妹の真実

その11

・・・もう何回亜美の肛門に出し入れしただろう。

僕がモノを挿入するたび、引き抜くたびに、亜美はだんだんとウットリしていき、
もはや口から出る声は、快感のそれしか感じられない。

もはや完全に僕のモノを受け入れ、僕の動きにあわせて甘い声を出す。
まるで、ぬるま湯に浸かっている赤ん坊のように、無邪気な笑みを浮かべ、
快感に身をまかせている亜美。

そんな亜美の表情がたまらなく嬉しかった。いつまでも見ていたかった。
しかし、さすがに僕は限界を迎えたようだ。
ゆっくりと、身体の中から、僕の射精口に向かって何かがこみ上げてくるのを感じる。

(そろそろか・・・)

不思議だった。いつもなら自分で射精をコントロールする事なんて出来ないのに、
まるで、自分で調整してるかのように感じられる・・・。

僕は、ゆっくりと目をつぶり、そのまま亜美の中で果てようとした。
しかし、その時、亜美が僕の方を見つめているのに気づく。

「お兄ちゃん・・・気持ち・・・いい・・・」

「亜美・・・」

「まるで・・・天国にいるみたい・・・」

泣いている。亜美が、また、泣いている。
だけど、今度の涙は違う。今度のは、うれし涙・・・。

大粒の涙を、目から次々とこぼしながら、僕に微笑む亜美の表情が、
なんてまぶしく見えるのだろう。

その愛おしさに、思わず亜美のすぐ目の前まで顔を近づけてしまう。
亜美の目が、僕のすぐ目の前にある。
僕が亜美の目をじっと見つめていると、亜美もまた、僕の目をじっと見つめる。

見つめ合ったまま、しばらく時間が流れる。
実際は、ほんの数秒に過ぎないが。とてつもない長い時間のように感じられる。

亜美がゆっくりと目を閉じる・・・。僕は、無意識のうちに
亜美の唇と自分の唇を、重ね合わせていた・・・。

そして・・・、そのまま二人の舌を絡ませながら、
僕は、亜美の中に熱いたぎりを放出した・・・。

幸せだった・・・

単なる快楽じゃない・・・

亜美と一つになり、亜美の中に、僕の魂のこもった液体を、
亜美の身体の中に刻むことができる・・・その喜びを、僕はずっと噛みしめていた。

その後に訪れる、自分のしてしまった事の重大さという背徳を、
今は考えたくはなかった・・・。

僕の射精は、およそ1分間続いていた。
長い射精の快楽に、思わず気を失いそうになったが、
僕は必死でこらえ、最後までこの快楽を味っていた。
この快楽は、二度と味わえないものと分かっていたから・・・。

その堪えからか、呼吸が乱れ、息苦しくなる。
亜美と唇を離し、僕はあわてて何度も空気を吸い込んだ。

何とか呼吸を整え、とりあえず深呼吸をすると、急激に小さくしぼんでいたモノに気づき、
亜美の肛門から引き抜く。今なお亜美のアソコから溢れている愛液が
肛門から流れ出る僕の精子と混じり、尻の下の便器に山盛りになっている下痢便に垂れる。

既に下痢便からは湯気は出なくなっていた。
それが、僕に時間の経過を、
そして、熱くなった自分の気持ちが冷めていくのを、教えてくれる。

もう僕の中には、亜美に対するいやらしい気持ちはなくなっていた。
それよりも、徐々にわき起こる罪悪感が怖い気持ちでいっぱいだった。

今までよりも、はるかに冷静な目で亜美を見れる、
半裸で、肛門から僕の精子を垂れ流しながら、僕を見つめたまま微笑む亜美。

とても綺麗だった。醜くも嫌らしくもない、ただ至福の表情で
すべてのストレスから解放された今の亜美は、僕には、天使のように見えていた。

すっかり冷めた僕にひきかえ、なおもウットリした表情のままの亜美を抱え、
僕は風呂へ向かった。便器に残っている下痢便は、何のためらいもなく流した。

もう、何も未練はなかった。シャワーで亜美の体を洗いながら、
これは、亜美にこびりついた僕の醜い欲望も、流しているのだと思っていた。
今は亜美の体中、すべてが丸見えだ。それでも、何とも感じない。
亜美の肛門を綺麗にするため、シャワーをかけながら指を入れても、
そのために亜美のアソコが視界に入ってしまっても、もう興奮はしない。

