世界経済と幸福論 |
| 今日は、臨時増刊号日銀の追加緩和についてです。
今日、日銀が金融政策会合で、追加の金融緩和を発表した。現在の 当座預金の目標を6兆円以上から10-15兆円に拡大するとしている。
この当座預金10-15兆円という規模は2000年問題の際の緩和額20兆円に 迫るものだ。ついに日銀の金融緩和姿勢に歯止めがかからなくなってきた。
もともと、舛添参議院議員は、この不景気はデフレが原因だ。デフレを止めないと いけないといっていた。そのためにはどんどん金融緩和するればよい。 その結果、お札をすればいいといっていたのでその動きがいよいよ顕在化して きたといえる。
だが、もともとゼロ金利が再開されたときの当座預金の額は5兆円だった。これが 6兆円になり、6兆円以上になって実質8兆円になったのだが、デフレは止まる兆しが どこかにあっただろうか?
おそらく桝添氏は、規模がまだまだ足りないんだと叫ぶと思うが、これだけやっても 兆しすらないのである。いったいどこまでやればいいのだろうか? たしかにデフレは非常に危険な兆候ではあるがすべての原因ではない。
本当の原因は貧富の格差であり、これによって需要と供給のバランスが崩れたことだ。 現在の日本は圧倒的な需要と供給の格差に悩んでいる状況なのだ。 これを埋めるには、以前にも指摘したとおり四つしか方法がない。 すなわち、@消費を増やす。A投資を増やす。B政府支出(財政赤字)を拡大する C輸出を増やす。これだけだ。いままで日本は、Cに重きを置いてきた。
しかし、人件費の格差から中国、台湾勢に押されっぱなしである。 となるとその差は@からBで埋めるしかないが、リストラが横行している現状では 消費の拡大なの望むべくもないし、供給過剰では投資も増えない。 では政府支出を増やしたいが、小泉首相は吉宗同様に倹約、財政再建が 絶対正義と思っているのでこれも不可能だ。
要するに、この需給ギャップは現状ではどうしょうもないのである。 残るは、金融緩和となるが、これは基本的にAの投資を刺激するものだ。 消費が増えない状況下でだれが投資をしようか?こんなこともわからないのである。 にもかかわらず、投資をするようにすればよいとエコノミストや竹中大臣は言っている。 おかしくないだろうか?みなさんに問おう。儲かる見込みがないのに投資をしますか? 私には、とても投資が増えるとは思えないのである。
また、よしんば投資が増えればそれは生産性を刺激してしまう。これは需給ギャップに 逆効果だ。そのために、金融緩和で株価が上がることはとても悪いことなのだ。 これは不必要な投資を生んでしまうからだ。実際99年に高株価政策を実行したら 実需がないのに投資が増えて悲惨な結末になってしまったのをみなさんはよく ご存知のはずだ。だが、実に残念なことだが、おえらい学者先生は何も ご存知ないようだ。
今回の金融緩和で株価は上昇するかもしれないが、それはとても喜べない。 それは、消費の増加による需給ギャップの改善によってもたらされた ものではないからだ。
この需要と供給のギャップを健全な形で埋めなければならないと考える。 それは、貧富の格差を縮小させることにつながり、経済が本質的に安定し 健全な成長を遂げるに絶対必要なことだ。
ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。 できるだけ信頼できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、 完全性を保証するものではありませんし、有価証券、商品市場など への投資勧誘をおこなう目的のものでもありません。ご了承ねがいます。
|