかない。

「ホント大変なんだよなー、コレがさぁーー」
…とか言いつつも、苦労をしても、嫌味を言われても妬まれても…他の誰にも絶対に譲る気は無い任務なのである。

 

その日も部隊本部からMSドッグへの直通通路を、アムロの少し後に付いて歩いていた。
「…ギュネイ、先週の模擬戦のシミュラークルレポートなんだけど…」
「えっ…?!えっと…今朝一番で送りましたけど…未だ閲覧されてないですか?」
「もう見たよ。…で、修正要の返信入れたおいたから」
「………少佐……こ、これで5回目……なんですけどぉぉぉ……」
「今回も全然面白くないから却下。俺のハンデ付き
ν と戦ってやっと1分持つようになったんだからさあ…もう少し捻りの利いたレポートが欲しいんだけどなあ」
「お…面白くない…ってぇ…ネタ作ってるんじゃないのに…イジメですかっ?!あんまりッス!」
「鍛えてあげている、と言ってくれ」
そう言う笑顔があまりにも無邪気なので、ついつい赤面してしまう…。俺の上司はとても罪なヒトデス……

ふと、一角で騒いでいる連中が目に入った。何やら相当愉快そうな笑い声…である。
アムロもその様子に気付き、笑顔を見せた。全員MSパイロットでアムロの直接配下に居る連中であったので。そこで一番の上位職に声を掛ける。
「楽しそうだね、ラーズ中尉…何かあったのかい?」
「あっアムロ少佐っっ!コレ見てやってくださいよーっっ」
軽く敬礼をしながら、ラーズ中尉は一枚の写真をアムロ差し出した。
「わわーーっっっ!止めて下さいよっっ!少佐にまで見せんでくださいーっっ!!」
手渡された写真には、ブルネットの清楚なイメージの女性が映っている。なかなかの美人だ。
「スコット准尉の嫁さんですよーっっ!勿体ないくらいの美人でしょーっ?!」
「こいつってば初恋の幼馴染みと結婚出来るってノロけるモンだから、皆でシメよーかとーっ」
やんやと皆で囃し立てて、その中心で真っ赤になっている准尉の様子に笑みが零れる。
「あはは…お似合いだと思うけど…あれ?スコット准尉って…独身じゃなかったっけ?」
その辺りの情報は出来る限り頭に入れて置いたはずなのだが…記憶と違う、とアムロは首を傾げた。
「次の土曜日が結婚式じゃーないですかー」
「明日の夜は、俺達MS隊あげてのスタッグナイトですぜっっ!」
「え…?…それ…初耳だ……」

喧噪の空気が一瞬でしぃぃんっっ…となった。じーっと写真を見たままのアムロに全員が焦る。
『ばっ莫迦っっスコット!お前、少佐に報告してなかったのかよっ?』
『あ…その…変にお気を遣わせてはって思って…っっ』
『アホっっ!お前も少佐にはスゲェ世話になってるのにっっ!』
そんな小声のやり取りはギュネイにも当然聞こえてきた。お前等全員バカタレだっっ…と舌打ちする。
アムロはそっと顔を上げて、いつもの笑顔を見せた。
「そうか…結婚おめでとう、スコット准尉。お祝いの言葉が遅くなってごめんよ」
「とっ…とんでもないですっっ少佐っっ!!俺の方こそ報告が遅れてっっ…そのっ…」
「気にしないでくれ。逆に気を遣って貰ってすまなかったね…えっと…次の土曜日?」
准尉に写真を返却しながら、アムロは相変わらず優しい笑顔を向けている。
「そのさ…何もお祝い出来なかったからさ…結婚式に俺も出席して…良いかな?」
一瞬の沈黙の後、MS部隊の連中が素晴らしいユニゾンで叫ぶ。
ええーーーっっっっ?!!しょ、少佐がっっ…自らでありますかーっっっ?!」
「え…?あ…やっぱりダメ…かな?」
その勢いに思わず怯むアムロであったが…。
「と、とーんでもないっっ!むしろ逆ですよっっ!!なあ?スコット准尉っっ!!」
「はっ…はいっっ!!俺の嫁さんも少佐の大ファンだからっっ…すっごく喜ぶと思いますっっ!!」
「良かったなあーっ!スゲェハクが付いたぞっっ!お前の結婚式っっっ!!皆に自慢したれっ!」
取り敢えず、皆が本気で喜んでいるようなので、アムロは心から安堵した。
「ホント良かったよ…まさかスタッグナイトの方には少佐は誘えんからなあ」
「…絶対にあの旦那様の許可は下りねぇって…」

