世界経済と幸福論 |
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江戸時代の経済についてでです。
何度か、このHPでは、江戸時代の経済について触れてきた。 江戸時代は、ほぼ完全な閉鎖経済だったので、われわれに非常に 興味深いことを教えてくれている。
特に興味深いのは、貧富の格差についてである。 江戸時代は当初は、戦国大名から成り上がった大名たちに富は 偏在したが、江戸幕府の公共投資による財政逼迫化政策もあり 徐々に、富は、平準化していった。
江戸時代前半は身分制度も厳しくなく、農民が藩の勘定方に 取り立てられたほどだった。 この時期は、一時期の飢饉、反乱があったものの、基本的に順調だった。 特に、正雪の乱が治まると目覚しい経済発展が起こった。 元禄時代だ。この時代は大規模な飢饉も平穏な時代だった。
積極的な新田開発で生産性が上昇し、生活水準が大幅に拡大した。 唐箕などの革新的な機器が開発されたのもこの時代だ。 しかし、元禄が終わると、経済はずっと低迷してしまう。 それは、以前徳川吉宗の時代について言及した時に述べたとおりだ。
いったいこの格差はどこにきたのだろうか? 私は、当時の徴税政策に問題があったと考えている。 士農工商の身分制度は緩やかだったが、税金は身分によって 決まっていた。農民には税=年貢を納める義務があったが商人 には、ほとんどなかったのだ。このために、武士にあった富は、 江戸時代中期には、ほとんど商人のものになっていた。
これは豪商、淀屋や紀伊国屋の逸話として残っていることからもわかる。 平準化する仕組みが江戸時代にはなかったのだ。 商人を取り潰して、一時的に貧富差を縮めても商人から税をとらないので 一向に、事態は改善されなかった。
田沼時代に、商人に対する税が取り入れられたが、その代わりカルテルを 認めたので物価は上昇してしまった。 結局のところ、江戸時代には、これを改善する方策ということは全く行われなかった 幕閣たちは、まさか貧富の格差が不景気の原因とは思いもよらなかったのだ。
結局、商人に富が集中してしまったために、消費が滞る一方、投資が行われ なかったから、経済は停滞したのだ。
さて、ここで話を現在にもどそう。今の状態はまさにこの状態だといえるだろう。 富が集中しているために、個人消費は滞り、案件がないために投資は行われず 経済は発展しないのだ。 みなさんにはぜひここを理解してほしい。貧富の格差は小さいほど経済は 健全で、高い成長率を享受できるのだ。日本の成長率が低下し始めた 70年代以降、貧富の格差が広まったのは決して偶然ではないのだ。
結局、経済はバランスなのだ。一時的であればごまかすことが可能だが、 長期的にはそれは決して維持できない。 これは歴史が証明済みだ。
まもなくすべては白日にさらされるだろう。そのときいったいどのくらいの人が 自分のやってるいることを正しいといえるだろうか?
ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。 できるだけ信頼できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、 完全性を保証するものではありませんし、有価証券、商品市場など への投資勧誘をおこなう目的のものでもありません。ご了承ねがいます。
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