1960−1970年代に小野和子さんが残した曲を集めました。
 役不足であまり参考にはなりませんが,akisyによる解説を付けました。
作詞・作曲者データは,JASRACの検索結果より記載しました。
 21世紀に入ってから,これら懐かしいナンバーを聴き直す機会を与えてくれた小野和子さんご本人と
貴重な音源とジャケット映像を提供頂いたA.S.様に
この場を通じて感謝の意を表します。
 本当にありがとうございました。


○「帰らない人/明日をもとめて(EP-1195)1969年」
       
  ジャケット画像はA.S.さんから提供していただきました
  

  ○帰らない人−作詞:荒木とよひさ,作・編曲:広瀬雅一
  ○明日をもとめて−作詞:かとうひろし,作曲:山下毅雄,編曲:青木望

  デビュー曲です。akisy 唯一の所有ディスク。
  両曲とも小野さんが作ったものではありません(詳細はプロフィールを参照ください)。
  ニュー・フォーク!ニュー・ボイスというキャッチ・コピーがついていますが,カレッジ・フォークという範疇に入る曲かと思います。
  歌詞カードには,春日紀衛さん(TBS教養部チーフ・ディレクター)と木村幸吉さん(TBSプロデューサー)による小野さんのプロフィールが紹介されています。
  まったく飾り気のない純朴な歌手,若さに似合わず歌にハートがあると,紹介されています。
  これを書くからワタシは人に嫌われるんですが,それでも書くと(笑),この曲は小野和子さんの良さをあまり伝えていないと思います。
  帰らない人の作詞をした荒木とよひささんは,わらべの”めだかの兄弟”や岩崎宏美さんの”月下美人”など多くの歌謡曲を手がけている大御所です。
  
広瀬雅一さんは,子門真人さんの”レッドマン”や堺正章さんの”涙から明日へ”などを手がけた作曲&編曲家です。
  ヤマタケこと山下毅雄さんは,知る人ぞ知る7000曲を作ったといわれるカルト作曲家。
  青木望さんは,ストリングス・アレンジを得意とする編曲家の重鎮で,”銀河鉄道999”の音楽などを手がけている方です。
  かとうひろしさんのことは分かりませでした。

 

○「しあわせのつづき/さよなら砂丘(1969年),東芝」
   

  
ジャケット画像はA.S.さんから提供していただきました

  ○さよなら砂丘−作詞:菊池正次,作曲:山下毅雄
  ○しあわせのつづき−作詞:北山修,作曲:加藤和彦

  
さよなら砂丘は,暗く悲しげな曲調。後述した山下毅雄氏のアンソロジーに収録されました。
   しあわせのつづきは正反対の明るい曲調。どことなくトアエモア風(笑)。正統的な(?)カレッジ・フォークかな。
  菊池正次さんは,山下毅雄さんと組んだ本田路津子さんの”空と話そう”の作詞をした方です。
  サムこと北山修さんは,もちろん”戦争知らない子供達”やリバイバルヒットした”あの素晴らしい愛をもう一度”など数々の作詞を手がけ,フォーククルセダーズのメンバーだった精神科医で九州大学の先生ですね(^_^;)。
  
  
○「みんな愛されるため/ふしぎな日(1969年),東芝」
  
  
ジャケット画像はA.S.さんから提供していただきました

 
 
○みんな愛されるため−作詞・作曲:不明(自作?)
  ○ふしぎな日−作詞:松山猛,作曲:加藤和彦

  みんな愛されるためは,小野さんの伸びやかなボーカルが聴かれる明るいナンバー。
  ヒッピー風のジャケット写真とはイメージが異なるような・・・

  ふしぎな日は,加藤和彦さんが作曲されており,ご本人も唄っていらっしゃる美しいナンバーです。大好きな曲。名曲&名唱!
  この曲のバックは,フォーク・ギター中心ではなく,ピアノとオーケストラによるものです。
  松山猛さんは加藤和彦さんとコンビを組むことが多かった作詞家&エッセイスト。あの”帰ってきたヨッパライ”の作詞者であります。
  蛇足ですが,加藤和彦さんは,言わずと知れたフォーククルセダーズやサディスティック・ミカバンドの中心人物。日本を代表する音楽家であります。

○「I Love You Superman/黒いカラス(1971年),フィリップス・バーディコ」
  
(黒いカラスは,「メッセージ・フロム・中津川)」にも収録)
  
  
ジャケット画像はA.S.さんから提供していただきました

  
○アイ・ラブ・ユー・スーパーマン−作詞:小野和子,作曲:大野克夫
  ○黒いカラス−作詞・作曲:不明(自作曲?)

  個人的な趣味を押しつけてしまうことになるかもしれませんが,この2曲は小野和子さんの初期の代表作であり,日本のフォーク/カントリーの名曲にあげられると思っています。
  30年ぶりに耳にして,そう思うのだから,あながち間違いではないでしょう。
  もはや聴くことがとても困難な状況ではありますが,再録音していただきたいと,リクエストをしちゃいます。
  I Love You Superman はカントリーですが,サビが1拍ずれて展開され,途中高音を駆使するとても難しいメロディーを持つ曲。
  小野さんはこれを伸びやかに,軽快に唄っています。
  バックはペダル・スティール・ギターが冴えるもの(大野さん?)。歌詞も素晴らしい!
  ワタシのフェヴァリット・ソングの一つです。
  作曲者の大野克夫さんは,スパイダースやPYGのメンバーで,ジュリーなど数多くのヒット曲を手がけ,”傷だらけの天使”や”太陽にほえろ!”等多くの名作ドラマの音楽を担当した作曲家・演奏家です。
  黒いカラスは色彩と心情を対比させたラブソングです。
  小坂忠さんのカラスも名曲ですが,この曲も負けていないと思います。
  シングル・ヴァージョンはオーケストレーションされたアレンジで,ちょっと演歌調に聞こえます。
  中津川フォーク・ジャンボリーでの演奏を収録したヴァージョンは,小野さん一人による弾き語り。
  歌声がとても力強く,ボーカリストとしての力量が十分に感じられます。
  飾り気のない演奏が素晴らしいと思いました。
  さて,このシングル盤のジャケットは,レコード会社が変わったせいか,これまでのものとだいぶ違いますね。
  ちょっと大人っぽくなった良い女!

