世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

 

今週は、株価動向についてです。

 

 今年のNY市場は、好調なスタートになった。半導体価格の上昇など

いろいろ材料がいわれているが、この上昇の背景には年末に行われた

日銀の金融緩和がある。

 

 12/19の臨時増刊号でも指摘したが、日銀の金融緩和姿勢に歯止めが

掛からなくなってきた。もはや日本経済を回復させる方策が見当たらなく

なってきたので、どんどん金融緩和をやっているのだ。

 

 しかし、以前から指摘しているように日本国内の需要は非常に弱く、

投資意欲はまったくないので、日本での効果は非常に限定的だ。

 これは、GDPの動向を見ればよくわかる。実物経済の動向を

あらわすGDPは現在、名目でも実質でもマイナスである。

にもかかわらずマネーサプライはプラスであり、根源となるハイパワード

マネーは爆発的に増加している。この差額はいったいどこにいくのだろうか?

 

 それは投機だ。余った金はいつの時代でもそうだがばくちにつぎ込まれ

しまう。ところが、上記の理由で日本の資本市場は不調だ

 そのために、外国投資が急速に増えており、これが円安を誘発している。

小泉首相をはじめ政策担当者も、円安がデフレを止める効果があると

思いこんでいるので、この状況を歓迎している。

 

 だが、円安が進むということは、本来の目的である投資を刺激せずにどんどん

資本が流失していることを意味しているのだ。

 これはアメリカにとって非常に都合がいい。株価の上昇につながるからだ。

 

なんどか、このHPで取り上げているが、日本で金融緩和が起こるたびにアメリカの

株価が上昇してきた。それは、日本に投資需要がないからだ。余ったお金は

どこかに投資しなければならない。その受け皿がアメリカなのだ。

 

 ただ、今までと違いアメリカは加熱した発動機ではない。アメリカ自身の需要も

減少しており、投資需要が大きく盛り上がることはないだろう。

 どちらにしても、打出の小槌と化した日銀のせいで、世界中の株価に影響を

与えてしまっている。金持ちは自分たちの富を守りたくしょうがないようだ。

もう、十分なお金を持っているのに、貧しいひと、停滞する経済のためと称して

いるが実際には金持ちしか救済されないという、こんな理不尽なことはいつま

でも許されない。かならず、是正されるだろう。

 

 ここで少し話を変えよう。いつも私は疑問に感じるのだが、エコノミストや

学者、政治家はなぜこれほどまでに株価に執着するのだろうか?

とにかく株価をあげればすべてうまくいくといっているのをなんども目撃した。

 

 彼らの主張は一貫している。株価が下がると銀行や生保の株の含み益が

なくなり、破綻する。このような金融恐慌は避けなければならない。

したがって株価は高くないといけないのだといっている。

 

 また、株式投資の本では、株価が高くないとのっとられてしまう。だから

自社の株は高くしなければならない。

 

 だが、どうだろうか?株価はいまやバブルが最低のレベルだが、金融恐慌は

おこっただろうか?確かに97年に大きな信用不安が起こったが、これは

含み益が喪失からではなかった。三洋証券、拓銀、山一證券これら自身の

株価が暴落したことが引き金だった。

 

 また、のっとりにしても、現在の安い株価で外資系が日本企業を片っ端から

買収などしていない。株価が安いのその企業の魅力が薄いからであり、

のっとりはおこらないのだ。また、それを防ぐために高株価政策を採用しても

維持できようもないのだ。

 

 にもかかわらず、とにかく株を上げなければならないというエコノミストばかり

である。これは非常に危険なことだ。

 業績が回復してないのに株価があがると、儲かってもいないのに

高収益があがるという錯覚が起こってしまうのだ。

 これこそがバブルなのだ。利益は一円も、一セントもあがっていないのに

株価があがると利益がでるとみんな思ってしまう。高株価は企業の資金調

達を容易にするので投資が増える。

 

 しかし!である。今の話で最終需要は増えるだろうか?株価が上がって

儲かったから多少増えるぐらいである。しかし、生産性の向上はそれ以上だ。

 このためにバブル期は、生産性が急激にあがる一方で、需要は高株価に

より錯覚の需要(いわゆる仮需)が作られる。この需要は砂上の楼閣であり

もろい。

 

 中央銀行の引き締めなどで、株価が急減すると最終需要も、投資も急減、

需要がなくなって巨大な設備だけが残ってしまうのだ。そうなるとエコノミストや

官僚たちは業界再編で供給を減らすなどといいだすのだ。

  しかし、結果は再編成による失業者の増加とさらなる需要の減少である。

 

なぜ、こんな単純なことが理解できないのだろうか?経済は複雑ではない。

単純なもので簡単に説明できるものだ。

 

結局のところ、みんな自分の利益しか考えていない。

自分だけが儲かればよい。あとはどうなってもよいと考えているのだ。

 だが、この考えは不自然で許されないものだ。まもなく崩れることになるだろう。

すでにテロをきっかけに、異常なまでの自由を騙った利己心は抑制される方向に

向かっているからだ。次回はこのことについて話そう。

 

 

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。

できるだけ信頼できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、

完全性を保証するものではありませんし、有価証券、商品市場など

への投資勧誘をおこなう目的のものでもありません。ご了承ねがいます。

 

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