 

「では土曜日も俺が送迎と護衛に付きますので…」
「あ…ゴメンよギュネイ…折角の休日なのにね」
「あ、いーんですよ。俺も式の方は一応行く予定だったんですから…」
「…そっか…ギュネイも知ってたんだよね…」
ハッとしてアムロの表情を見ると、やはりかなり寂しげ…である。
ああっ!もーっっアイツ等、ヘンに気を回すから、逆に少佐が気にしちまっただろーがーっっ!!
「しょ…少佐…あの…」
ギュネイのその様子でアムロは気を取り直し、笑ってみせる。
「あ、ゴメン…大丈夫だよ。それより、スコット准尉は…初恋の人と結婚だなんて凄いね」
「あ…は、はあ…そう…ですね」
誤魔化す為にしても無理矢理な話題振りにも思えたが…取り敢えず付き合うことにした。
「アムロ少佐の…初恋の方って…?」
「…うん……とても綺麗な年上の人だったよ…心から憧れていた…」
懐かしい、そして少し寂しげな瞳でその人を思い出しているようだった。
「そう…っすか…やっぱり相手は大佐…ではないですねー?」
「…何でっっ?!断っとくけど、相手は歴とした女性だからねっっ!」
ギュネイを思いっきり睨み付けはするが、頬は赤い。初恋?大佐?どっちへの照れだ?
「シャアはさ…初恋じゃなくて…初めて憎んだヤツ?…ああ、初めて心から殺したいー!と思った相手だなっ」
「……初めて殺したいと思ってた相手と…夫婦になっちゃったんですか?」
「…そう…みたいだね…おかしいなあ…ホント」
それをアンタが言ってはイカンっっと、ついついツッコミたくなってしまった。
「で?…ギュネイの初恋は?」
「ええっっ?!」
いきなり振られて焦る若者であったが…少し視線をアムロから外して小さく呟く。
「…まあ…俺も……と…年上のヒト…ですけど」
----げっっ?!だっ誰のコトだよっっそれっっ?!
「へえー…どんなヒト?」
興味津々といった表情で見上げてくるアムロから更に目を外した。体温の上昇を凄く感じる。
「いっいえっっ…そ、その……優しい…凄い優しいヒトですっっ」
------ああっっ何を言ってるんだっ俺はっっ…!それじゃまるで…まるでっっ!
「そうなんだーふーん…」
年若い部下の真っ赤になっている様子がとても微笑ましく思う。
「ふふふ…会ってみたいねーギュネイの初恋の人に…」
思わず…「鏡を見ますか?」…と言いたくなった自分に、かなり焦るギュネイであった……。

 

 

