世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

 

  今週は日銀の問題を考えます。

 

  さて、今週は、日銀の問題について述べたいのだが、この項は書くかどうか

かなり迷った。その理由は後述するが、これを書かないと私の論理に矛盾が

あることになってしまう。

 

  私は、常日頃から日本、アメリカはこの十年はインフレの周期であるといって

いる。その一方で、お札をする政策ではインフレにならないとも述べた。

  これは、通常のインフレは需要が供給を上回らない限り起こらないからだ。

現状は供給が大きく需要を上回っており通常ではインフレは起こらない。

  一見すると私の主張は矛盾してる。明らかに間違ったことをいっている

ことになってしまう。だが、今回起こるインフレは、景気の過熱が原因では

ないのだ。

  

  それは、何度か触れた財政破綻、あるいは今日のテーマである日銀の信用喪

失だ。財政破綻については、おおくのところで述べられており、すでにご存知の方は

多い。しかし、日本銀行券、つまりお札を発行している日銀の資産がおそろしく

不健全であることはほとんど知られていない。

 

 まずは、この下の表を見ていただきたい。

(単位:百万円)
資 産
負債および資本
摘 要
金 額
摘 要
金 額
金地金 215,665 発行銀行券 45,284,998
現金 344,198 金融機関預金 3,671,481
割引手形 19,510 政府預金 2,574,313
貸付金 1,067,729     うち当座預金 1,415,518
    うち手形貸付 957,729       その他 1,158,795
      証書貸付 110,000 その他預金 10,115
買入手形 5,400,400 未払送金為替 4,934
国債 46,447,682 旧銀行券未決済金 671
海外資産勘定 3,043,274 未経過割引料利息その他 2,208
預金保険機構貸付金 532,100 仮受金 9,018
預金保険機構住専勘定拠出金 100,000 雑勘定 5,716,628
預貯金保険機構出資金 225 引当金勘定 2,465,842
新金融安定化基金拠出金 100,000    うち償却準備金 2,260,416
金融機関出資 20,000      納税引当金 191,900
代理店勘定 3,858,660      その他引当金 13,525
政府勘定保管金 7,265 (負債合計) (59,740,213)
取立未済切手手形 807,177 資本金 100
未収利息その他 200,172 法定積立金 1,156,347
仮払金 73,453 別途積立金 890,198
動産不動産 188,298 特別積立金 13
雑勘定 0 当期剰余金 638,941
    (資本合計) (2,685,600)
資産合計 62,425,813 負債および資本合計 62,425,813

(注)1.「0」は単位未満の数字。
   2.単位未満切捨て。以下同じ。

単位:億円)

平成13年度末
(B)
(資産の部)
金地金
現金
買現先勘定
買入手形
保管国債
国債
(うち短期国債)

貸出金
外国為替
代理店勘定
その他資産
(うち国債借入担保金)
動産不動産
貸倒引当金
 
4,463
2,873
35,159
295,184

866,537
372,546
9,900
41,800
35,486
94,040
85,318
2,451
▲2,260
資産の部合計 1,385,636
(負債の部)
発行銀行券
預金
政府預金
売現先勘定
売出手形
借入国債
その他負債
貸倒引当金
退職給付引当金
債券取引損失引当金
外国為替等取引損失引当金
 
678,762
288,950
129,284
222,993


543

421
22,433
4,293
負債の部合計 1,347,683
(資本の部)
資本金
法定準備金
特別準備金
当期剰余金
 
1
23,315
0
14,636
資本の部合計 37,953
負債及び資本の部合計 1,385,636

 
(注1)  計数については、円単位での計算後、億円未満を切り捨てて表示しているため、表上の計算とは必ずしも一致しない(他の計表も同様)。
(注2)  <−>の表記は、計算上ゼロあるいは該当数字なしを示し、<0>の表記は、単位未満を切り捨てた場合のゼロを示す(他の計表も同様)。

(出所)日本銀行HPより

上が、1997年3月末、下が2002年3月末の日本銀行の財務諸表である。

単位が違うので注意が必要なのだが、1997年3月の日銀の総資産は62兆円

2002年が138兆円である。実に倍増している。

いったい何が増えたのであろうか?それは国債である。

97年の46兆円から2002年には86兆円に急増している。

 

  何度も指摘した金融緩和の結果、日銀の資産は膨れ上がったのだ。

だが、今のところ問題は少ない。超低金利政策で、金利の低下とともに

国債価格が上昇したからだ。

 だが、逆になったらどうだろうか?もし、資産価格が下落したら?

 

 その前に今度は、日銀の資本を見てみよう。もし、資産価格が下落しても

資本が十分にあれば、耐えることができる。

 

 だが、97年の資本が2兆6850億円、2002年が3兆8000億円弱しかしないのだ。

資産が倍に増えたのに資本はほとんど増えなかった。債券取引の損失積立金も

わずか2兆2400億円である。

  日銀法で国庫への上納が義務づけられているからだが、これでは

とても耐えられない。戦前の国債引受が中央銀行の信用喪失につながったため

引き受け禁止にしたが、市中からの買いオペを認めているので何もなっていない

のである。

 

 国債価格がなんらかの形で暴落するとたちまち立ち行かなくなってしまう。

日銀の信用がなくなるからだ。日銀の信用喪失は、別のことを引き合いに

出してリチャードクー氏が指摘してたと思うが、ほとんどしられていない。

 

  これは本来書くべきことではなかったかもしれない。

なぜなら信用は風説の流布でもなくなるからだ。

 かなり前に、電車の女子高校生の会話から信用金庫の取り付け騒ぎに

なった事例がある。このように私のHPに書いたことが日銀の信用喪失に

つながる可能性もあるからだ。

 

 そのため、お断りを入れておく、あくまでも上記のことは可能性であり

起こるといってるわけではない。むしろ起こらないことを祈っていると。

 

大恐慌も、ハイパーインフレも、戦争も、天変地異起こらないほうがいいに

決まっている。だが、世界中を動かしている指導層=経済人たちの傲慢さは

目を覆うばかりだ。そして貧困、戦争、飢饉が満ちている。

 これらにばちが下るのは間近のような気してならないのだ。

杞憂に終わればよいのだが・・・

 

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。できるだけ信頼

できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、完全性を保証するもの

ではありませんし、有価証券、商品市場などへの投資勧誘をおこなう目的の

ものでもありません。ご了承ねがいます。