世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

 

  今週は日銀の問題2です

 

 今週は、当初は運良く聞くことができたリチャード・クー氏の講演について

述べるつもりだった。しかし、日銀が株の購入について公表したので

今回は、これについて述べることにする。

 

 日銀は18日に金融政策会合を開催した。金融政策については現状維持となり

特に目新しいものはなかったが、会合後の速水総裁の会見内容は驚くべきもの

だった。なんと日銀が銀行が保有する持ち合い株を買い取るというのだ。

 

  内容としては、自己資本を上回る株式を保有している大手行と一部の地方銀行の

保有する株式を時価で買い取るそうだ。

 なんということだろうか?

 これは、かつて桝添要一参議院議員がいっていたことだ。以前、私はこのコーナー

で「要するに、現在の不景気の原因はデフレなので、デフレを止めると宣言

して日銀が片っ端から資産を買い入れれば、インフレになってすべてうまく

いくといってるのである。」といった。

 

 まさに、この線に沿った内容だった。もう何度も指摘したので、

聞き飽きておられる方も多いと思うが、現在の不景気の原因は需要の不足だ。

だから投資を促進する金利引下げは効果がない。当然だろう。

 もうからないのに投資するものなど普通はいないからだ。

 

  これは日銀の政策は、まったく効果が無いということを意味している。

となると、もうなんでもいいから日銀が片っ端からかって需要を作れといってる

のだ。これはケインズ経済学に通じるものがある。景気を回復するために

ピラミッドでもなんでもいいから作れ!と同じだ。

 

 だが、国が公共投資するのと、日銀が不良資産を片っ端から買うのでは

意味が違う。たとえば国は債務超過状態だが、10年もの国債の金利は過去最低

レベルである。一方、日銀は日銀券(紙幣)の裏づけを行っており、もし、なんらか

の理由で債務超過に陥れば待っているのはハイパーインフレだ。

 

 残念なことだが、今回のことも、日銀のうちでの小槌化が進んでいるという

私の主張に沿った動きだ。もう打つ手が無くなってきているのだ。

たしかに、一部のインフレターゲット論者のいうインフレはこれでやってくるかも

しれない。しかし、そのインフレは普通のインフレでは無くなるかもしれないのだ。

 

  エコノミストや知識人は根本的なことがわかってない。

経済学の入門書には経済は、需要と供給で決まると書いてあるのだ。

ここまでは必ず書いてある。だから内容はともかく多くの知識人は知っている。

だが、問題は、このあとだ需要と供給がいったいなにによって決まるのか?

それこそが本当に大事なのにほとんど触れられていない。

これは、私にとっては非常に大きななぞだ。

  

 どうしてなのだろうか?結局、GDPに問題があるのだろう。GDPが増える

あるいは減ったということが景気のバロメータになっているからだ。

 だから、数字合わせばかりが主眼になってしまっていると思われる。

 

 現在のマクロ経済学は、単なる統計学になっている。もっと本質を探究する

必要があるだろう。

 日銀になんでも不景気の対応策を押し付けることは危険なことだ。

前回の日銀の問題でも言ったが、日銀の資産は決して万全とは言えない。

なにかあれば吹っ飛んでしまう可能性がある。

 

  まもなく人為的な需要底支え策は消える。そのときに大きな問題が発生する

ことになるだろう。

 

 

  

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。できるだけ信頼

できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、完全性を保証するもの

ではありませんし、有価証券、商品市場などへの投資勧誘をおこなう目的の

ものでもありません。ご了承ねがいます。