世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

 

   今週は竹中大臣の経済・金融政策を考えます。

 

 今回は、投資の話をする予定だったが、竹中氏が金融政策も担当する

ことになったので、触れたいと思う。

 先週、小泉政権で内閣改造があった。その際に、柳沢金融担当相が退任

竹中氏が経済兼金融担当大臣となった。

 これは、驚きをもって迎えられたが、市場の評価は良くなかった。株価は

下がってしまったのだ。

 

 なぜか?彼が積極的な不良債権処理論者だからである。そしてその主張は

こうである。「とにかく、現在の不良債権があるために、貸し出しが行われず、

投資ができないことが不景気の原因である。だから、不良債権の相手先を

つぶし、処理すれば、健全なところにお金が回る。結果、投資が行われるから

景気は回復する」というものだ。

 

 見事な三段論法だ。一見すると非の打ち所もない論理である。そして

これを支持する。エコノミスト、学者、マスコミが非常に多い。

 だが、これは重要な前提が成立していないといけない。

 

 それは、健全な企業に投資意欲があることだ。投資したいけれども

不良債権でお金が回らなくなって借りられないというのが大条件なのだ。

だが、そのような需要はまったくない。なぜならデフレ・不景気で儲から

ないからだ。投資需要がないのに投資が行われるはずが無い。

 市場は、まさにこのことを見透かしていたのだ。投資が増えず企業だけが

倒産するので、結局株価下がってしまうと思われたのだ。

 

 私は、ずっと前から、不良債権は結果であり、原因でないと主張してきた。

だが、依然として不良債権こそが現状の不景気の原因であり、この処理こそが

景気を回復させる唯一の方策であると信じられている。

 だが、逆である。

 

 たとえば、不振な企業があったとしよう。これ対する不良債権を竹中氏の

言うとおり処理した場合。どうなるだろうか?

 その企業が作っている需要がなくなる。設備投資・部材の調達費、

さまざまな消耗品購入費などである。そしてそこで働いているひとの給料も

無くなる。個人消費も無くなるのだ。

 

 だから、日本全体の需要が無くなる。こんな環境下で投資をする会社が

増えようか?私にはとてもそうは思えない。むしろ需要の減少を導いてしまう。

現在は、完全に供給過剰の状態だ。供給を減らそうとすると需要がもっと減って

しまうのだ。たしかに企業は供給の主体だ。だが需要の主体でもあるのだ。

竹中さんは、このことをご存知だろうか?

 

 需要と供給は表裏一体の関係にある。需要と供給は完全に独立した

主体ではないのだ。明らかにここが間違っている!

実際、去年不良債権処理の話がでたとき、私は2002年の景気はちっとも

よくならず、さらに悪化するといった。実際、そのとおりだった。多くの

人の賃金は減り続けており、不況は増している。

このままでは、もっと悪化するだろう。

 

 それが、大臣や官僚の勘違いによって引き起こされているのだ。

なんということだろう。もう、事態はとめられないのだろうか?

私は心配でならない。

 

 

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。できるだけ信頼

できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、完全性を保証するもの

ではありませんし、有価証券、商品市場などへの投資勧誘をおこなう目的の

ものでもありません。ご了承ねがいます。