世界経済と幸福論

 

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人間の幸福について

(現在は、よもやま話に統合)

第一回 世界観について                

                                        

    

 

 

 

 

サプライサイド経済学について考えます。

 

 今週は、サプライサイド経済学について考えたい。

前回、小泉政権が目指している方策がサプライサイド経済学であると

述べた。では、サプライサイド経済学とはなんだろうか?

私は、竹中大臣の種々の発言を聞いて、私は、亡霊がよみがえった

思った。

 

 1980年代の初め、アメリカでレーガンが大統領になったとき、

行われた政策がサプライサイド経済学である

 この経済学は、ケインズ政策が行き詰まった70年代に現れたものだ。

考え方自体は、古典派と呼ばれた古い考えを復活させたのだ。

 

 内容は至極単純で需要は、供給が増えれば自動的に増えるというものだ。

そのため、供給の制約となっている規制を解除し、金持ちに対して減税を

行えば、投資が増えて経済は順調に右肩上がりの成長を遂げるというのだ。

 その結果、税収は増え財政赤字は消え去るというものだった。

 

 実際、80年にレーガンがこれらの政策を行うとアメリカ経済は、急激に

伸びた。減税によって貧富の差が急激に拡大、金が有り余った金持ちは

証券投資を積極化させ株価が暴騰した。そして、GNPは増えた。

 しかし、財政赤字はいっこうに減らなかった。はっきり言ってサプライサイドは

この時点で失敗だったのである。

 

 だが、90年代の好景気、財政黒字も、レーガンのサプライサイド経済学のおかげ

であるという幻想が生まれた。

 これは、ブラックマンデーと90年の景気後退が忘れ去られた、あるいは無視

された結果だと言える。経済学者はなぜこんな大事なことを無視するのだろうか?。

 

 株価の暴騰は、確かに一時的な錯覚を伴う好景気を現出させたが、

その末路は、ブラックマンデーという市場の崩壊と、景気の後退を

もたらした。その回復は、サプライサイドではなくジャパンマネーを中心とする

東アジアの資金によるものだった。低金利で運用先を失ったジャパンマネーが

大量に流入したおかげでアメリカ経済は回復したのだ。それは80年代の株式

投機で増えすぎた供給を補う需要を発生させたためだ。(ここで忘れては

ならないことは、アメリカの土地の広さである)

 

そして、再び、供給過剰は起こった。サプライサイドの規制緩和は、バブルによる

需要の錯覚で、投資が過剰になり、泡がはじけると需要が急減して、

大幅な供給過剰を誘発してしまうのである。

 その末路は悲惨だ。1929年に大恐慌が起こるまで供給過剰による不景気は

頻発していた。デフレの影響はすさまじいものだった。

 以前にもふれたのだが、かのアル・カポネまで浮浪者に慈善事業を行った

ほどなのである。

 

 そこで、小泉政権の政策となるのだが、どうも、不良債権を処理し、規制緩和

をすれば、投資が増えるので経済がよくなると思っているようだ

 アメリカの最新経済学を信奉するのは結構なことだが、そのために日本が

沈没してはたまらない。アメリカの経済学は基本的に金持ちをもっと豊かに

するための学問であり、日本に適用するのは間違っている。

 

 確かに、サプライサイド経済学は、一時的にバブルを発生させ景気が回復

するかもしれないが、それは大恐慌への道である。

 日本に必要なのは健全な個人消費である。家を広くし、給料の増やせば

需要の不足は解消されるはずだ。

 

 だが、現時点ではそれは絶望的なようだ。このままでは、サプライサイド経済学

の適用で、大きなデフレになってしまうだろう。その対策として財政政策が

採られれば、今度はインフレになってしまう。

 

 これは、私の心配しすぎだろうか?そうであればいいのだが・・・

 

 

 

 

ここに記されている世界経済への見方は私個人の見解です。

できるだけ信頼できる情報をもとに書いていますがデータの信頼性、

完全性を保証するものではありませんし、有価証券、商品市場など

への投資勧誘をおこなう目的のものでもありません。ご了承ねがいます。

 

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