○「足跡数えて/あかりをください(1971年),フィリップス・バーディコ」
  
  ジャケット画像はA.S.さんから提供していただきました

  
○足跡数えて−作詞・作曲:不明(自作曲?)
  ○あかりをください−作詞・作曲:小野和子

  
あかりをくださいは,鉄琴?が挿入される静かなバラード。小野さんの歌唱はとても素直で飾り気のないもの。
  この曲,誰か別の人が唄っていらっしゃった記憶があるんですが・・・(嘘かも)
  足跡数えては,6/8拍子の静かなフォークソング。
  この2曲の演奏は,アコースティックなフォーク・ロック調でした。


  
NEW!
  
オムニバス・アルバム”喫茶ロック〜アダムとイブも〜ユニヴァーサル・ミュージック篇”に,”あかりを下さい”が収録されました。
  2001年11月21日発売。
  お問い合わせは下記まで。
  kissa-r@zae.att.ne.jp


  (2002/11/20修正)


【コンピレーション・アルバム】

○早すぎた奇才−山下毅雄の全貌・未発掘編−(NIPPON CROWN, CRCP-20252,2000年)
 
7000曲を作った男と異名をとる山下毅雄さんの作品集,第5段。26曲入り。
 
「さよなら砂丘」が収録されています。
 当時の歌謡曲的な内容なんですが,アドリブっぽいジャズ・ギターが挿入されてきたり,ヘンといえばちょっとヘンかも。
 小野和子さんの歌唱は素直でまっすぐな感じ。キレイな声が聴かれます。

 (2001/2/5追記)


○フォーク・アンソロジー(フォーク・ビレッジ編)−(NIPPON CROWN)−未入手
 
「帰らない人」が集録されています。

 この曲を聴いて,当時の様子をちょっと思い出しました。
 日本のポップスは,GSブームを経て,自作自演を主体としたフォーク&ロックへ移行しつつある時期だったと思います。
 その中で,小野和子さんのポジションも揺れ動いた感じ。
 歌唱力があり,ルックスも良い小野さんは,プロの作者の作品を唄ってデビューを果たし,後に自作曲や当時フォーク・ムーブメントの真ん中にいた加藤和彦さんの楽曲も唄っているわけです。
 しかし,ラジオで見せたライブの演奏スタイルはフォークそのものでした。
 
(2001/2/5追記)

○加藤和彦の世界・ニューロックの夜明け 番外編6(東芝EMI, PCD-1472, 1999)
  加藤和彦さんのレアー・トラックを集めたアルバムで,小野和子さんの歌声を聴くことが出来ます。
  「
カフェ・ルモンドのメニュー/加藤和彦とそのグループ(作詞:松山猛,作曲:加藤和彦,編曲:加藤和彦とそのグループ)」
  「
チッチとサリー/チッチとサリー(作詞:秋野由美子,補作詞:みつはしちかこ,作曲:加藤和彦,編曲:加藤和彦とそのグループ)」
  「
カフェ・ルモンドのメニュー(LIVE)/加藤和彦とそのグループ」
  チッチとサリーは加藤さんと小野さんとのデュエット。カフェ・ルモンドのメニューは,コーラスで参加しています。同曲のライブは,”カレッジ・ポップス出初式”でのライブを収録したもの。
  チッチとサリーは,同タイトルのみつはしちかこさんのマンガのテーマソングみたいなものでした。
  長身の男性と小さな女の子のほのぼのしたマンガだったっけかな。
  いずれもフォーキーな作品ですが,オシャレですね。
  小野さんのボーカルは初々しい感じでした。
  
(2001/2/8追記)
  
○「虹と雪のバラード」(日本のフォーク・ソング大百科(下巻)に収録)
  
この曲は,札幌オリンピックのテーマ・ソングとして,トアエモアが大ヒットさせたもの。
  ぐあらん堂で,はじめて小野さんに聴かせて頂きました。
  トアエモアのカバーというわけではなく,同時期に録音され,小野さんも知らないうちにレコード化されたそうです。
  印税ももらっていないとか(笑)。
  豪華なオーケストラをバックにした素直な歌唱です。
  トアエモアのヴァージョンを仔細には覚えていないのですが,小野さんの方が唄じたいは見事だと思います。
  ハモリがないところで負けているかも(笑)。
  (2001/9/15追記)

○「黒い雨」(海と空と太陽の祭典に収録)
  フォーク・ジャンボリーの演奏かと思ったら,スタジオ録音です。
  タイトルから分かるように,原爆の悲劇を描いた曲です。
  ストレートな歌詞の内容。小野さんらしい真っ直ぐな歌唱でした。
  (2001/9/15追記)

○「帰らない人/カフェ・ルモンドのテーマ/今日の日はさようなら」(カレッジフォーク出初式(EP-7742)に収録)
 1970年発売のライブアルバムに上記3曲が収録されているそうです。カフェ・ルモンドのテーマは加藤和彦氏とのデュエット,今日の日はさようならは出演者全員で唄われた模様。
 ザリガニーズのサイトに情報があります→
http://www.therigannies.com/discography.html
  (2003/8/17追記)

 2007年にCDとして復刻しました(B000RY43P2)。
  
  (2008年4/26追記)

 


2008/4/26