亜美の方は、まだ余韻が残っているのか、僕の手に身を任せながら、
静かに呼吸をしているだけだ。
時々、何かを呟いているが、それは声にはなっていなかった。

「さ、一緒にお風呂につかろう」

僕の声に頷くが、体がふらつき、自分で立ち上がれない亜美を立たせ、
一緒に湯船につかる。体を洗っている間に温めておいたので、いい湯加減だ。
亜美も、ようやく落ち着いたようで、大きく息をついた。

「大丈夫かい、亜美?」
「うん・・・。でも、まだ体中が痺れてるみたい」

さすがに気恥ずかしく、僕は当たり障りのない話しかできなかった。
だが、亜美の方から話を進められると、答えざるを得なかった。

「なんか、スゴイ事してたような気がするけど、とっても気持ち良かったよ、お兄ちゃん」
「そ、そうかい・・・良かったね。スッキリしたかい」
「うん、なんかこう・・・もう全部忘れて、フワフワ空に浮かんでるような感じ」

以外にも、屈託なく元気に話す亜美に、
不安な気持ちを慰められるような、亜美が気づいたときのことを考えると怖いような、
僕は複雑だった。

「でも、ちょっと酷いよ、お兄ちゃん・・・」

急に表情が曇った亜美の、聞きたくなかったセリフに、覚悟していたとはいえ、
僕はどうして良いのか分からず、ただうつむいて黙っているだけだった。

「・・・だって、あんな狭いところで暴れるんだもん。ほら、ここ、瘤になっちゃった」

そう言って亜美は自分の頭をさする仕草をする。
僕も触ってみると、見た目には分からなかったが、確かに瘤が出来ていた。
「酷い」が、亜美を犯したことに対するものでなくて、僕は思わず上を見上げ、
ホッとして、大きなため息をついた。

「ハァーじゃないよ、お兄ちゃん。今さっき、気づいたの。そしたら急に痛くなって」
「ご、ごめんよ亜美、気がつかなくって・・・」
「どうせなら、トイレを出てからしてくれてもいいのに」

まったく僕に犯されたとは思っていない亜美に、
僕も思わず亜美のペースに乗って口が滑らかになっている。

「ほら、だって、亜美がいけないんだよ。亜美がトイレなんかで泣きそうになるから、僕はすぐにスッキリさせてあげようと一生懸命だったんだ」
「え、あ、アタシ・・・ゴメンなさい、お兄ちゃん・・・」

気持ちがあまりにもスッキリしたので、そのことをすっかり忘れていたと、
頭を下げる亜美。でも、僕は亜美がいつもの亜美に戻ったと感じて嬉しかった。

「いいんだよ、亜美。僕がもうちょっとしっかりしてれば良かったんだ」

亜美が元通りになってくれて、こんなに嬉しいことがあろうか。
酷いなんて言われても、ちっとも気にならない。
そう亜美に言うと、亜美は顔を上げ、ニッコリと微笑んだ。

それから、しばらく湯船につかってゆっくりとしていると、
亜美が大きなアクビをした。つられて僕もアクビをする。

ふと気がつけば、かなりの体の疲れを感じる。
亜美もそうなのだろう。今朝起きたばかりなのに、もう一眠りしたくなる。
うっかり眠りそうになる亜美を、眠らないように声をかけつつ、湯船から出て、着替えさせる。
まだ、亜美は自分で体をうまく動かせないようだ。
僕が亜美の体を拭き、パジャマを着せてあげ、亜美の部屋に送っていった。

亜美をベッドに寝かせ、毛布を掛けてあげる。妙に嬉しそうな亜美の表情が気になった。

「どうしたの、亜美?嬉しそうだね」
「うん、何か久しぶりで嬉しいの」

話を聞けば、どうやら亜美は僕に色々と甘えさせてもらったのが嬉しいらしい。
思えば、亜美と一緒にトイレに入っただけでなく、
お風呂に入ったのもそうだ。一緒に湯船につかったのなんて、何年ぶりだろう。
僕は、特に嬉しいとは思わなかったけど・・・。(それどころじゃない)

「ねえ、お兄ちゃん、一緒に寝ようよ」
「おいおい・・・」

突然の、嬉しそうな亜美の問いかけに、僕はちょっと呆気にとられる。
ここまで脳天気だなんて・・・。ちょっと悩んでいる自分がバカみたいに思えてきた。

「ほら、昔お兄ちゃんと二人で留守番しているとき、一緒に寝てくれたよね」

僕も亜美も小学生の頃、両親が出かけ、二人で一夜を過ごさなければならない日があった。
運悪く、大雨で雷もしばしば落ちるひどい夜で、
怖がって泣きじゃくる亜美を、僕は風呂、トイレ、布団の中まで一緒に入ってあげることで
亜美を慰めていた。常に僕の手をしっかり握りしめて離さない亜美に、
僕は、妙に嬉しい気持ちになっていたものだ。

