Sexual White 

 

「……また……小さい…」
配給物質の箱を開けて、溜息を吐く。補給部の担当女性兵長に
「うーん…アムロ大尉のご希望のサイズはやっぱり今回もリストに無いんですよねえ」
としみじみ言われていた。
「でも請求し続けたら、需要があるって事でそのうち作ってくれるかもしれませんよっ?私も頑張って入力し続けますねっ♪」
と明るく励まされて…愛想笑いで応えたが、しかし。もう何年も前から軍部の配給リストのアンダーウエアの項目…「ブラジャー」のトコロはアムロが要求するサイズから、2サイズも低いものが最高数値である。
周囲に言わせると自分が「規格外」らしいので…仕方がない。
今回のも試しに着けてみたが…アンダーバストサイズは全然余裕なのだが、やはりカップにそれは収まりきれず…スポーツタイプのそれに無理矢理にぎゅっと潰される形となる。…まあ大きさが少し目立たなくなって良いと言えば良いのだろうが…やはり窮屈で苦しい。

アムロ・レイは身長はごく普通サイズ…そして童顔気味の女性士官だ。
もうすぐ30歳に手が届くという年齢なのに、顔だけなら充分10代で通る、と言われている。
顔だけなら…ば。
そんな童顔のクセに、アムロは体のある部分が何故か大変発育がよろしいのだ。
それは胸と腰回り…特に胸は「規格外」に大きい。大きいだけなく大変形も良い。そして美しいラインを描く柳腰…キュッと上がったセクシーな桃尻…世の女性が心底羨ましがるだろうの、バツグンのナイスバディである。もちろん男性の間では更に殊更評判が宜しい…。
しかしそんな周囲の評価とは裏腹に、このナイスバディは本人にとってはコンプレックス以外の何物にも思えない。下半身はまだ良い…だが胸の「規格外」サイズのおかげで、既製品で合うものがほとんど無いし、前述の様に、下着の購入に大変苦労していた。
軍の規約でも下着は、ある程度私物着用が認められていて、後方の女性兵士達は特に「軍服の下はちょっとスゴイんです」みたいなこっそりオシャレを楽しんでいる者も大勢いる。ロッカールームで着替える時に同僚達の…自慢の下着を見せ合ったりする、そんな楽しい話題は微笑ましいし…出来れば入っていきたいなあ、とも思う。
しかし…取り敢えずショーツ…アムロはMSパイロットであるので、あまりレースを多用した様な類のものは避けているが…まあそれは良い。こちらはまだ色もデザインも選ぶ楽しさがある。
問題は…やはり上のブラジャーだ。当然デザインよりもサイズの方が優先である。そのサイズを見つけたら即買うべしっっ!みたいな。…知人に勧められて、マタニティ関連で探した事もある。やっぱり恥ずかしくて、それは一度きりだったのだが。
取り敢えずアムロのサイズは…あまり一般的で無いせいか、デザインが凝ったモノはほとんどなく…まあ要するにかなり野暮ったいのだ。色も白以外はベージュぐらいしか無いし…期待できるものではない。そして既製品だとどうもしっくりフィットしないのだ。「お客様のサイズですと…オーダーメイドが一番かと」と言われて、たかが下着にこんな金額掛けるのかっっ…で作ったこともある。まあ高くついた分、ちゃんとサイズが合っていたので気に入ってはいたが…。

「アムロ大尉…本当に立派で羨ましいーっっ」
と昔から耳にタコなくらい言われているのだが、それをアムロはちっとも良い事とは思っていない。
地球に初めて降りた時…その重力を一番に感じたのは、胸に、である。
少女の頃は「少し大きい」くらいだから良かった。年齢が上がるにつれて成長していくそれに…本当に厄介なモノとしか感じなかった。
走ればとにかく痛い。様々なトレーニングもストレッチも胸が邪魔して辛い。ブラジャーのサイズが合わない故にいつも窮屈…かと言って、自宅で外してそのままでいれば、胸の先が衣類に擦れてとても痛くなる。ノーマルスーツを着る事が多くなると、通気性の悪さのせいか?胸の谷間に汗疹が出来易くなるし。地球に居る時には特に慢性的な肩凝りに悩まされた…胸が重すぎるからである。それ以外にも、自分の胸が邪魔して足元が見えずに良く転ぶ、足先をぶつける。もう日常茶飯事で身体のどこかにいつも青アザとか赤アザとか…
もう本当にイヤでイヤでしょうがないっっ!大昔の地球に居たという、女性だけの戦士軍団が「闘ったり弓を引く時に邪魔になるので、片方の乳房を切り落とした」というのを聞いた時「ものすごーく解るっっ!」と思いっきり同意したものだ。

