世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

    

 

 

 

 

景気回復の方策Bです。

 

 景気回復の方策をこれまで述べてきた。今回は、この不景気の原因を

もういちど順序だててお話しようと思う。こうすればなぜ、家の広さを広げ

自由貿易を制限するべきと主張しているのかわかるだろう。

 

結局、日本の不景気の原因は、需要が足りなことに尽きる。

それは、家の狭さと、賃金の伸びの鈍化である。

確かに、日本の生活水準は驚くべきペースで向上したが、家の大きさは変わら

なかった。これは、土地が投機の対象だったからだ、戦後、地価は

昭和49年の1年だけ下がり、あとは1990年に土地バブルがはじけるまで

ずっと上がっていた。このため広い家を建てようにも地価のが高すぎたのだ。

そのため、高度成長期に家にものが充満すると、需要の拡大ペースが鈍って

しまったのだ。

 

 こうなった1970年代初め、日本は当時起こった石油ショックとあいまって

輸出至上主義に陥った。その結果、国際競争が激しくなると、経営者は

賃上げを渋るようになった。貿易黒字の拡大で円レートが大幅に切りあがって

円高になってしまったからだ。プラザ合意が実施されるまで1ドル200円前後だった。

それが、120円まで急上昇したのだ。

 

 円高が進行すると、受け取るドルの金額でも円の手取額が減ってしまう。

これは売上の減少につながる。この円高の進行は生産性の上昇ペースを

はるかに上回っていたので、賃金が抑制されたのだ。

 まだ、先進国間で国際競争をしているときはよかった。

 

 90年代に入り、冷戦が終結すると、中国などの発展途上国が低賃金を武器に

工場の誘致をするようになった。

 こうなると、賃金水準が違いすぎるので、通常の加工品では全く立ち行かなくなった。

付加価値の低い商品からどんどん工場が移転するようになったのだ。

 製造業は賃金水準が高いため、製造業に従事する人口が減少すると、これも

賃金の抑制に働くようになったのだ。

 

 こうして、賃金の抑制が本格化した70年代後半以降、80年代、90年代とGDP

の成長率は一貫して低下していった。GDPは財とサービスの生産額だ。生産性が

高まって生産量が増えているのに、GDPがマイナスになったりするのは、価格が

下がる、つまりデフレーションに陥っているからだ。

 

 このデフレーションは、生産性と、賃金のギャップによるものだが、その原因は、

結局家の狭さに突き当たってしまう。しかも、家の狭さは土地投機によるものだった。

つまり、金持ちがもっと儲けたいという衝動に駆られて、投機を行うと健全な消費に

多大な影響がでてしまうのだ。

 

 ここが、バブルを未然に制御しなければならない理由がある。アメリカで1990年代に

発生した未曾有の株バブルも、今後、実体経済に信じられないほど大きな影響を

与えることになる。近い将来、アメリカの個人消費は大きく落ち込むことになるだろう。

 

 結局、改革とは、投機が起こらないような社会をめざさなければならない。

貧富の格差が広がることこそが、バブルそして不景気の原因なのだ。自分だけが

もっと儲けたい。そんな衝動が、問題なのだ。資本主義は、貧富の極端な格差しか

うまない。人間は確かに違うが、同じ人間でもあるのだ。格差が無限大ということ

などありえないのだ。

 

 以上のことを考えると、いま日本政府が行っていることは、まったく効果がないことが

分かるだろう。インフレターゲットを持ち込んでも、需給ギャップが解消されないので

ちっともインフレにならない。お札をどんどん刷っても、消費が停滞しているので、

投資は起こらないのだ。

 

 結局、エコノミストはかしこぶっているだけだ。本当のことは全く分かっていないのだ。

おそらく、自分の顧客あるいは、外部受けだけを気にして、巷にあふれる失業者や

貧乏な人々のことなど全く考えていない。 そこには、慈悲の心などない。

 どちらにせよ。対策は早く行われなければならない。災厄はもう目の前なのだ。

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。

できるだけ信頼できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、

完全性を保証するものではありませんし、有価証券、商品市場など

への投資勧誘をおこなう目的のものでもありません。ご了承ねがいます。

 

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