なんだかんだ言っても、亜美は今まで、精一杯僕に甘えないように頑張っていたのだろう。
だから、その反動でこうして甘えたがっているのかもしれない。

「分かったよ、亜美。さ、疲れただろう。一緒に寝ようか」

いやらしいことをする訳じゃない。これぐらいは何も考えずに甘えさせても大丈夫だろう。
僕は気楽に亜美のベッドに入り、二人で横になった。

「ずっと・・・、お兄ちゃんに甘えていられたらいいのにね」
「・・・僕も、ずっと亜美を甘えさせてあげたいよ。でも・・・」
「大丈夫、分かってるから。これが最後だよ・・・お兄ちゃんに甘えるのは・・・」

そうやって話しているうちに、亜美はゆっくりと眠りに入っていった。
今は、僕のすぐ横で、小さな寝息を立てている。
ほおづえを突きながら、その寝顔を見つめていると、僕も何もかも忘れて、心地よい気分になる。

「ホントに甘えているのは、僕の方だよ・・・亜美」

亜美のおかげで、過ちに対する罪悪感も、まるで無い物のように感じられる。
ひょっとしたら亜美は気づいてるのかもしれない。僕の犯した罪を・・・。
それでも、亜美は僕になつき、甘えたがる。

感謝と、謝罪の気持ちで思わず目に涙が溢れてくる。
今日は、亜美の好意を無にしないためにも、将来を悲しむのはよそう。
ほおづえを止め、横になる。そのまま、僕も眠りにつくことにした・・・。

 

亜美・高校3年生

結局、あの日のことが功を奏したのか、亜美も、再びもとの亜美らしくなり、
勉強もはかどったようで、無事に試験も乗り切り、第1志望の高校に入学できた。

そんな亜美とは逆に、あの日から疑心暗鬼にとりつかれていた僕も、
まったく変わりのない亜美とすごしているうちに、
少しずつ、それを忘れていた。

高校生になったからであろうか、亜美もだんだんまともになってきて、
トイレでの残り香も少なくなり、肛門もちゃんと拭いているのか、
下着の汚れも減った。

何より、下着を、風呂場のカゴの一番上に置くような
いい加減な無防備さが無くなっていった。

不思議なものだ。すっかり落ち着きが出来てしまって。
ずっと亜美を見てきた僕には、奇妙な感じだった。

そうして、何事もなく3年が過ぎ、僕は既に高校を卒業し、専門学生に、
亜美も高校3年生になっていた。

「ただいま。あれ、母さん達は?」
「うん、親戚の法事で、明日もあるから今日は泊まっていくって」

僕が家に帰ると、亜美が台所でデパートの袋を開けていた。
二人きりということに、僕は特に気にもしなかった。
亜美はもう普通の女子高生だ。変な関係などあり得ない。

「だから、今日はアタシが夕食作るの。カレーでいいよね」
「・・・カレーしか作れないだろ。いいよ」

他愛もない軽口を叩きながら、静かに時間は経過する。
野菜や肉を並べると、亜美は椅子に腰を下ろした。そして、急にモジモジしだした。

どうしたのかな?と思った僕が声をかけると、亜美はなにやら話しづらそうにし、
ちょっと口ごもった後、喋りだした。

「ねえ、お兄ちゃん・・・アタシ、○○君に告白されちゃったの」

照れながら話す亜美に、大げさに驚きはしなかった。
しかし、心が激しく動揺しているのは、自分でも分かる。
告白といえば、男のはず、彼氏が出来たということだろうか・・・。

「誰から?で、どう答えたの?」

聞けば、確かに同級生の男子から好きだと告白されたようだ。
しかし、返事はしていないらしい。悩んでいるようだ。
それは、そうだろう。男友達すらいなかった亜美では、好きといわれても戸惑うだけだ。

亜美の話では、告白したのは、明るく真面目な男子らしい。というのが幸いか。
僕は、亜美がいきなり彼氏ができるのを戸惑ってるのだと思っていたが、
実は、そうではなかった。

