世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

 

 

元旦恒例の2002年の予想です。

 

 あけましておめでとうございます。21世紀最初の年が終わった。

非常に残念なことであるが、いいことは少なかったと思う。

 今年は、どうなるのだろうか?

 

 まずは、答えあわせだ。昨年の予想はどうだったろうか?

「結論から言おう。今年は実体経済の悪化を悲観する相場になるだろう。昨年は、

まだ収益の悪化が見えないなかでの暴落だったが、今年は、実体経済が

いよいよ悪化する中で株価は激しく乱高下するだろう。

利下げが断続的に行われるたびに株価は回復するだろう。しかし、企業収益

の悪化が重しになって本格的な株価上昇は望めない状況になるはずだ。

 

 どうだろうか?ほぼ的中しているように思う。世界の景気は、昨年の正月には

まだ悪くなったばかりだったが、現在では、深刻さを増している。

 激しくとはいかなかったが、相場はテロ後の利下げを織り込む形で

乱高下した。

 

 「また、ポイントはNYダウだ。まだ、暴落と呼べるような状況にない。ボックス圏

の相場が続いているが、今年は急激な暴落もありえるだろう。景気の悪化は

そこまで深刻なるからだ。」

 

 これは、テロが原因とはいえ的中した。結局のところ景気が悪化しているなかで

株価を維持しつづけることはできないのだ。

 

次は金利だ

「アメリカの国債市場は、堅調だろう。FRBが金利の引き下げを行うからだ。

しかし、社債市場やジャンク債市場は厳しい局面が予想される。

景気の悪化で、デフォルトに陥る会社が多数出てくるためだ。」

 

 これもあたったといえる。HPでは詳しく触れなかったがエンロンなど著名な

米企業が破綻し、社債市場の金利が相対的に低下しなかったのにたいして

国債市場は堅調だった。

 

「日本では、再びゼロ金利が実施される可能性が高い。

しかし!、日本の物価は下落傾向が続いており、99年と決定的に違って

金利をゼロにしても、実質金利は高いままだろう。

 これは、株や景気にとって致命的だ。アメリカの景気悪化で輸出が

減少することとあいまって、実質金利が高いことは大きなダメージを

景気に与えるだろう。」

 

 日本に関しても同様だった。実質金利が高いことはボディーブローの

ように、効いてきている。

 

そして為替市場だ

「ユーロは、年末になってようやく反転した。この状況は今年一年さらに力強く

つづくだろう。(中略) 昨年は過去3番目に変動の少ないドル円だったが、今年は、

大きく円高方向に動くだろう。」

 

 これは外れた。毎年はずしているので私は為替相場の予測ができない

のかもしれない。ただ、円に関しては、テロのあと、一瞬だが大幅な円高が進んだ。

これは、何もしない状態であれば、ドルは下がりやすいことを示している。

 日銀の介入で阻止されたが、ドルの崩壊が最後には必ずやってる来るだろう。

 

最後に景気動向である。

「すでに述べたが、景気は日米ともに悪化し大不況になるだろう。最終的には

大恐慌まで進展するはずである。特に、見かけの繁栄を享受してきたアメリカ

では急激な景気後退、が起こるだろう。ついでアメリカに大量のものを輸出している

日本、中国、アセアン諸国が打撃をこうむるはずだ。

 これは、今年2001年中に起こるはずである。」

 

 完全に当たったといえる。まあ、昨年はじめには株価が暴落していたので

予想しやすかったともいえるが、アメリカのIT関係の需要減をきっかけに

世界同時不況に陥ってしまった。この状況は、戦後最悪であり、大不況といっても

差し支えないと思う。

 

 以上が、昨年の動向だが、それなりに当てることはできたと思う。

だが、予想があたることは、決して喜ばしいことではない。

 私としては、一刻も早く資本主義の弊害を取り除き、貧乏で不幸な人々が

安心して暮らせる社会がやって来て欲しいと願っている。

 

 では、本題に入ろう。

株式市場

 恐らく、今年が今回の下落局面の底になるだろう。ただ、回復が永続するか

どうかは、政策担当者の考え次第にかかっている。20年代のアメリカ、

90年代の日本のように安易な対応だと回復局面はわずかしか続かない。

 

 時期としては、夏から秋にかけてだろう。現在、日米とも株価は

小康状態にあるが、前半は、経済の悪化に伴って株価は大きく下がる可能性が

高い。しかし、循環的な側面から後半は、回復に向かうだろう。

 だが、安心はできない。アメリカの金融システムががたついてくるのは

この回復局面に入ってからなのだ。

 

金利市場

 こちらは、逆に天井を迎えるだろう。FRBの利下げは、株価の回復と

ともに終焉を迎えるからだ。

 ただ、現在マイナス金利の状態にあるため、今年とはいわないまでも

逆に利上げ観測が出てくる可能性があるだろう。

 これが、アメリカの景気の回復を鈍らせるはずだ。

 

 日本は、もはや無秩序な状態にある。日銀は当座預金の残高を

どんどん増やしているが、この資金は投資需要のない国内には

向かわず、アメリカなど海外に流れている。

 この10年間、ありとあらゆる手段が試みられ、治療が行われたが

結局、景気は回復するどころか悪化する一途だった。

 その結果が、大量の資金供給なのだが、まったく無意味で効果がない。

しかし、逆に金融調節しか方法がないと思われているのも事実であり、

この傾向は、まだ続くだろう。

 

為替市場

 今年は、再び通貨危機が起こる可能性が高まっている。昨年も

この予想で指摘したが、日本政府は円安政策を露骨に推し進めはじめている。

しかし、世界第2位の経済規模を誇る日本が通貨の切り下げ政策を進めることは

非常に問題がある。それは日本のように輸出で成り立っている国々に対する影響だ。

特に中国はアメリカや日本に輸出をすることで成長を図っており、日本の通貨が

きり下がると影響が大きい。万一、元が切り下げられれば、

深刻な事態が予想されるだろう。

 

現在、アメリカ経済は減速しており、貿易のパイが縮小する中で日本の通貨が

切り下げられると激しい奪い合いになってしまうからだ。

 しかも、IMFの基金はそれほど残が多いわけではない。98年のように通貨

危機が連鎖反応で起こると、今度はとめられないだろう。

 

 為替はこの予想をはじめてからまったく当たらないので自信を失いそうだが、

恐らく私の考えているドルの暴落というのは最後に起こるのだろう。

 まだ、不況は最終局面を迎えていないので、円高はすぐにはやってこない

と思われる。ただ、最後は、ドルがメルトダウンするはずで、それは自由貿易を

崩壊させるはずだ。

 

 景気動向

 景気は、今年は回復しない。おそらく今年後半には相当悪化すると思われる。

そういったなかで株価が回復するため、多くのエコノミストは今年の年末には

2003年は景気が回復するだろうと言い始めると思われる。

 だが、金融システムの不安はそういう中で静かに進行しているはずだ。

大恐慌の本格化は、そのときに始まるだろう。

 

以上が、今年の予想だ。恐らく、見かけ上の底は今年になると見ている。

しかし、それは伝統的な金持ち=供給側を救済する形で進むのは

確実なので、一時的だろう。対応を誤れば今年が大底にならず

再来年以降、一段と落ち込むことになるだろう。

 

 21世紀のスタートは、厳しい年だった。この苦境に適切な対応をとり

すばらしい時代を迎えられることを願ってやまない。

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。

できるだけ信頼できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、

完全性を保証するものではありませんし、有価証券、商品市場など

への投資勧誘をおこなう目的のものでもありません。ご了承ねがいます。

 

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