アクシズのアム子さん★

 

【読まれる前のご注意】
※このお話は某ガンAに以前連載されていた「アクシズのハマーンさん」なるマンガの
世界を元にしております。知らない方には人物像が理解不能でゴメンなさい。
「C.D.A.」は単行本持ってなくとも、こっちはバッチリ持っているぜっっ…
…な心境……ララァなら解ってくれるよね……

 

 

ピピピピ……☆
軽快な機械音を合図にゆっくりとオーブンのドアを開ける。キッチンいっぱいに広がるその甘い香りに、出来栄えの良さを認めてアムロは満足した。
「うん…今日も美味しそうだ♪」
自分の料理の腕は確実に上がっていると思う…とはいえ、それが確かめられるのは、その作る料理を味わえる唯一の人物、シャアの言葉だけなのだが…。
彼はアムロの作る料理に対して何も意見も文句も言った事はない。いつもどんな時も「美味しいよ、アムロ」とニッコリ笑って言う。人の為に料理を作る、なんて事は…此処アクシズに来てから始めた事だし…正直言って最初の頃はとてもお世辞にも美味しいとは言えないシロモノを作っていたのに…シャアは嫌な顔一つもせずに、寧ろ笑顔でいつも喜んでくれた。…なんて優しくていい人なのだろうっっ!…とアムロはいたく感激し、ますます「惚れて」しまっているようである。

 

あの1年戦争の時代……自分でも色々とワケが解らないうちにガンダムのパイロットになり軍人として戦い抜いた。そして憎い敵であるシャアと出逢って…色々あって…最後の一騎打ちの後に、ふと気が付いたら彼に無理矢理このジオン圏であるアクシズまで連れてこられてしまった。
「貴方の同志になんてなる気ないんだからっ!」とか「ララァの代わりをするなんてまっぴらゴメンだーっっ!」と散々嫌がって散々泣いたのに………
「私はもう二度と君を戦わせたくなどにない…君を守りたい…それだけだ」
と何度も優しく囁かれて、何度もキスをされて……結局シャアの胸に飛び込んでしまったのだ。
本当は自分も…初めてサイド6で出逢った時から…ずっと彼が好きであったのだから。

 

というワケで、現在の自分は「シャア・アズナブルの妻」という立場に落ち着いている。
もっとも戦後のゴタゴタもあり正式にどこぞに届けているワケではないし、何と言っても自分の軍籍は連邦軍にある。一応亡命者扱いではあるが…何せ自分は「あの」ガンダムのパイロット、白い悪魔であった。周囲の感情も含めて、今はあまり人目に触れない方が良いという事で、ほとんど一日中この部屋の中に居る。アムロの存在は一応マハラジャ提督と一部のシャアの腹心の部下ぐらいしか知らない…超極秘事項なのであった。シャアがそのうちジオン籍の偽りの名前を持ってきてくれるらしいが…取り敢えずそれまではアムロはひっそりと暮らすしかない。
当然暇を持て余し…気を遣ったシャアが持ってきてくれた機械類を弄ったり、後は家事くらいしかする事が無い。その暇のおかげで熟読したマニュアル通りに寸分狂い無く実行すれば、料理の腕は確かなものになる、と理解した。後は応用で元々器用な手先を持つ故、あっという間に上達したようである。
最近は毎日菓子類を作っている。当然ヒマだからである。で、シャアはコレも「美味しいよ」と言って笑顔で食べてくれるのだ。そんなシャアが本当に愛しくて、新妻ながら夫の血糖値に気を遣いながらも今日も菓子作りに励むアムロなのであった。

 

 

