世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

 

   デフレ対策の対案を考えます。

 

  どうも、竹中大臣は、今回の対策に自信があるようで、「対案を持ってきてほしい」

といってるそうだ。たしかに、批判側にろくな対案は無い。みんな自分の損得勘定を

内側にもっており、対案なぞ出せるはずもないからだ。

 

  結局、今回の問題は、不良債権が今回の不景気の原因と決め付けていること

にある。だが、不良債権は原因ではない。むしろ、需要の不足こそが問題なのだ。

  しかし、マスコミは、ほとんど分かっていない。それどころか借金が多いという

だけとしか思えない51社リストと銀行を盛んに叩いている始末である。

 

  今回の不景気を改善するためにはどうすればいいのだろうか?

 プラウトでは賃金が継続的に上昇する状態を好況と呼ぶ。ならば絶対の

前提として、賃金が上がらなければならない。注意しなければならないのは

賃金の増加ペースが生産性の上昇を上回っていないか?それだけである。

 

 これは大リーグがいい例である。いまや大リーグは赤字経営が多い。これは

大リーガーの給料が生産性を上回って上昇しているからである。

 大リーガーたちは確かにすごいが年率何100%も成績を上げていない。

それどころか、観客動員や、テレビ放映権料の増加ペースも上回っていない。

 当然結果は赤字である。これには注意が必要だ。

 

 しかし、日本やアメリカは違う。生産性は継続的に上昇しているが、日本の

賃金は横ばいが続き、アメリカは実質目減りの状態である。

 まずは、これの改善が必要である。生産性が上がれば賃金は自動的にあがる

仕組みとしなければならない。

 

 そして、もうひとつ大事なことは、最低賃金の引き上げである。これは

ラビ氏も指摘しているが、今の最低賃金には根拠が無い。最低賃金は、主に

企業の都合で決められているのである。最低賃金で働くひとたちは、自分たちが

生活するニーズ以下の賃金しかない。

  逆に言うと賃金がひきあげられれば、必ず使うニーズがあるということだ。

日本国憲法では文化的最低限の生活を保障しているにも関わらず、労働者の

多くは搾取されているのである。これを是正する最低賃金の増加は需要の増加に

着実に寄与する。個人消費は最終需要であり、健全なものだからだ。

 

 そして、同時に最高賃金も導入したほうがよい。どう考えても平社員とCEOの能力に

何百倍の差はない。人間の能力にそれほどの差があるとはとても思えないのだ。

 確かに差は存在する。しかし、同じ人間なのだ。最低賃金の10倍を最高賃金と

定めれば貧富の差は縮まって一人当たりの需要に極端な差は無くなる。

 今の不景気の一員は、一人当たりの需要に差がついていることにもあるのだ。

稼いだお金を貪欲に溜め込まず、程よく使うこの需要は自然で健全であり、強い。

 

 残りは、自由貿易と持ち家政策である。

経営者の多くは非常に貪欲になっており、労働者を解雇し、中国に工場を建てて

中国の人々を日本人の1/20以下の賃金で搾取している。そして、高値で輸出して

儲けている。この制限が必ず必要である。自由貿易については、もう何度もここ

で述べたの割愛するが、自由貿易理論のいう最適生産による生産量の極大化は

間違いである!

 

 それはあくまでも賃金がどんな国でもどんな職業でも同じでないと成立しない

机上の空論に過ぎない。このことを理解していないエコノミスト、学者、マスコミの

なんと多いことか?アメリカの理論というだけでありがたがっている始末である。

 実際には生産、賃金は停滞し、儲かるのは金持ちだけでGDPは増えない。

 この理論の一体どこがすばらしいのか?私には理解できない。

 貿易は自国民が養えない食料や鉱物資源とそれ見合いの加工品にとどめる

べきである。経済にも環境にもよくない自由貿易は廃止したほうがいい。

 

 最後は、持ち家政策である。ラビ氏は家の狭さこそ日本経済の停滞の原因と

おっしゃっている。私もそう考えている。理由は簡単で物を置くには広い

家が必要だからだ。日本の都会の家は、信じられないほど狭い。ソウルや

香港といった過密都市よりも狭いのである。これでは物は置けない。

 

 ノートパソコンや携帯電話など軽薄短小なものが好まれるのはこのためだ

だが、これらは汎用品より高く、儲かるのは金持ちだけだ。

 一方で需要は制限されてしまっている。土地が高すぎて家すらもてないのである。

ここが、最大のポイントである。国が持ち家政策を改善するべきだ。

民間が今の4倍の200u以上のマンション、家を供給できないなら、国が

積極的に補助するべきだ。家の購買はそれ自体が耐久消費財であり、

家の広さがひろがることで、耐久消費財の購買意欲は大きく高まる。

 

 これなくして、需要の増加は無い。単に賃金だけを増やしても、

もう需要は出てこないのだ。ところが、小泉首相は大の民間好きで、

公団の廃止を決定してしまった。これでは住宅需要は衰えてしまう!

 大変危険なことだ。この政策はなんとしても変えないと来年、再来年は

もっと需要が落ち込む危機に陥るだろう。

 

 そして、もうひとつ家が広がることは核家族化に対する歯止めである。

いまや、子供は親を排除の対象だと思っている。もはや、身内ですら

他人のなのだ。このように育った子供は今度は自分の子供に

見捨てられるだろう!これではいけないのだ。

 家が広がれば、両親と住むことが可能になる。これはアメリカから

入ってきた自分さえよければいいと考えに一石を投じることになるだろう。

 そして、最後は道徳や倫理が戻ってくるはずだ。

 

 以上が、対案である。これらを実行するだけで不良債権の問題は

一体何だったのかと思われるほど経済成長は復活するだろう。

 

 本当に日本が抱えている問題はシンプルなのだ。だがみんな貪欲に

既得権益にしがみついているので、改善ができないだけなのである。

そこへ、アメリカの貪欲な経済学を学んだ学者先生が入ってきたために

話が余計にややこしくなったように見えるだけなのだ。

 もう、旧来の伝統的な処方箋は効果が無い。やるとすれば新しいこと

なのだ。

 

 

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。できるだけ信頼

できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、完全性を保証するもの

ではありませんし、有価証券、商品市場などへの投資勧誘をおこなう目的の

ものでもありません。ご了承ねがいます。