7月にヤマハのサイレントバイオリン『SV-120』を購入した。今回はこのサイレントバイオリンについての使用感を書いてみる。
実は購入直前までサイレントギターを買うつもりだったのだが、予約をしてもしばらく手に入らないという出し惜しみ状態に耐えきれず、急激にバイオリンの方へ気持ちが傾いていったのである。相手が人間の場合は、願わくばもう少し忍耐強くありたいと思っている。
ヤマハからはサイレントシリーズとして、バイオリンの他にチェロやギターなど発売されているが、これらサイレントの最大の売りは、生音が小さくどこでも周囲に気兼ねせずに練習できるということである。
現在のバイオリン練習実績は、月に1・2回のレッスン(各1時間)と週に30〜40分程度の自己練習のみとなっている。さらに、点字楽譜の理解にも時間がかかり、かなり停滞気味である。
一応サイレントバイオリン購入後の練習時間は購入前の5倍に相当する週3時間にまで増大している。もちろん、サイレントとは言ってもやはり若干の生音は出てしまうため、家族がいる場合の夜間練習は控えた方がよさそうであるが、一人暮らしの身にはまったく問題ないと思われる。
次に、このサイレントについて、不満に感じる点を上げてみる。
一つは音の問題である。サイレントバイオリンは弦の振動を拾ってデジタル処理し、スピーカ(イヤホンなど)に出力する仕組みで、アクセントやビブラートなども反映され、さらにホールなどでの演奏をシニュレートしたリバーブまでかけてくれる。生バイオリンに付き物の雑音などもあまり目立たず、最初のうちは非常に楽しく弾いていられるのであるが、徐々に生バイオリンとの差が気になり始めてくる。少なくとも音に関して言えば生バイオリンとは異なる楽器と考えた方がよさそうである。
二つ目は、サイレントでは本体があまり震動しないため、バイオリンの鳴りをデジタル音として耳からでしか感じることができない。これも生バイオリンと比べた時に強い違和感の一つとなる。
最後に、サイレントバイオリンの本体は生バイオリンに比べるとかなりの重量感を感じる。長時間練習していると、左手・顎・肩などが痛くなってくる。
不満な点も含めていろいろ書いたが、このサイレントバイオリンはぼくにとって概ね良い買い物だったと思っている。