「フフフ……ついに来ちゃったわぁっっ〜♪大佐のお部屋っっ☆」
ドアの前で年の割りには黒い不穏な笑顔の少女が一人…
彼女はこのアクシズを統べるマハラジャ・カーン提督の愛娘である…ハマーン・カーン、14歳。
麗しのシャア大佐にヒトメボレし、全身全霊でひたすらアタックし続ける一途な恋する乙女である。
「大佐のベッドの中で待機しっっ『あーっお部屋間違えちゃったあ』とドジっ娘ぶりをアピールしっっ…その可愛らしさにキュンっときた大佐とラブラブになる作戦っっっ!ああ…自分の将来が見える冴え渡るこの策士ぶりっっ!完璧よぉっ!!」
拳を強く握り締め、なにやら背後がごぉぉぉぉぉっっ…と燃えている恋する熱血乙女の大胆ぶりは日々エスカレートしつつあった。
「むむっっ?!当然ロックがかかっているわね……甘いわっっ!大佐の部屋の暗証番号なんぞお父様のパスワード盗んで既にハッキング済みよっっ!!…ポチポチポチッッっとなっ……ふふふ…さあ開けーゴマ!!」
思惑通りにパシュンと軽快な音と共に扉は開かれる。恋する乙女は一目散にバビューンっとその中へ駆け込んだ。
「きゃーっっ♪夢にまで見た大佐のお部屋ーっっっ♪………んん??何?…これ」
想像していたより部屋の内部は温かく…そして中に漂う甘い匂いにハマーンをくんかくんかと鼻を鳴らした。
そしてピキィィーーンッッ!…突然感じた人の気配。
「…シャア?帰ってきたの?今日は早いね……ってあれ??」
奥からヒョコっと現れた赤毛のショートカットの女性の姿に、ハマーンは心臓が口から飛び出んばかりに驚き叫んだ。
「だっ誰よーっっっっっ?!アンタっっっ!!…アタシの大佐の部屋でいったい何しているのよーーっっっ??!!」
女性はその大声に全く動じずに自分をじいっ…と見つめて
「…そのピンク色の髪……あっもしかして貴女…ハマーンさん?」
とポンっと手を叩いた。

 

…どういう経緯でそーなったのか解らないうちに…何故かハマーンは彼女とソファーに向かい合って座り、その女性にお茶とケーキを勧められていた。
「さあどうぞー…焼き立てなんだけど…お口に合うかどうか解らないけど…」
言われるがままに生クリームが美しくデコレイトされたそれをパクリと口に運ぶ。
「うっっ!!こっ…コレはっっ!」
驚愕の表情となったハマーンの次の言葉をワクワクしながら待っている彼女。
「な…なんて美味しいのーっっっ?!うそおぉぉっっ!!」
その女性は、ぱあぁぁぁと喜びの表情となった。
「本当?ホントに美味しい?」
「ホントホントよーっっ!うちのシェフが作るより美味しいわっっ!いやーんっ美味しいっ♪最高ーっっ!!♪♪」
「やったっっ!嬉しいっっ…もっと食べてってねっ!ハマーンさん」
「もちろんいただくわよっっ!…ええいっっホール毎よこしなさいっっ」
はぐはぐと嬉しそうに口の周りをクリームだらけにしてケーキに食らい付くハマーンを見つめて、彼女は幸せそうな表情となった。
「嬉しいなあーー…シャア以外の人に食べて貰うなんて初めてだから…褒められて凄く嬉しい♪」
シャアという言葉にハマーンはピキィィンと反応する。
「そうよっっ!すっかり誤魔化されたけどっっ…アンタ…いったい何者っっ?!なんで此処に居るのっっ?」
よくよく見ると…彼女はまだ自分とそう変わらぬ年齢に見える。いやその幼い顔立ちにショートカットの髪形のせいか…もしかしたら年下か?とさえ思う。
……しかし。タンクトップとショートパンツ姿という実にラフなその姿で…妙に目に着くのが…
------…おっぱい…でかーーいっっっ!!
幼児体型がコンプレックスのハマーンは直ぐさまその優れたNT能力でそのサイズを予測する(NT関係ない)。どう見繕ってもDは(宇宙世紀サイズ)あるわよっっ!!アタシと同じ年齢でーーっ?!
「えっと……その私は……」
ハマーンの頭の中がおっぱいでいっぱい(シャレではない)な事を全く気付かずに…彼女は少し頬を染めてペコリと頭を下げた。
「あ…あの…私はシャア・アズナブルの…妻です。主人がいつも御世話になっております…」
「…デカイな…ホント……あ、妻さんですかーーなんだアタシはてっきり……って…??
…ツマ…?…ツマ……妻………??!!!  
妻ですとおぉぉぉぉぉぉぉーっっっっっっ???!!!!!!!
顔面蒼白となり思わず立ち上がってしまったハマーンと、照れた笑いを見せ続けている…
シャア・アズナブルの妻であるアムロ・レイ。
その時。
「ただいまアムロ……何やら大声が聞こえたが……ん?…ハマーン?」
呑気な声と共に部屋の主が帰ってきたのであった。

