御存知の方も多いでしょうが、俗に「サウンドノベル」と呼ばれるジャンルの第一号ソフトがこの弟切草です。
当時、いわゆるアドベンチャーゲームというものが非常に下火になっており、FC時代よりも進歩したゲーム機(SFC)の性能を生かしたアドベンチャーを味わいたいと思っていた人々にとっては寂しい時代でした。そこに現れたのがこの「弟切草」だったというわけです。
僕自身は「かまいたちの夜」の後にやったんですが、ストレートなホラーものであるだけに、さすがというべき怖さです。特にミイラの登場シーンなどは何度プレイしても慣れることができません。
話のバリエーションもなかなか豊富で、シリアスなものからコミカルな雰囲気のものまで様々です。それによっていろいろな役割を演じてくれる登場人物(?)たちも、「個性的」という言葉だけで表現するには余りにもインパクトの強い面々。見ているだけで楽しい……とはとても言えません。怖いですから。いきなり視界に入ってこられると心臓が止まりそうになります……。
このゲームの個性を強く表している点として、主人公とヒロイン(奈美)の間で頻繁に交わされるトボけた会話やギャグの応酬があり、独特の味が感じられます(このあたりは同じ長坂秀佳氏の監修である『街』にも窺えます)。そのため怖い中でもなにか妙に和んでしまうことがままあるのです。その点の評価は人によって様々でしょう。
99年にはPSでのリメイク版が発売され、新たに「奈美の視点へのザッピング」というおまけも加わるなど大きくパワーアップしています。「温故知新」という言葉もありますし、SFC版をやったことがある方もない方も一度試してみてはいかがでしょうか?