世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

 今週は、中国の行く末です。 

 

 今週と来週の二回にわたって、中国の行く末に考えていきたい。

 中国の行く末を考えることはとても重要なことだ。今、中国はちょっとした

ブームにある。世界が不況にあるなか、健全な成長を維持しているように見える。

これは一体どうしてなのだろうか?私は、自由貿易が背景にあることは見逃せ

ないと考える。

 

 ユニクロが自由貿易を活用して裁定取引を行い大もうけしていることは以前

指摘した。では、裁定取引を継続するとどうなるのだろうか?今回はその点

について指摘し、次回では、中国のブームがどのような結末を迎えるのか

予想してみよう。 

 

 裁定取引は、さや取りである。たとえば、リンゴがあったとしよう。

これが、東京で200円、北海道で100円で売られていたとすれば、輸送コスト

を無視すれば、北海道で買って東京で売れば儲けることができるからだ

 最終的には東京都と北海道の価格が同じになるまでこの取引は儲けることが

できる。

 

 この話を聞いて気づかれたかもしれない。80年代から90年代初めにかけて

議論された内外価格差の問題そのものなのだ。

よく、日本と海外の物価を比べると日本がやたら高いということが指摘され

その結果、日本の物価をもっと下げなければならないといっていた議論だ。

 

 そのためには自由貿易をするべきだという理論が横行していた。

安い商品を輸入すれば、消費者は安くものをかえ、幸せになれると

喧伝していのだ。

 

 ところが実際、貿易を自由化をし、物価がさがって内外価格差が縮小すると、

経済は大不況になってしまったのである。エコノミストはこの件でも知らない

ふりをしている。まったくひどい話だ。

 

 ここからが本題にはいるのだが、なぜ、裁定取引で物価が下がると大不況になって

しまったのだろうか?

 

 それは、この裁定取引のターゲットが賃金だったからだ。中国の物価は確かに

安い。それはコスト分析すると明らかだが、賃金が安いからだ。以前も指摘したが

日本と中国では20倍も賃金が違うのだ。この格差が裁定の対象になっているのだ。

 

 自由貿易・・・どうも人間は自由という言葉が大好きなようだ。自由いえば反対する

ものはいなくなる。だれだって束縛されずに自由に行動したいと思っている。

 だが、みんなが好き勝手に行動したら社会はどうなってしまうだろうか?

それと同じことだ。自由貿易という崇高な言葉の実態は賃金を対象にした裁定取引だ。

 

賃金は、需要の源なのだ。自由貿易で物価は下がったかもしれないが、賃金がそれ

以上に減ってしまったので結局、景気はよくならかったのだ。

実質賃金統計を見ると、日本の実質賃金はまったくあがっていない。だから減ってしまった

というと語弊があるように思われてしまうかもしれない。

 

 しかし、その間にも生産性はあがっていたのだ。労働者はリストラの恐怖に耐えながら

必死に働いてがんばっているのに、本来賃金とし払われる部分は株主利益などとのた

まうエコノミストアナリストたちによって金持ちに還元されていった。そのために実質的な

いみであるが賃金が減っているといっている。あいにく最新統計を持っていない

ので断言ができないが昨今の状況を考えると賃金は減っているだろう。

 

 この傾向は日本と中国の賃金格差が同一になるまで続くだろう。

それが裁定取引だからだ。しかし、そうなるまえに企業がさらなる低賃金を求める

可能性が高い。いつまでも続けられるとは思えないが?

 

 話を戻そう。では、仮に格差が同一になったらどうなるのだろうか?

日本からみると、賃金水準が大幅にさがって生活レベルが低下するか、

貯蓄の取り崩しか借金で生活水準をかろうじて維持するかのどちらかだ。

 実際、アメリカがそうだ。アメリカの賃金水準はここ三十年ずっと下がっている。

それと歩調をあわせるように貯蓄率は下がり続けいているのだ。

 ようするに、自由貿易によって自国消費は抑制されてしまっているのだ。

企業は貿易による際限ないデフレにさいなまれてしまっている。

 

 これが今の日本の現況そのものでもある。儲かっているのは裁定取引で

さやを取っている企業そしてその株を持っている金持ちだけだ。

 これでも内外価格差を是正する必要があるのだろうか?

 

 だいたい、私が知る限り人類史において世界中で物価が均一化されたこと

など一度もないのだ。いまままでないのに、なぜ同一にしなければならないのだろうか?

私にはさっぱりわからない。

 エコノミストやマスコミ、政治家はどうもまったく学問追及をやっていないようだ。

これでは日本の行く末は暗いといわざるを得ないだろう。

 自由貿易は即刻廃止すべきだ。これしかデフレを止めるすべはない。

 

 では中国はどうなのだろうか?それについては次回話をすすめていこう。

中国のこのブームはどういう結末をむかえるのだろうか?

 

 

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。

できるだけ信頼できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、

完全性を保証するものではありませんし、有価証券、商品市場など

への投資勧誘をおこなう目的のものでもありません。ご了承ねがいます。

 

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