目の前のアムロは、紅茶の入ったカップをずっと手にしたまま口を付けようとしない。
じっ…と何事が考えている様である。愛する妻のそんな様子が気にならないワケがない。
ましてや自分と2人だけのお茶の時間だというのに!…だ。
「アムロ…何か気になる事でもあるのかね?」
「えっ…?…あ…えっと…」
「…私に話せない内容ならば話さずとも良いが…」
その言い方はある意味卑怯だなあ、と思いながらアムロはシャアを見つめて話し始めた。
「…次の土曜日に…うちのスコット准尉が結婚式を挙げるんだけど…ね…」
「ふむ…スコット・メイヤーズ准尉だな?第03小隊所属のギラ・ドーガNO.45のパイロット」
「…さすが良く覚えてらっしゃる…」
「それは当たり前だ。君に一任する前は私自身が全MS部隊の総括をしていたのだからな。今でも全パイロット92名の名前と習性は頭に入っている」
「……俺が就任してから、15名増えてます。それからパイロット候補生32名の名前も俺は覚えているだからねっっ…あっそれから整備兵の方は…」
「記憶力対決の話…なのか?」
「…えっと……その…スコット准尉の結婚だったね…」
コホン、とアムロは少々バツが悪そうに咳払いをした。
「彼が結婚する、って…今日偶然に知ったんだ。…俺…本人から話して貰って無くて…」
俯くアムロをシャアは正面から黙って見つめている。
「…変に気を遣ってくれてるみたいなんだけど…やっぱり俺…隊長として…信頼ないというか…駄目なのかなあ?って…思っちゃってさ…」
「ふむ…確かに『駄目』ではあるだろうな」
間髪入れずの予想外の即答にアムロはええっ?!と顔を上げた。
「な、何で…?『駄目』の理由はっっ?」
「その地位が微妙な立場でもあるからだ。アムロはただの『隊長』ではないのだからな」
「うっ…!そ、それって……」
「そう…君は私の妻であり『総帥夫人』という地位も持っている。それが周囲の人間に余計な気を遣わせる、というのは仕方が無い事実だろう?」
その顔はいかにも意地悪そうな笑みを浮かべていた。
「…それ…言われると…」
「勿論能力的にアムロが隊長職に就いているのは当然だ、と誰もが認めてはいるだろうが…やはりその後に『総帥夫人』の肩書きも忘れるわけにはいかない…要らぬ遠慮が出来てしまうという事だな」
シャアは腕組みをし、更に難しそうな表情も作ってみせる。
「スコット准尉の性格は真面目で一本気だ。その点を気にしない方がおかしいだろう」
「………うう……」
「MSパイロットとして大変才能有る『総帥夫人』が『MS部隊総隊長』に就いている事は…私は間違っていると一遍たりとも思ってはいないのだが、政治部の連中からは『総帥夫人としての仕事をしてくれないのか』と時々愚痴られているのも確かだ」
「……何だか凄く…意地悪な言い方…してない?」
「『総隊長の仕事が忙しいので』という理由で、全ての『総帥夫人』用仕事を断られているのだからな…私もたまには愚痴を言ってもよかろう」
「来月のアナハイム社の創立パーティーには一緒に出席するって…言ったじゃないかっ」
「最新技術要項お披露目イベント目当て…で、だろう?」
むむむむ…とアムロの頬がみるみる膨らんでくる。そんな姿もシャアにとっては可愛くて仕方ないのだが。

「……今夜の貴方……本当に意地悪だよ…」
「そう感じているのなら、ちゃんと隣に座り給え」
「え…?」
ソファーで自分の隣の位置を指差しているシャアを見て、アムロはハタっと思う。
----まさか本当に「それだけ」で機嫌が悪いのか?…いやこのヒトならあり得るっっ!
はぁーっと溜息を付き、立ち上がってシャアの隣に座り直す。途端に彼はアムロの膝に頭を乗せてきた。
…甘えたいのはこっちの方なのになあ、とその身勝手さに時々心底腹が立つのだ。それでも自然にシャアの頭を撫でてしまうのだが。
「…シャアはやっぱり…俺が隊長職をやっているの…反対なのか?」
「いや…我が軍の現状では君以上の適任者は居ないのも事実だ。それは政治部の者も認めている」
アムロの膝の上から自分を覗き込んでいる彼の顔を見上げる。不安に彩る瞳を落ち着かせようか、とその表情を優しく見つめた。
「何よりもアムロがMS部隊に関わっていたいのだろうし…な。…だが今回の件のように、地位と立場の件で君が常に悩むのであれば…私も考える」
「…悩むなんて…今回…たまたまだよ…俺が気にし過ぎなんだろうし…」
アムロはゆっくりと頭を下げて、シャアの唇に軽いキスをした。
「…俺…『総帥夫人』の方を辞める気なんて…もっと…全然無いから…」
「良い答えだ…」
2度目のキスはもっと強く激しくなった…。