 

 

「大佐のバカーっっっっ!!結婚していたなんてっっ聞いてませんーっっっっ!!」
わああっっと泣き伏す…マネをするハマーンである。
「あ…いやすまない…彼女の事は訳あって秘密にしているのだ」
「秘密っっ…?!…つまりこんな子供に手を出しちゃったって事で秘密なんですかっっ?!…シャア大佐がロリコンだったなんてーっっ!いやああーっっショックーっ!!」
猛アタックし続けている自分の事は棚に上げて叫ぶのであった。
「いや…アムロは当然君より年上だが…もうすぐ17歳になる」
「へ…?…ええーっっっ!うそおぉぉっっ?!この顔でっ?!…はっっ!た…確かにそのおっぱいのサイズは年上よねっっ!…ああっ良かったーっっ…ほっ」
「………??」
きょとんとするアムロの脇でシャアは視線を逸らして、ハマーンから見えない様に苦笑した。
「いえいえっ〜!おっぱいが大きいからと言ってそこで納得はしませんわっっ!どうして…秘密にしているんですかっ?!アクシズ中の女性が悲鳴を上げる事実っっ…正直な理由を聞かせてもらいますっっっ!!」
まだ興奮冷めやらぬ様子のハマーンに対してアムロは再び頭を下げる。
「すみませんハマーンさん…わざと隠していた訳ではないんです…私が…」
「アムロ…私から話そう」
アムロの膝に手を置いて彼女の言葉をやんわりと遮る…そのあまりにも夫婦っっ…している仕草にハマーンはムムッと面白くない。
「ハマーン…妻の名前は…アムロ・レイという…解るかな?」
「はあーーっっ??それがどーしたって……ん?アムロ……アムロ・レイっ?!…ってまさかっっ!…あのっ……白い悪魔っっっ?!」
別の意味で驚愕の表情となり、彼女はアムロとシャアの顔を交互に見つめてしまった。
「さすがだなハマーン…既に情報を掴んでいるとは」
ニッコリ笑うシャアにハマーンは「わーい♪大佐に褒められた♪」と心の中で小躍りした。
「そう…彼女はあの『ガンダム』のパイロットだった…まだ一部の情報機関しか知らぬ事実とはいえ…何時何処でそれが此処で知られてしまうかは解らんのでな…今は取り敢えず隠れて貰っている」
「シャアは心配症過ぎるんだよ」
ちょっとだけ拗ねる表情でアムロは応える。
「…どうせ私は地味だから目立たないし…そう気にする人も居ないよって言っているのだけど」
ハマーンに対して苦笑いの表情を見せて、アムロは自分の夫を指差した。
……いやっっそのおっぱいなら目立つっっ!…それに充分可愛いじゃんっ!!
悔しいけどっ…とハマーンはNTの勘を冴え渡らせて考えるのであった。…そんなに体型にコンプレックスがあるのか…ハマーンさん。
「何を言うっっアムロ…!君ほどの可愛らしいキュートな女性が目立たぬワケないだろうっ?!だいたい…私は君を他の男共の視線に晒すのだけでも耐え難いのだからなっ」
真剣な表情でアムロを見つめるシャア。
「…もう…何を言ってるんだか…」
頬を染めて、同じくシャアを見つめるアムロ。
「心配し過ぎだよ……それに何があったってシャア以外の男になんて…目が行くワケもないのに……」
「ああアムロ…私も同じだ…君以外の女性は宇宙を漂う塵程にも見えんよ…」
そのままぎゅうううう…と抱き合う2人。もちろん漂うピンクオーラ。

……
何やっとるんじゃーっっ?!アンタたちはっっっ!!
いたいけな少女の前でイチャイチャしやがって〜〜!コノヤローっっっ!!
ギギギ…と奥歯を噛み締めるハマーン。
……ううう……この女っっ!!…本当に大佐の奥さんなのっっ…?でっでも似合い過ぎるっ…認めたくないけどお似合い過ぎだわーっ!!

