世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

 

 今週は、韓国と日本の内需の違いです。

 

 今週、日経新聞に韓国の経済が底を打ったとする記事が掲載された。

確かにGDPの伸び率は年率換算で+5%超と高い。

 外部環境は、日本と同じで世界の多くの国が不景気のなかであるにも

かかわらずである。

 

 なぜだろうか?ウォン安を使った輸出主導型だろうか?公共投資だろうか?

違う、個人消費が堅調だからだ。

 日経新聞のグラフにあったとおり、韓国の個人消費は、前年比でプラスが

続いている。かの国も、97年には通貨危機で大きなダメージを受けた。

通貨は暴落し、多くの企業は倒れ、失業者は増えた。

 だが、経済はそれ以降、回復を続けている。最初こそアメリカ向けの輸出が

牽引していたが、アメリカのバブルが崩壊しても、伸び率が鈍化しただけだった。

その伸び率も回復してきているのだ。

 

 日本とは大きな違いである。いったいどうしてこんなに差が出ているのだろうか?

なにが違うのだろうか?

 明らかに内需、それも個人消費の違いだ。韓国の個人消費は旺盛で、日本の

個人消費は停滞しているからだ。

 日本では、価格を引き下げても、ほとんど需要は喚起されないが、韓国では

消費が増えているのだ。

 

 どうして、こんなにも個人消費に違いがあるのだろう。一般的な通説で考えよう。

@ライフサイクル仮説

 将来の予想所得が減少するとみなが考えているので個人消費が伸びないと

 いう考え方である。だがどうだろうか?将来が不透明ということに関しては

 韓国も、日本も大して変わらないのではないだろうか?

 みなさんも将来の不安から消費を減らしているだろうか?

 確かに多少はあるかも知れないが、ものを買わない理由に乏しいと思う。

 

A欲しいものがなくなった説

 これは、よくマーケティング論で議論される考え方が、アンケートなどで

 欲しいものは何ですかと聞かれると特に無いということがトップに

 来ることからよく指摘される。

 だが、なんどか幸福論でいったように、人間の欲望は無限だ。これはもっと

 別の制約があって欲しいものがないといってると思う。

 

以上の二つが、よく新聞やエコノミスト、学者が用いる議論だ。

だが、どうもいい加減だ。人間の本質をついていないからだ。

 

 実際には別のファクターが強く聞いている。それはなんどもいってるように

実質所得の停滞と持ち家の狭さだ。

今回の韓国と日本の差は、特に後者、持ち家の差なのだ。

 韓国は、日本よりも人口の密集度が高い。ソウルは東京よりも人口が

集中しているのだ。だが、住居の広さは雲泥の違いである。

 

 韓国は地震が少ないこともあり高層マンションが多い。一般的なマンションの

大きさは200u以上なのだ。これは、三洋電機会長の発言が最も端的だろう。

「韓国の住宅事情は、非常に良い。サムソンなどが建設したマンションの一戸

の平均面積は200uを超えている。日本は、東京の高級物件ですら70u程度

に過ぎない」

 

 まさにこれなのだ。韓国と日本では、一人当たりの住居スペースが3倍以上

も違うのだ。これが国内需要の弱さに直結している。日本人の多くはもうものが

いっぱいの生活をしており、置くところが無いのだ。だから欲しいものはないのである。

 日本の景気回復には住宅事情の改善が欠かせない。一刻もはやく、住宅政策の

変更をやるべきだろう。

 

 しかし、振り返ると日本の景気の低迷は戦後50年に渡って行われた土地投機が

原因であることがよくわかる。かつて故司馬遼太郎氏は、土地をもてあそんだことを

大変危惧しておられたが、しっかりバチとして当たっていることがわかる。

 

 以前にもいったとおり、日本の土地は、戦後50年で3万倍にもなった。その結果、

住居面積は著しく狭くなった。そのためにEC(現在のEUの前身)の秘密

報告書に「うさぎ゙小屋」とかかれてしまったのだ。

 

 なんどもいってるようにバブルは膨らんでいるときは、みんな貪欲で幸せな

限りだが、はじけると本当に多くの人を不幸にしてしまう。

 投機は絶対に阻止するべきである。この土地投機のツケは大きく日本に

まがしばらくマイナスの影響を与えつづけるだろう。

 日本の景気回復はまだまだ時間がかかることになるだろう。深刻さはます

ばかりだ。

 

 

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。

できるだけ信頼できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、

完全性を保証するものではありませんし、有価証券、商品市場など

への投資勧誘をおこなう目的のものでもありません。ご了承ねがいます。

 

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