世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

 

   経済の問題点B 政府支出です

 

  今週は、経済の問題点B政府支出について考えたい。

 政府支出は大恐慌まで景気対策に使われるとはほとんど考えられてい

なかった。そのため、夜警国家(治安を守る警察と侵略を防ぐ軍隊)とい

う言葉が、国家の仕事を指すほどだったのである。

 

 それを大きく変えたのはヒトラーである。彼は、第一次大戦後の賠償金支払い

で崩壊していたドイツ経済を立て直すために、公共投資を始めたのだ。

アウトバーンを作り、車を普及させるために国民車(フォルクスワーゲン)を

開発させた。そうすると、急激に景気は回復した。個人消費が増えてからである。

 

 これと同じことを実践した大統領がアメリカにいた。ルーズベルトである。

かれはニューディール政策で、ダムを建設し、景気を回復させようとした。

 だが、こちらは大きな成果を挙げることができなかった。

実際、景気が回復したとして公共投資を抑えた37年には、景気は

再び落ち込んでしまった。

 

 この二つはどこがちがうのか?私は最終需要への効果だと思っている。

アウトバーンの整備は自動車の購入意欲を大いに高めた。その結果、

個人消費は伸び、それが生産を増やす好循環を生み出したのだ。

 

 アメリカは単にダムを作っただけだった。電気の供給量は増えたが、

電気の供給は当時アメリカでは不足ではなかったのでなんの効果も

なかったのだ。

 これは、今の日本に良く似ている。日本の公共投資も単にダムや道路を

作るだけでは、なんの効果もないのだ。なぜなら生産性が上がるだけだからだ

アメリカのニューディールは投資であり、消費ではなかったのだ。だからこそ

公共投資をやめると効果が全く無くなってしまう。

 

 問題点シリーズの最初にも言ったが、今の経済学は単なる足し算になって

いるので、GDPという総和を増やすためだけに、公共投資しているのだ。

これでは意味が無い。公共投資はあくまでも、最終需要のサポートをした方が

よい。そのためには、なんども言うように、家の広さを広げるためのサポート

である。いったん家が広がれば、耐久消費財に対する消費ブームが起こる

それが、日本経済を再び成長させるだろう。

 

 ここで、話をもどそう。アメリカの大恐慌は、ニューディールでは回復しなかった

では、何が回復させたのか?前回もいったが、戦争である。戦争は投資ではなく

最大級の消費なので個人消費に近い効果があったのだ。

 逆に言うと大恐慌は、戦争が終わるまでアメリカを苦しめた。日本の不景気も

根本的な治療が施されない限り、ずっと低迷が続くだろう。

 

 公共投資は、あくまでも消費をサポートする方にするべきだ。また、大き過ぎて

はならない。なぜなら大きな政府は税金が高くついてしまうからだ。官僚制度が

非効率なことはいうまでもないだろう。

 今の公共支出は、あくまでも投資に偏っている。生産性があがるだけでは

意味が無い。それは結局、供給過剰を助長してしまうだけなのだ。

 だが、生産性が上がらないことを気にする人ばかりである。

このあたりを改善する必要があるだろう。

 

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。できるだけ信頼

できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、完全性を保証するもの

ではありませんし、有価証券、商品市場などへの投資勧誘をおこなう目的の

ものでもありません。ご了承ねがいます。