「…そういえば…ハマーンは何故この部屋に来たのだ?」
シャアはアムロを抱き締めながら当然の疑問を口にする。
「(ギクぅぅっっっ!!)…あっ…そのーっ…たまたま通りかかってぇぇ…何だかいきなりドアが開いちゃったんですよっっ!大佐っっ!!」
「何?!…それはセキュリティを考え直さねばなっ…アムロが危険だ!」
焦るシャアに対して、アムロはやんわりと諫める様に話しかける。
「その心配は要らないよ?シャア…それよりハマーンさんと出会えて凄く嬉しかったから…これからハマーンさんには遊びに来てもらってもいい?」
「ん…?そうだな…アムロには日中寂しい想いをさせているのだし…ハマーン、頼まれてくれないか?」
「えええーっっっ?!あっアタシは大佐の追っかけで忙しくてーっっ…!!」
「毎日美味しいお菓子作るけど?」
ニッコリと笑うアムロとその言葉の誘惑に思わず考え込むハマーンである。
「…ううう……まあ…ちょっとくらいなら……」
渋々答えるハマーンだったが、アムロは満面の笑みを湛えて喜びの表情を見せる。
「ホント?嬉しいっっ!ありがとうハマーンさんっっ」
そんなに喜ばれては…もう何も言えなくなっちゃうじゃーんっっ…と思うハマーンの頬は少し赤くなっていた。

 

それからは毎日の様にアムロお手製のお菓子を食べに来るハマーンなのである。
すっかりうち解けたアムロと色々と話しているうちに
「ええっっ?!…正式に籍は入れてないのっ?!」
という事を知った。
「うん…だって何処に届けたらいいか解らないものね?色々と落ち着いたらちゃんとしようって言ってるけど」
…コレはチャーンスっっっ!!きらりーんっっ☆☆とその瞳が煌めく。
…それならぱアタシにもまだまだ大佐のお嫁さんに!のチャンスはあるというものっっ!!
「はいっハマーンさん…今日もたくさんクッキー焼いたから…どうぞ」
「うわーーいっっ♪いただきますーっっっ♪♪」
本当にアムロの作るお菓子が美味しくて…かつアムロとの会話もだんだん楽しくなるのもあって…すっかり此処に長居する日々が続いていた。
毎日毎日「シャア大佐〜〜〜っっっ!!」と追っかけ廻していた日々が…変わりつつある。
…ハマーンにとっては不本意なのだが。しかしアムロのお菓子は美味しいしっっっ!!
「…ああ…これじゃ大佐に会える時間ないよおおぉ…」
ポツリと本音を漏らすハマーンに…アムロはお茶のお代わりを差し出しながら…ニッコリと笑いかけた。
「だったら…今日は夕飯食べていく?シャアと一緒に…それまで此処に居たら良いよ」
「ホントっっ?!大佐と?!…ああっいいかもっっ♪…居てもいいの?アムロさん…は迷惑じゃないの??」
何となく素直に出たハマーンの言葉に、やはり穏やかにアムロは答えた。
「全然大丈夫だよ…だからねハマーンさん…」
ふにゃ?という可愛い顔を見せるハマーンに、これ以上は無いくらいのとびきりの美しい笑顔でアムロは…
「だから……これ以上私の旦那様の邪魔はしないでね?」
と、しっかりと「釘を刺す」様に言うのだった。

……この女ーっっっっ!!…まっまさか全部解って…?!
しっかりと「妻としての威厳」オーラを漂わせながら、ふふふ…と可愛らしく笑うアムロに
「こいつ出来るっっ!!」と何故かハマーンは感心する気持ちが起こり……何だかとても仲良くなれそうな予感にちょっと複雑な気分…を味わうのであった。

 

 

THE END

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…おかしい…幼妻とイチャイチャする大佐をめちゃ書く予定が!!
方向がおかしくてごめんなさい!…アム子さんならハマーンさんとも凄く
仲良くなれそうな気がします…味方になってくれそうだよーっ
こんなのでも111リクの貴女様に捧げます…すみませんーっ(涙っ)
(2009/10/20 UP)