 

 

翌日、朝一番でスコット・メイヤーズ准尉が面会を求めてきた。
直立不動で敬礼した後に、彼は深く深く何度も頭を下げてくる。
「本当に心からお詫びしますっっっっ!アムロ少佐っっ!!」
「ちょっ…ちょっとスコット准尉っっ…もういいからっっ気にしてないからっっ!」
「いいえっっ!本当に俺がバカで軽率でしたっっ!!」
「とにかくもう頭を上げてっ…俺が気にし過ぎたんだからさっ」
頭を上げたスコット准尉の真摯な表情を受けて…アムロは少し自分の言動を後悔した。
「俺…アムロ少佐にコレだけは…言いたい…という事があります」
「…何だい?」
「…俺が…彼女と…結婚出来たのは…実は少佐のお陰なんですよ」
「え??」
スコット准尉は照れくさそうに自分の頭をかいた。
「そ、その俺……実は…総帥と少佐の結婚式見た時に…彼女にプロポーズしたんですっ」
「え…!…あ…ああそうなんだ…」
「ずっと幼馴染みだからー何となくズルズルと付き合ってて…ってカンジだったけど…総帥と少佐を見てたら…俺もちゃんと決めようって思って…やっと決意出来たんですよ」
「…そうか……」
「ホント言い訳になっちゃって申し訳ないですが…結婚した後の少佐は色々と本当に忙しそうだったから…言うタイミング逃しちゃってて…すみませんでした!」
確かに3ヶ月くらいは結構テンパった自分の姿を思い出す。
---やっぱり自分も悪かったんじゃないかっっ…とアムロは反省する事しきり、である。
「いいんだよ…本当にこちらこそゴメン…そして改めて結婚おめでとう、スコット准尉」
自分達の結婚式が原因…という言葉に素直にアムロも照れくさくなった。自分より少し背が高い部下を見上げて、心からの笑顔を見せる。
その時、フッ…と何だかカラダのチカラが脱けていくような気がした。
----?あれ…?安心…したのかな…俺ってば…

 

「お帰りなさい、シャア」
昨日よりも、の笑顔で出迎えた妻の姿に安堵しながら、シャアはその細い身体を引き寄せる。そしていつもの様に彼の唇に甘い接吻をしたのだが……ふと気付いた事があり、眉を顰めた。
「スコット准尉から良い事を聞いちゃって……どうしたの?シャア…」
目の前のしかめっ面の夫君にふと首を傾げる。
「…アムロ……身体が熱いぞ…?」
「え…?俺…?そう…かな?…確かにチカラがあまり入らない…カンジ…だ…けど…」
ゆっくりとその身体はシャアの胸に倒れ込んできた。
「…アムロ!!」
「きゃあっっ!!アムロ様ーっっっ!!」
メイド達の叫び声が響く中、シャアは意識を失ったアムロの身体をしっかりと抱き上げる。
「マクレイン!!医者だっっ!!」
常に冷静で寡黙な執事も、さすがにこの時は慌てて走り出した。

 

 

 

「…熱が高いですね……風邪の症状は見られないんですけど…」
「…そうか…」
「詳しくは解りませんが、恐らく疲れが溜まっていたのではないですかね?」
「………………」
「……ずっと側でそうやって射抜くような視線送るの…やめて貰えませんか?…大尉…」
「アムロの身体に貴様が何をしでかすか…解らんからな」
「あのですねーっっ!俺は医者ですよっっ?!病人相手にそんなマネしますかっ!狙うなら健康体のアムロさんを狙いますっっ!」
「私の妻を狙っているとはどういう事かねっっ?!カミーユ!」
今にも取っ組み合いをしでかしそうな、美男子2人の間に老婦人の女中頭がガシっと間に入った。
「いーかげんになさいませっっ!お2人ともっっ!!病人の前でみっともないっ!!」
…そのまま2人とも部屋の外に追いやられてしまった…。