そして何よりも一番イヤなのは…やはり男の視線である。
大抵の男共は自分の胸を一番先に見るし。アムロは優れたNTであるので、イヤでもその類の思考も正確に拾ってしまう。
ナイスバディの女性士官にセクハラ発言なんて良くある事…そしてセクハラを越えた行動には断固として拒否をし続けた。これは少女の時に出逢った…憧れの金髪の女性から伝授された護身術が大いに役に立ったし、今でも訓練は怠らない。アムロのその胸に不埒に触れて、殴られたり蹴られたり投げ飛ばされたりのとにかく制裁を受けていない男は…宇宙でただ一人しか居ない。
「アムロ大尉ってさ、なんでまだ『大尉』なんだ?あの人の活躍を考えたら、とっくに少佐辺りでもおかしくないよなあ?」
「何でも連邦軍のお偉いさんのセクハラに断固とした態度見せて…昇進逃したって噂だぜ?」
再度連邦軍籍となったロンドベル隊ではこういう噂が公然であった。
「まあでも…殴られてもいいからな…あの胸には触ってみたいよなあ…」
「…ああ…あのおっきいアレでさ…ぱふぱふっ☆とかされたらなあっ…俺はその瞬間死んでもいいぞっっ!」
そしてそんな話題も会話も公然。アムロがまだ「大尉」のままである理由は、一時期脱走兵扱いだった、というのもあるのだが…実際にお偉いさん達に散々言い寄られたのは事実である。
本当に連邦軍の男共は腐っているなっっ…とアムロも心底思うのであった。

 

その様な苦労の時代?を色々と経て…
今、アムロは宇宙で唯一彼女に殴られなかったあの男の…妻の座にあった。
彼の名はシャア・アズナブル…昔は本気で殺し合いをした、アムロの宿敵であった。1年戦争終了後6年後の再会時に…何だかんだあって、身体の関係が出来てしまった。そしてそれからも何やかんやあって…気が付いたら結局「妻」として彼の傍に居た…そんなカンジで。
彼は地球連邦よりの独立を目標とする「ネオ・ジオン」という新興の台頭組織の「総帥」…という大変エラい地位にいる。今、宇宙で最も注目されている人物で、ついでにその個人資産がとにかくスゴイらしい。しかしあまり興味ないアムロにはどうでも良い事なのだが。

その個人資産に拘わる事なのであるが…。
婚約時代、彼からパーティ用ドレス一式をプレゼントされた時に当然下着もセットになっていた。そしてそれがあまりに身体にフィットする素晴らしいものだったので、彼に尋ねてみると…ドレスと一緒にオーダーメイドしたのだと言う。
「君には既製品は…服も下着も合わない様だからね」
「…サイズ測ってないのに良く解ったね」
「簡単な事だ…毎日触れている」
さすが、とでも言うべきなのか…それとも呆れるべきなのか…まあとにかく、とても可愛いデザインのそれにアムロはいたく感激した。
「うん…やっぱり嬉しい…こんな可愛いの持ってなかったから…」
その怖ろしく高価なアクセサリーでも豪華なパーティドレスでも無く、可憐なレースに縁取られた下着の方にとても感激している婚約者を、シャアは見逃さなかった。

その2日後…アムロは総帥公邸に訪れた一団を紹介される。
「彼女達は最高の技術とセンスを持つ、優秀なデザイナー達だ。君の望み通りのモノを作ってくれるだろう」
「…は?…この人達もモビルスーツデザインをするとか?アナハイム社の人達?」
苦笑してシャアは首を振る。代わって彼女達が応える。
「いいえ、アムロ様」
「私達の専門は…ランジェリーです。女性の下着専門ですわ」
思わず驚愕してアムロは、ニッコリと美しく微笑む美人達(当然全員女性)と、傍らの婚約者を交互に見つめる。
「これからの君のランジェリーは全て彼女達が作ってくれる…安心したまえ」
「……なっ何でっ!…そんなっっ無駄遣いをっっ…?!」
「経費は全て私の私費からだ。案ずる事は無い」
「そっそーゆー問題じゃなくてっっ!!」
慌てて必死で抗議しようとする、アムロにシャアはその端正な顔に更に華やかな笑顔を乗せる。
「愛する妻には、常に美しく気持ち良く…幸せでいて欲しいだけだよ?アムロ」

