このゲームの大きな特徴として、「一つ一つの話が短い」という点が挙げられます。それまでの「弟切草」「かまいたちの夜」と違って、一回のプレイが非常に早く終わるのです。それゆえ正直言って最初のプレイの時は唖然としたのを憶えています。前述の二作が長編メインだったため、その驚きは大きかったのです。しかし、今にして思えばサウンドノベルの一つの可能性・広がりを指し示していたように見える……というのは褒めすぎでしょうか。
ですが、今作でのこの試みの(もしくはこのゲーム自体の)最大の欠点は「シナリオ数が少ない」ことに尽きるのではないでしょうか。短い話を扱うという発想まではよかったものの、話の種類が少なく、それほど長くは楽しめない。数が同じならば、どうしても長いシナリオのゲームの方が中身が濃いと感じる……それが正直なところではないでしょうか。
ちょっと辛口になってしまいましたが、すべてやり尽くしたというのが「キーワード」という形ではっきり分かるというのは良いですね。その最後のキーワードまで到達できれば、やりきった満足感は得られるのではないかと。