「ねえ、お兄ちゃん・・・おつき合いをしたら、いつか結婚しなくちゃいけないんだよね?」

いきなり話が飛躍しすぎている。
まあ、純情な亜美では、そうなるのも分からなくはないが。

「結婚したら・・・エッチなこと・・・セックスをしなくちゃいけないんでししょ?」

思いがけない亜美の言葉に驚いた僕は、まともな声が出せない。
話の飛びすぎはともかく、亜美がセックスを知っていた。そのことに驚いた。
そして、3年前の思い出がよみがえってくる。
しかし、その思い出は、今の僕にとっては思い出したくなかった。

セックスを知った亜美は、あの事をどう思ってるのか?
あれが許されない行為ということには気づいているのか?それとも・・・。

「なんか・・・考えたくないの。他の人とセックスするなんて」

亜美は、僕との行為をちゃんと覚えていた。
しかし、それが嫌なものだとは思っていないようだ。
亜美に非難されることは無く、ひとまずホッとする僕だったが、
亜美は、やはり近親相姦がいけないことであることは分かっていた。

「セックスって、兄妹でしちゃいけないんでしょ?」

不安そうな目で僕を見つめ、そう問いかける亜美に、僕の罪悪感は頂点に達し、
もはや、黙っていることができなくなった。早く亜美に謝りたい、許してもらえなくても。

「しちゃいけないんだ・・・ゴメン。僕は、取り返しのつかないことをしてしまったんだ・・・」

亜美からは返事がない。
当然だろう、そのショックの大きさは、僕に理解できるレベルじゃない。
だからこそ、せめてもの救い、亜美がまだ処女だということを教えたい。

「だけど、亜美、これだけは言っておきたい。亜美はまだ・・・」

僕がそう話そうとしたときに、亜美が口を開き、僕の言葉を遮った。

「大丈夫、分かってるから。お兄ちゃんはアタシのためにしてくれたことだし、お兄ちゃん、ちゃんとアタシの処女は守ってくれたから」
「亜美・・・」

亜美は、僕が言わずとも分かっていた。おかしくなっていたとはいえ、
アレが僕にできる精一杯のやり方だったこと、そして処女だけは守ったことを。

「ああ・・・だから、亜美にはダメージは無い・・・ことはないか」

いくらアナルセックスで失うものはないといっても、
結果的にレイプであることには変わりはない。
亜美は、僕のことを思って気にしないフリをしているのかもしれない。

「ゴメン・・・僕はおかしかったんだ・・・。いや、おかしいんだ」
「そんな事はないよ。お兄ちゃんだけじゃない、アタシもおかしかったんだもん」

亜美もおかしい・・・、どういう事なんだろう。
黙ってしまった僕の疑問に答えるように、亜美はしゃべり続ける。

「アタシ・・・あの頃、トイレの水を流さないことがあったよね。お兄ちゃん。・・・あれ、実は、わざとだったの」

亜美の意外な告白。それだけでも驚きだが、それは、まだ続いた。

小さい頃、亜美は一人ではトイレに行けなかったのは、怖かったからだと思っていた。
だけど、それは少し違うらしい。

亜美にとって、トイレに一緒に入ってもらうことは、甘えるという行為の延長らしい。
安心できる人の前で、お尻を晒し、ウンコまでも晒してしまうのが、
どうして。と思うのだが、それが亜美には心地よいらしい。

「トイレって一人で行かなくちゃいけないでしょ。そうすると、急に独りぼっちになったような気がして、怖くなるの・・・」

たしかに、女性は常に狭い個室で用を足す。
一応は閉鎖空間であるし、考えようによっては、怖い感じがするかもしれない。

「ちっちゃい頃、お母さんに、もうお兄ちゃんと一緒に入っちゃいけないって叱られたとき、とっても辛かったの」

その頃から、亜美はずっと我慢していたという、僕にトイレについてきてもらうのを。
ということは、亜美は小学生の頃から、いつも怖い思いをしながらトイレに入っていたことになる。

案外、そのせいで、毎朝、僕がすぐ後に入るのを嫌がらなかったのかもしれない。
少しでも早く僕に会うことによって、不安から逃れることができたのだろう。

「小さい時みたいにね、お兄ちゃんに色々してほしかったの。後ろでアタシを見ていてもらったり、お尻を拭いてもらったり、ウンチを流してもらったり・・・」

受験で、気持ちがより不安定になった頃に、流し忘れを考えたのだろう。
そうやって、少しでも一緒にトイレに入っている雰囲気を感じていたのだろうか。

「でも・・・でも・・・アタシ・・・不思議なの・・・。それだけじゃなくて、お兄ちゃんにウンチを見られたり、ウンチの臭いを嗅いでほしかったの・・・」

亜美の恥ずかしい告白。恥ずかしさのあまり涙目になっている亜美に、
僕は、なんとか慰めようとする。
そんなのちっとも不思議じゃない。その方が、より僕と一緒にトイレに入っている気持ちになれる、
僕に少しでも近づいてほしかったから、そうしたんじゃないの、と。

