ペースメーカー最近の話題

SATO SURGICAL CLINIC

防犯装置、セキュリテイ装置によるペースメーカー抑制
空港のハイジャック防止のための金属探知ゲート、個別チェック用携帯用金属探知器によりペースメーカーが一時的に作動しなくなる。ことが報告されています。どの機種が具合が悪くなり易いかははっきりしていません。ゲートから発せられる電磁波の強度は国によっても異なり警戒心の強い国ほど強力な電波が出る傾向があるようです。ペースメーカ手帳等を見せてゲートを通らなくて済むように交渉されることを勧めます。
量販店、スーパーマーケット等の万引き防止装置によるペースメーカーの誤作動。万引き防止装置は商品に磁気に反応するタッグを付けて、それを持ってゲートを通ると警報がなる仕組みになっています。このゲートを通る時にペースメーカーが誤作動することが報告されています。出来るだけ離れて通る事をメーカーは勧めているようですが、ゲートが建物の内装に隠されて作られているような場合は避けようがなく危険な場合があります。ただ幸いな事に今までの報告では異常は一過性で回復しているのでそれほど心配しなくても良いのではないかと言う意見もあります。どの程度の障害が起こるかもう少し検討する必要があるようです。
ハイテク装置の開発は毎日毎日行われています。ペースメーカ−に頼らざるを得ない人々も増えています。ハイテク技術が他の装置に与える影響を前もって評価して応用される事が望まれます。

ペースメーカーの2000年問題
コンピューターの年度のメモリーが4桁ではなく2桁で記憶されていたことによって2000年1月1日にコンピューターが暴走すると言うコンピューターの2000年問題(Y2K)が植込み式ペースメーカーに波及すると言う『ペースメーカーの2000年問題』は、永らく調査中でしたが最近下記の発表が行われ何とか安全である事が判明しました。内容の要旨は、ペースメーカー本体には年度を記憶する機能はなくたとえ植込み年度がメモリーに記入されていてもそれを元に演算する機能は本体に内蔵されておらず、データの処理は専ら体外機器であるプログラマーに任せられている。そのためプログラマーのソフトウェアの改善が必要であるが、新製品の開発のたびにソフトウェアの改訂が行われており問題はないと考えられている。ペースメーカー患者をフォローアップしているペースメーカークリニックの患者登録用のコンピュータ機器の2000年対策のチェックの必要性が残されている。しかし2000年に患者さんに植込まれているペースメーカーが暴走すると言う悪夢はホラー小説だけで考えて頂ければ良いようです。 Dassen WRM,Dijk WA,Hooijschuur CAM,et al.The impact of the millennium computer problem on implantable pacemakers and defibrillators.PACE 1999;22:517-520. Furman S.Editorial Implantable Cardiac Devices and Y2K (Y2K-Year 2000) PACE 1999;22:405-406