世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

 

   今週は臨時増刊、郵政民営化を問うです。


 今週月曜日に、郵政法案は否決され、衆議院は解散となった。

 おそらく、これが私が指摘してた予想しなかったことなのだろう。

 天災でなかったことは幸いだ。

 まだ、4ヶ月残っているので断言はできないが

 おそらくだれも予想していなかった解散総選挙だったことは

 間違いないだろう。。

 60年前、日本は敗戦し体制が一新された。

 今回も、体制が一新されることになるだろう。


 小泉氏は、明らかに金にかかわらない政治を志しており

 これは評価できる。
今、公認選びの判断材料は郵政民営化法案への賛成

 だけであり、バックの資金力などはまったく考慮されていない。

 これは明らかに経済人の時代の政治ではないからだ。

 前回もバトラ博士が言ったように、日本も軍人の時代へと移行してゆくことになる

 この魁だろう。


 ただ、郵政法案は今のまま可決させるわけには行かないだろう。

 重要な視点が抜けているからだ。

 今日は多くの人の誤解を解くことにしよう。

 まず、要点を整理しよう。賛成派の主張は明らかだ。

  @民営化すれば、財政投融資への資金の流れが止まって

   財政が健全化する。
  
  A完了に効率的な運営は不可能である。よって民営化すれば

   効率的になる。

  この2点である。しかし、小泉氏は25年以上前から民営化を主張していたと

 報道されている。もともとの出発点がこれだったかはかなり怪しいだろう。

 私には、小泉氏の主張はもはや手段の目的化になっているようにしか見えない。

 民営化はもともとなんらかの目的があって主張していたはずなのに

 もはや、民営化が目的になってしまっている。
 
 だからこそ民営化法案はあれほど修正されたのだろう。

 となると、民営化はもともと小泉氏の私怨から出発しているのかもしれない。
 

 話を戻そう。

 @の問題は、本当だろうか?なんどもこのサイトでは日本の問題は内需の弱さであり

 財政赤字は、これを埋め合わせるために起こっていることを指摘した。

 1970年代初頭のオイルショックの結果、企業や政府は石油が輸入できなく恐怖から
 
 極端な輸出偏重主義に陥った
。輸出が増えると自然と円は強くなる。その結果が1980年
 
 半ばから後半に起こった円高だった。この過程で輸出つまり貿易黒字を維持するために

 企業は、生産性を上げながら、労働分配率つまり給料を増やさない
ようになった。

 結果、日本国内には巨大な供給力が発生する一方、需要は伸びない状況に陥った。

 このギャップは大きなもので、貿易黒字を拡大できた1980年代は問題なかったが、

 バブルの過程で大きな投資が行われ巨大な供給力がさらに大きくなると

 吸収できなくなった。
結果、日本は貿易黒字が発生しながら需要が不足するという

 深刻な状況に陥ったのだ。このギャップをこのとき放置していれば

 日本は間違いなく大恐慌に陥っていただろう。

 そこで行われたのが公共投資だった。90年代から2000年にかけて、なんども

 なんども公共投資が行われた。この結果、借金の山が残ったがかろうじて需給の均衡は保たれ

 大恐慌は回避された。



 つまり、今や公共投資=財政赤字=無駄遣いは、日本の経済に必須になってしまっているのだ。

 ここで無駄遣いをとめてしまったらどうなるのだろう。

 需給のバランスが崩れて、よくて景気後退、悪ければ深刻な不況に

 なってしまうのではないだろうか?


 このことを指摘するものはあまりにも少ない

 たしかに簡保の宿など無駄遣いは目に余る。

 だが、これはむしろ国内需要があまりのも弱く、お金をあふれからせてしまったから

 起こった現象なのだ。

 民間の銀行が、貸し出しがなければどうするだろう?

 株や債券、国債に投資するだろう。

 これが90年以降、世界中にバブルが伝播した原資になっているのだ。


 要するに日本は需要が弱く、貯蓄が超過状態にあるため、投資先を求めて世界中に

 あふれかえってしまったのだ。
 
 ここで、この危うい均衡を破綻させれば、需給バランスが崩れて、日本は不況になり

 税収が減って赤字はもっと拡大してしまう
だろう。

 民営化するのであれば、民需がもっと高まるような倫理的な政策を

 セットで導入しなければ悲惨な結末がまっている
だけだ。

 なんども言うように大きな持ち家政策と最低賃金の引き上げが今こそ必要である。



 ここでどうしても理解できないことがある。竹中大臣のことだ。彼はマクロ経済学を

 学んできたといっており、日本の問題が貯蓄超過であることを理解しているはずなのだ。


 マクロ経済学では

 貯蓄超過+財政赤字+貿易黒字=0

 の等式が成り立つことを彼はしっているはずだ。



 郵便貯金を民営化すれば財政赤字が減る代わりに貿易黒字が増える

 あるいは貯蓄が減る
と考えたのだろうか?

 通常、企業は赤字になってもすぐ人員を減らさない。

 財政赤字が減れば、企業の収入が減ってまず赤字になるのだ。

 97年を思い起こしてほしい。橋本内閣が財政を健全化するために

 財政赤字を縮小しただけで日本は深刻な需要不足に陥って

 深刻な金融不安を引き起こした
ことを。

 
 竹中大臣は、このことを知っているはずだ。にもかかわらずなにも対策を

 打たない。彼は本当に学者なんだろうか?


 もはや、権力の魅力に取り付かれてしまったのだろうか?

 この点からも彼の罪の重さを感じてしまう。

 彼は、このままではひどい仕打ちを受けることになるだろう

 少し長くなりすぎてしまった。Aついては次回簡単に述べることにしよう。 








  ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。できるだけ信頼

できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、完全性を保証するもの

ではありませんし、有価証券、商品市場などへの投資勧誘をおこなう目的の

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