「トイレから出て・・・お兄ちゃんにウンチを見られてると思うと、・・・アソコがおかしくなってくるの。ネバネバしてきて・・・気持ちよくなって・・・」

亜美は、そのネバネバの意味が、やっと分かったという。
自分は、僕にウンチを見られて気持ちよくなっていた。興奮していたのだと。

昔、僕がトイレの水を流せなくしたとき、
亜美はあっさりと僕がトイレに入るのを許し、出かけていった。
その時、玄関を出たときから、アソコが熱くなっていたという。
僕が、亜美の残したウンチを見ているところを想像してると、ボーっとして、
バスの中で、何も分からずアソコをパンツの上からさすっていたという。

「アタシ・・・変態なんだ・・・お兄ちゃんにウンチを見られてエッチになっちゃった変態なんだ・・・」

すべてを今になって気づき、自虐の念に駆られる亜美。
しかし、亜美が変態なら、僕も変態だ。それでオナニーをしていたのだから。
亜美も、今は僕にウンチを見せなくても平気になった。
だから、今、変態なのは僕だけなんだ。

「亜美は変態じゃないよ・・・。だって、もう僕にウンチを見せなくても平気なんだろう」
「・・・う、うん。でも、まだたまに・・・見てほしくなる・・・」
「十分だよ。昔に比べれば、十分我慢できてるじゃないか」

僕にそう諭され、少し安心した表情を見せる亜美。
さらに、僕はちっとも構わない、我慢できなくなったら
いつでも一緒にトイレに入ってあげるよと話すと。
亜美は、僕が気を使ってるのかと思ってるのか、
ちょっと考えながらも、納得してうなずいてくれた。

いつか、他の男の人を普通に好きになる。自分の行為をいけないことと分かれば、
いずれは、行為に対する欲求も治まる。それが人間なんだ。

「ありがとう、お兄ちゃん・・・。でも、アタシ、絶対お兄ちゃん以外の人に、甘えたい、ウンチを見てほしいなんて思わない。だって、アタシが一番安心できるのは、アタシが、本当のアタシになれるのは、お兄ちゃんだけだから」

なんて嬉しい亜美の言葉だろう。僕には、たとえ亜美がどう成長しても
この言葉だけは、変わらないと信じたかった。

亜美の本当の姿、気持ち。亜美の真実を知ることができるのは僕だけなんだと。

「今日は母さん達もいない。トイレに一緒に入ってあげるよ。お風呂にも、ベッドにも一緒にいてあげる。だけど・・・」
「うん、分かってる。甘えるのは今日が最後にするね。だから、今日は思いっきり甘えちゃうよ、お兄ちゃん」

相変わらず勘のいい亜美は、そう言いながら涙を拭い、僕に満面の笑みを見せる。
そうして、晩ご飯の支度を再会した。

支度をしている亜美の、ずいぶんと背が高くなった後ろ姿を眺めながら、
僕は物思いに耽っていた。

このままの亜美でいてほしい。純粋でまっすぐな亜美。
そして、この亜美をずっと守ってあげたい・・・。

普通の人間をしなくちゃいけない亜美が、
真実の亜美をさらけだせる唯一のはけ口にならなければいけない。
亜美が、いつまでも安心できるように・・・。

どうせなら、ずっとこのままでいられればいいのに。
いっそのこと、亜美と結婚できたら・・・ずっと一緒にいてあげられるのに・・・。

今は叶わないかもしれない。でも、生まれ変わった時は、
ずっと亜美と一緒にいられる立場で生まれたい。
いつまでも亜美と一緒にいられたら・・・。

僕がそう思ってるとき、ふと、亜美が僕の方を振り向き、微笑んだ。
それだけで、また前に振り返り、再び調理を始める。

(何だったんだ・・・。今の笑顔は・・・)

この疑問を、解決できる答えは、浮かばなかった。
だけど、勘のいい亜美のことだ、ひょっとしたら、僕の思いを亜美が感じ取り、
その答えとして、微笑んでくれたのだろうか?

そう受け取ることにしよう。
いつかきっと、二人が堂々と一緒になれることを夢見ながら、
僕は、亜美の背中を、じっと見つめていた・・・。

(完)