そしてそれから1ヶ月に2回程、アムロの元に新しいデザインの下着一式が届けられる様になった。その数は多い時で30セットくらい。あのスタッフ達もアムロの為に張り切って凄い勢いで作り上げてくれている。勿論一つ一つが手作りであり、同じデザインのモノは無い。
思う存分に高級素材を使用したそのランジェリーは、アムロの好みのデザイン…というより絶対にシャアの好みで作られているモノの方が格段に多かった。
それが届くと全て一通りそれを身に着けて、夫の前でランジェリーのファッションショーをやらされる羽目になる。
しかし、今までまるで興味の無かったせいか、女性のくせにアムロは色々と知識が乏しかった。むしろ…
「アムロ…それはスリーインワンと言って、此処にストッキングを止めるのだよ。結婚式の時に着ただろう?」
「…着せられただけだもの…覚えてないよ…」
…シャアは妙に詳しい気がする。
「ガーターベルトは先に着けて、それからショーツを、だろう?…トイレで困るではないか」
「…初めてこんなの着けるんだもんっっ!知らなかったんだよっ」
何でそんなに詳しいんだっっ!もうこの女好きがっっ!!
…と怒鳴ってやりたい気分であるが…しかし。
明らかに「セクシー」の部類に入るランジェリーを身に着けている自分を見つめている夫が…とても嬉しそうで。
「ああ…本当に綺麗だよアムロ…とても良く似合う」
「…こんなの…布面積なさ過ぎて……お腹壊しそう…」

そしてその日の最後に着けたランジェリーの色は、夫のパーソナルカラーである赤…ブラジャーとショーツは透けるレース素材で大変面積が小さく…そしてその上にはやはりシースルーの裾がフワリと拡がる可愛らしいデザインだが前が開いているキャミソール…いわゆるベビードールスタイルだ。
「うむ…アムロはそんな姿も素晴らしく似合うな…」
「…こ、こんなの普段は着られないよっっ…もうっっ」
「いいのだよ、それは私に見せる為にある…おいでアムロ」
鼻の下が2メートルは伸びている(比喩であって、実際伸びていたらホント怖い…)夫に近付き、アムロは椅子に座る彼の膝の上にと身体を乗り上げた。
「…次は白いフワフワの可愛いデザイン中心で行こうか?」
「……もうそんなに要らないよ…たくさん有っても着られないもの」
「有りすぎて困る事は無いさ…」
「困るよっっ!…もしさっ…クーデターとか起きたらっっ…総帥夫人はこんなに過激な下着を何千着も作ってました…なんていう恥ずかしいニュース流れちゃうんだよっ?!…そんなのは絶対にヤダからねっっ!」
「……困る以前にだな…そんな夫の実力を疑う様な予想はしないでくれないか?」
少々不機嫌な顔を作って、シャアは目の前のアムロの豊満な胸に顔を埋めた。そのまま頬ずりしてチュッチュッとキスの雨を降らせる。
「…っっ!…あぁんっっ…ヤだっっ…」
妻の抗議の声は聞かずに、シャアは幾度も頬ずりとキスを繰り返した。そんな様子を見つめていれば、当然吐息が甘く熱くなっていく。
「…シャ…あ……ねえ……ソコ…好き?」
自分の胸を愛しげに扱う夫に、今更ながら聞いてしまう。
「ああ勿論大好きだよ……アムロのココは私をとても癒してくれる…」
シャアの指がそのレース素材の小さなブラジャーをそっと外していく。ふるるんっと弾むように開放されたその柔らかく大きな白い乳房に、再び顔を埋めて舌をも這わせ出した。
「はっ…ぁあ……やっ…シャア…」
夫の頭にぎゅっとしがみつく様にして、アムロは全身を震わせてその甘い愛撫に耐える。
自分にとっては…ずっと邪魔で嫌いな存在だったけど……
貴方を癒す為に、貴方に愛される為に、というのならば…
「……良かった…のかな?」
「何が…だね?」
「……おっぱい……大きくて……」
妻のその可愛らしい言い方に、思わずシャアは顔を上げて、その恥ずかしそうな表情を愛しげに見つめた。
「アムロであれば私はどうであっても愛したさ…まあ確かにとても喜ばしいサイズだがね」
そのまま長い指でその柔らかさを堪能する様に、揉み扱く。途端にアムロが甘い嬌声を上げるのに満足しながら…
「…君が喩え男であっても…私は君に溺れただろうよ…アムロ…」
「…あっ…ん……シャア…っっ」
全身を走るそこからの快感に…ただ熱く溶かされていって……

自分は嫌いだったこの身体に…
愛される喜びを教えてくれたのは貴方なのだし…
貴方が好きだと言ってくれるならば…
もう…良いのかな?

やっとコンプレックスから解放されて…自分の身体を好きになれそうだ…
シャアのおかげ…だね…
相変わらず彼の好みのランジェリーを着けるのは恥ずかしく思うけれども
それでもシャアが幸せなら…いいかな?

愛される喜びをしみじみと感じて、愛する夫に感謝つし続けるアムロ総帥夫人は…
ますます美しく魅力溢れる女性へ…となっていくに違いないのである…☆☆

 

THE END

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新しいTOP絵の…皆様の反応も上々っぽくて…
「奥様の下着は全て旦那様の趣味でオーダーメイド」の妄想を語ったら
「書くが宜しいよ」と友人が優しく言ってくれたの…ありがとうEちゃん♪
アム子さんのおっぱいはやはり宇宙を救うのですね…(2010/2/13UP)