世界経済と幸福論 |
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今週は株価の問題です。
先週、今週と世界中で株価がもどっている。世界景気の回復傾向も 確かに要因だが、根本的には日本である。打ち出の小槌式に やってきた金融緩和がついに効果を持ち始めたのである。
日本の金融緩和で生まれた資金は日本では使われない。 これは銀行の貸し出しが減っていることからも間違いない。 ではいったい何処へ流れているのだろうか?
もはや、言わずもがなである。アメリカだ。アメリカの収益率は 以前に比べると低くなっているが、依然として、日本よりも遙かに 高い。このために流れ込んでいるのだ。
日本はでは、空売り規制が大きい。株価を売っていけないといっているのだ。 空買いは良くて空売り(注意:空売りとは株券がないのに株の売ることで信用 取引のことではない)がだめなら、株価はあがるに決まっている。
困ったことだ。株価が上がれば良いという考えは、とても危険だと警告は なんどか行ったが、依然として蔓延している。 投資の促進はデフレの進行につながる。現在の世界経済の回復は、 喜ばしいとは言えないのだ。
アメリカは、確かにGDPの点では景気後退は終わったが、依然として負債の 額は大きく。不健全さは変わらない。 これから一時的な回復局面に入ると思われるが最終的には負債額に つぶれてしまうだろう。
日本は、デフレの原因を不良債権のせいにしており、そのためには 不良債権の発生原因のひとつである株価の上昇こそが解決だと 思っている。しかも、需給ギャップの対処療法として供給を削ること ばかり考えている。お役人たちはどうかしている。供給を減らして、需給 の均衡を図ろうとすると需要が減ってやっぱり、需給は均衡しないので ある。これには個人消費を増やすしかない。 だが、対策は供給側ばかりだ。日本のデフレは円安で一時的に止まるかも しれないが、結局は、投資増のせいでいつまでたっても需給ギャップは無く ならないだろう。
中国も問題だ。中国の経済成長は7%前後と驚異的だが、一方で物価の下落が 進んでいる。ここが日本の高度成長と決定的に異なる。日本の高度成長は 国内の旺盛な需要によりまかなわれて非常に健全なものだが、 中国は、世界への輸出によって成り立っており、世界経済が後退すると、 ものがすぐ余る非常に不健康なものだ。 このままではいずれ激しい元高にさいなまれるだろう。
私の予想よりも、株価は早く底を打ったようだ。間違えてしまったわけだが その原因は、おそらくテロだろう。 テロのあと、世界中の中央銀行は金融緩和措置をとった。このような出来事は 99年末の2000年問題の時以来である。本来、世界中の景気サイクルは、ずれが あり同時に同じ行動をとることはあまりない。
だが、あのテロの狂気が皮肉にも世界不況への対応を統一してしまったのだ。 結果、貨幣がまたも急増してしまった。実物経済は相変わらず悪いので、 金融に金があふれかえってしまった。
またしても、バブルである。おそらく前回の規模を上回ることはないと思われるが 日本の金融緩和は史上類を見ない規模に達しており、投機に火がつかないと 断言できない。 再び、市場に不道徳や不健全さが戻ってきたようだ。多くの政治家や官僚は これを大喜びで迎えるだろうが、今度は長続きしないだろう。
ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。 できるだけ信頼できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、 完全性を保証するものではありませんし、有価証券、商品市場など への投資勧誘をおこなう目的のものでもありません。ご了承ねがいます。
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