「……何故、君が此処にやって来たのだ?Dr.ウォルトンはどうした」
「ウォルトン先生は急患で手が離せないので、僕が名代ですよ。不満でも我慢して下さいね!いざとなれば病院に搬送すれば、と……まあ大丈夫だと思うんですが…」
「まあ、では困る」
「もちろん暫くちゃんと様子見ますよ!血液検査の結果でも少し解ると思うし…」
「…………」
隣に立たずむシャアの表情は本当に珍しいものだった。おそらく…此処の民衆は誰一人として決して見る事は出来ない顔だ。
「…不安なのは解りますが…『総帥』として失格ですよ、ソレ…」
「解っている…今だけだ…」
深い溜息が漏れる。
「…アムロが此のコロニーに来て…倒れるなど…初めての事なのだ……仕方あるまい」
「俺は…貴方がアムロさんを疲れさせ過ぎているんだ、と思ってますけど」
「…確かに色んな意味で疲れさせている、のではあるがな…」
あっちの意味でも言ってるんだろうなーと、カミーユが眉間に皺を寄せた…とその時、ドアが開かれた。
「旦那様、アムロ様が気付かれましたわっ」
我先にと2人は部屋へと走り込み、大抵の事では驚かないミセス・フォーンを珍しく怯ませた。

「…熱はまだあるけど…脈拍・血圧共に正常値ですね…良かった…」
「アムロ……」
本当にホッした表情の2人に、ベッドの中のアムロは力無いが笑顔を見せた。
「…心配かけて…ゴメンね…2人とも…」
「アムロさんが謝る事はありませんよ。このエロボケ総帥が無茶させてたのではないですか?」
「……本気でサザビーの射撃的になりたいらしいな…カミーユ…」
そのやり取りにふふ…と静かに笑うアムロである。
「…シャアのせいじゃないよ…俺が…色々と気負いすぎて…気が抜けたのかも…」
シャアはアムロの右手を両手でギュッと握り締めた。アムロも握り返してくるが…やはり力無い。
「今は…とにかくゆっくりと休んでくれ…頼む…」
「そうだね…治さないと来月アナハイム社に行けないし……あ、明後日のスコット准尉の結婚式っ…」
「それは諦めろ」
「…でも…約束したし…皆に迷惑が…」
「大勢の人間の中で未知のウィルスをバラまく方が余程迷惑ですよっアムロさんっ」
Dr.ビダンのビシッとした言葉にアムロはもう反論出来なくなる…。
「…シャア……」
「何だい?…アムロ」
熱に潤んだ瞳が大変色気が有り過ぎる…と不謹慎に考えてしまった事は秘密である…。
「……今夜は…ずっと側に居てくれる…?」
「…ああっアムロ!勿論だともっっ!!病気は私に移せば良いっっ!!」
そのままアムロにギュッと覆い被さるシャアを見てると、カミーユは本気で頭痛がしてきた。
----やっぱり原因はエロボケ阿呆総帥だな……
変な病気ならこのエロボケ莫迦総帥に移ってしまえば良いんだあぁ…とDr.ビダンは本気で考えてしまうのである…。

 

その土曜日だが、小さな教会での結婚式に、ネオ・ジオン総帥閣下がいきなり来賓として現れて…
招待客に相当のパニック状態と嬌声と混乱をもたらしたらしい…。

 

END

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タイトルがおざなりなのはいつもの事ですね…すみませんっ!
ギラ・ドーガって100機も生産されたよーなので。うち隊長機10機…7部隊くらいはあるんだろうな…(2008/10/18)