世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

 今週は、前回に引き続き中国の行く末です。 

 

本題に入る前に、二つほど指摘したいことがある。先週の日曜に

また、竹中大臣のテレビ出演を見る機会があった。

なんと彼によると日本の不景気は国際競争力の欠如が原因だそうだ。

要するに国際競争力がないので輸出ができないだから不景気

だといってるのだ。

 

 ほんとうだろうか?そのときの国際競争力を示すボードでは確かに

日本は26位だったがアメリカは一位だった。

だとするとアメリカはものすごい好景気でなければならない。

 しかし、アメリカはいま景気後退のさなかだ。竹中氏の理論はここが

矛盾している。しかし、だれも指摘しない。実に恐ろしいことだ。

 景気の回復に国際競争力は関係ない。国内需要さらに国内競争こそ

が大事なのだ。残念だが、学者が大好きな現在のサプライサイド

エコノミックスを信奉している限り、自体は悪化の一途をたどるだろう。

 

 もうひとつは税制の問題だ。私が、感心するのは小泉首相の恐ろしい

までの需要軽視だ。そして、それは江戸時代の徳川吉宗と同じである

ということだ。これについては次回に詳しくお話する予定だが、小泉首相は

吉宗と同じように、日本をデフレのどん底に追いやるだろう。

 もはや、ゆるぎないようだ。

 

 また、ついに消費税の増税についても議論を行うようだ。だがこれは絶対に

行わないほうがよい。もともと消費税は、おろかな年金制度をなんとか維持

できないかという観点から始まったが、今や、借金返済の目玉だ。

 

所得税を下げて、消費税を引き上げれば、消費はさらに減退してしまい、

貯蓄か投資に回ることになる。

 だが、投資は消費が減退する最中ではほとんど増えないだろう。

貯蓄が増えても、銀行貸し出しはまったく増えない。

 儲かるのは、結局減税された金持ちだけだ。

 

 実に残念なことだ。小泉首相は私から見ると徳川吉宗の再来だ。

このままでは、大恐慌がやってくるのは時間の問題だろう。

実際、年初に警告したとおり、日本の景気は大きく悪化した。

 痛みなどといっているが果たして失業率の増加により高まる

社会不安の増大でそれは許容できようか?

 来年か再来年か?私にはわからないが正念場がやってくること

になるだろう。

 

 ようやく本題に移ろう。

中国の今後だ。物価の高い日本やアメリカ、あるいは欧州にものを輸出する

ことで中国は非常に高い成長を遂げているが、非常に奇妙なことがひとつある

日本の高度成長期と決定的に異なるのがデフレ傾向であることだ。

中国の貿易黒字はおおむね300億ドル程度の黒字だ。すでに対米では

中国が日本を上回っている。

 

  これは中国が供給過剰にあることを示している。ただ、日本の場合と違い

中国が供給過剰なのは物価が高いというよりも、賃金が安すぎて購買力が

乏しいからだ。貪欲な外国資本は、あまりにも安い人件費を求めて中国にせっせと

投資をしているのだ。そして裁定取引でぼろもうけをしている。

 

 この状況を見ると私は90年代前半に起こった東南アジアへの投資ブームを

思い出す。あの時も低賃金を求めて海外投資が行われた。そして東南アジアの

各国は成長を謳歌したのだ。

 

 また、各国は、現在の中国と同じように固定相場制をとっていた。外国資本

にとって為替リスクがないことは儲けるのに非常に都合がよいからだ。

 だが、結果はどうだっただろうか?

 

 最後には、投資の急増で資本財の輸入が急増したため貿易収支が悪化し、

短期借り入れが急増して通貨が固定相場制に耐えられなくなって崩壊してしまった。

 それが通貨危機になってもう少しで世界経済は崩壊しそうになったのだ。

今回もそうなるのだろうか?

 

 可能性は否定しないが、現在中国は貿易収支が黒字だ。起こるすればむしろ逆

だろう。貿易収支が日本の80年代のように広がってアメリカや日本が耐えられなくなり

通貨が切り上げられるか、あるいは投機によってどんどん元高になるか。これが

現実的なシナリオだろう。

 どちらにせよ通貨は大きな上昇圧力を受けることになるだろう。

そして、通貨がきりあがると、中国はたちまち巨大な設備をもてあまして、

激しいデフレに陥るはずだ。これは日本が体験したことそのもののだ。

 

 要するに、輸出偏重経済は、不自然であり、不自然なことは決して永続

させることはできないのだ。中国も最終的には国家負債が雪だるま式に

膨らむ可能性が高いだろう。

 やはりバランスの取れた経済が一番なのだ。だが、そのような認識はまったく

存在しない。すでに経済は悪化の度合いがひどくなる一方だ。

 

  大恐慌で不幸になる方がでないようになんとかしないといけない。

今必要なのは、わけのわからない聖域なき構造改革ではないのだ。

はたして、日本はどこへ向かうのだろうか?

 

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。

できるだけ信頼できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、

完全性を保証するものではありませんし、有価証券、商品市場など

への投資勧誘をおこなう目的のものでもありません。ご了承ねがいます。

 

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