《 無防備 》

 

 

「あー…お帰りなさい♪シャア」
満面の笑顔で愛しい人を出迎えるアムロ。
「今日は早かったんだねー…夕飯今から作るんだけど…」
そう言いながらダイニングの椅子に引っかけてあった黒いギャルソンエプロンを
くるりと腰に巻き、冷蔵庫を開けたりと色々と準備に取りかかり始めた。
「簡単でいいかなあ……って…」
そこまで言いかけて、ふと疑問に思い玄関を見やる。
「…貴方、何でまだ玄関につっ立っているのさ…?」
きょとんと首をかしげる可愛い仕草で玄関のシャアを見つめる。

「………アムロ……」
ずっと黙っていたシャアがやっと口を開いた。
「なに?」
「君は……」
「はい?」

なんという格好をしているんだぁぁーっっっっっ!!

そう思いっきり叫ぶと、彼はそれはそれは凄い勢いでアムロの元に駆け寄ってきた。
その勢いに一瞬怯んだアムロをガシッと強く抱き締める。
「いくら家の中とはいえっ!そんな無防備な格好をするものではないっ!!」
「…え…ええ?……下着は…履いているよ…?」
下着しかっっ…だろうがっっっ!!」
「…さっきからエプロンもしてます…が…」
「下着とエプロンだけだなんてっっ!!危険過ぎるだろうっっっ?!」
「……えっと…でも…俺は男だし…その…いいんじゃない…?」
今日は暑かったからさー、と言ってみるが、シャアは全く聞く耳持たない。
「良くないっっ!何の為にエアコンがあるのだっっ?!」
「チームECOだよー…28℃にして薄着で過ごすの。地球の為じゃんっ」
「薄着過ぎだろうがっっっっ!!」
全く君は非常識過ぎるっっ…とシャアはもの凄い不機嫌だ。
何だよもぉー…とアムロは口を尖らせた。

「……今日一日…その姿だったのか…?」
「………そうですけど…」
シャアの腕の中で上目遣いでポツリと言うアムロは…可愛すぎて可愛すぎて……
別の理性がすぐにブチ切れそうであったが、今はそれよりも尋問が先だっっ
「…まさか…今日は来客は無かったろうなっっ?!」
「お客は無いけど…あ、宅配便のお兄さんと管理人のオジサンが来た…かな?」
なっっ…何だとぉーーっっっ?!…ま、まさかその格好で出たのかっっ?!」
「…そりゃ突然だったし…」
「何という危険な事をっっ!!アムローーっっっ!!」
「…危険って…ちゃんとモニターで確認したって…」
どちらも顔なじみだよ?というアムロの肩をガシッと掴み、シャアはまるでこの世の終わりを
見たよーな表情をしている。
「ま、まさかナニもされなかったであろうなっっ?!」
「………されるワケ…ないじゃん…」
ウンザリとした顔で言うアムロ。

「…ああ…何もされなくても…奴等が君にどんな情欲を抱いたかっ…と思うだけでっ!
私の心は千切れそうだっっっ!!君のセミヌードを見てあらゆる淫らな妄想をしたに違いないっ!
今すぐに押し倒したいーっっとかっっ!そして君の○△を舐め回したいとかっ!!
そのまま下着をズリ降ろして◎◇×を×●いてっっ□▲って…そして×◆◎してーっ…と!!」

………あのねえ…貴方じゃあるまいし……
大きく溜息を付くアムロも我慢の限界が来ていた……。

あーっもう煩いっっ!暑いからくっつかないで!今からご飯の支度ですからっっ!!」
グイっと力を込めて自分からその逞しい体を引き離した。もちろん本気で怒っている。
「…アムロっっ!」
不満の声を挙げるシャアにビシっと指差しする。
「言っておくけど…
そんな変態は貴方だけっっ!だからねっっ!」
プイっとキッチンの方に振り返り…そのまま無言で料理を始めたのだった…。

……ああ…君は解ってないのだっっアムロ!

そのセクシー…とも言える後ろ姿を見ながらシャアは震える拳を握りしめる。

…君は自分がどんなにエロ可愛くセクシーでどれだけ男が劣情するか…解っていない!!
……フェロモンが服着て歩いているよーなモノなのだっっ!
……それが服を着て無いとはっ……どーんなに危険な事かあぁぁぁーっっっ!!
……ああ…アムロ…君が他の男にそんな目で見られるなぞ耐えられんのだぞっっ?!
………それにしても……ソソる後ろ姿だがな………ふっっっ

ひたすら悶々としていても真剣な表情で、取り敢えず…もっとセキュリティが万全なマンションに
引っ越そうっっ!と決心をしたのであった…。

これはシャアの盲目の愛なのか…それとも本当にアムロが無防備過ぎるのかは…
まあ皆様の判断にお任せする、として。

その夜、思いっきり寝室のエアコンの温度を下げたシャアは…
取り敢えず大変ご満悦の夜を過ごせたようであります。

 

ちゃんちゃん★ 

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…いやあ…暑かった…ので……(汗っっ) (2008/8/7)