世界経済と幸福論 |
| 今週は、株価の上昇が与える悪影響です。
予告では、資本主義の終わりについてコメントすつつもりだったが、 それは次回に延期し、今日は株価の上昇と投資の増加が与える影響に ついて考えたい。
アメリカの株式市場は、テロの後、堅調に推移している。私は、テロにより 大恐慌が始まるをと見ていたが実際に始まったのは資本主義の崩壊 だった。これについては、次回に詳しく話をしよう。
私は、株価の上昇は景気の拡大、特に消費の拡大によってもたらされる べきで株価の上昇による景気拡大は偽りであると主張してきた。 ところが、多くのエコノミスト、学者、政治家は株価の上昇こそが必要だ というのだ。それは、多くの場合、金融機関が多くの株式投資を行ってお り、株価の上下で大きな影響を受けるからだ。
そのために、とにかく株価を上げろという。また別の見方もある。投資が 増えれば、景気が回復するというのだ。たしかに設備投資は、GDPの 増加要因だ。 なんどか繰り返してきたが、現在の経済学では、GDP(生産高)こそが 景気のバロメータになっている。 つまり、Y=C+I+G+EX−IMの公式だ マクロ経済学ではGDP=Yなので、Yを増やすためにどうするかということに なってしまう。このうちCは悪いからどうするかとう話になるので Cを増やすというオプションが存在しない(非常に奇妙なことだが)
となると、残りの、I(投資)、G(政府支出)、EX(輸出)を増やすしかない。 現在の小泉政権は、Gは絶対に増やさない方針なので、投資か輸出を増やす しかない。となると、円安という戦略は妥当ということになる。 だが、通貨の切り下げはリスクが大きすぎる。通貨危機が発生してしまう からだ。
だからこそ、投資を増やす戦略を押しすめるという結論になってします。 だが、この10年株価を押し上げるべく、92-97年に採ったPKOや99年に 採用した金融緩和による高株価政策は効果があっただろうか? 確かに設備投資の増加により、YたるGDPは増えた。だが、これによって 生産性が刺激されてデフレはいっそう進んでしまったのではないだろうか?
どうだろう、この十年、物価が上がったのは消費税が引き上げれた 影響を除くとまったくといっていいほどない。 むしろ、下落のペースは悪化する一方だ。 結局のところ高株価政策は、一時凌ぎに過ぎない。株価を上げると 投資が増えて需給ギャップが拡大し、不景気が深刻化してしまうのだ。
非常に単純なことなのだ。だが、今の経済学は複雑なモデルを追いすぎて まったく前が見えなくなっているのだ。今回の不景気もこれまでと同じような 対策では、需給ギャップが拡大するだけだろう。 このひずみは、この十年拡大する一方だった。需要がないがしろにされている からだ。一刻も早い対策が必要だろう。
次回は、資本主義の崩壊についてお話しよう。
ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。 できるだけ信頼できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、 完全性を保証するものではありませんし、有価証券、商品市場など への投資勧誘をおこなう目的のものでもありません。ご了承ねがいます。
|