ウズマキマズウ Live at Jirokichi



◇場所:高円寺ジロキチ
◇日時:2006年9月1日
◇出演

  うずまきまずう
   小川美潮(Vo,Bass on 04 & 09, shaker, 川柳 & 口ポンポン)・大川“ヘンダーソン”俊司(Bass, Ac-Gt & 口ポンポン)
   BANANA-UG(Key & Pf)・Ma*To(Synth & 口ポンポン)・Whacho(Perc, 笛 & 口ポンポン)・Mac清水(Perc, Co & 口ポンポン) & 青山純(Dr)


◇セットリスト
   第一部
  01:4 to 3
  02:檸檬の月 
  03:良心力学 
  04:弁天システム 
  05:7月 
  06:デンキ 
  07.はじめて
   第二部
  08:ハスクリア
  09:花の答え 
  10:エンソ 
  11:On the road  
  12:人と星の間 
  13:天国と地獄 
  14:窓 
  15:私は宝
   アンコール
  16:やっとだね
   ダブルアンコール
  17:おかしな午後

※コメント
 しばらくぶりに,青山純のドラムスを加えてのライブ。アンコールまであっという間に終わってしまった気がした。後で振り返ると17曲も演っていた。それだけ充実していて,時間が短く感じられたのだ。
 定刻より10分ほど遅れてスタート。平日にもかかわらず,ジロキチはテーブルを取り払って,満員の盛況。
 打楽器隊が3名もいるにもかかわらず,音のバランスがしっかり取れていて(聞く位置によるかもしれないけど)グッド。美潮さんのボーカルも明瞭に聞こえる。バンド全体に調和が取れていて,演奏と共にお互いの意識が共有されている印象があった。何度も聴いている曲でも新鮮に響く。
 このリポートを読んで頂いている人の中に,もしライブハウスで歌う美潮さんを見たことがない人がいたら,是非一度足を運んで欲しい。ホールやテレビでは得られないリラックスと緊張が溶け合った至福の瞬間を味わえることだろう。笑いあり,涙あり,ややこしいことあり(笑)。もちろん,レコード,CDになっていない新曲もスバラシイ。観客と一体になったグルーヴを楽しめるだろう。今,ウズマキマズウは結成以来最高潮だと思う。
 今回は個々の曲や演奏について,あれこれ,どーだった,あーだったと言うことはやめにしよう。

 
 ウズマキマズウが結成されて10年。美潮さんがEPICと事務所を辞めて約10年。当時ファン会報には,美潮さん直筆によるメッセージが掲載された。その真の理由が何だったのか,未だに分からないけど,何か新しい活動形態を模索していたのだろう。それは今も続いている。
 小さなライブハウスで美潮さんを見るようになったのが99年頃だから,約7年間,度々ライブに行くようになった。追っかけ状態と言われても仕方ない。アイドルでもないのに,こんなアーティストは他にいない。美潮さんのライブくらい見知った人が集まることも珍しいかもしれない。
 ライブを度々見るようになったのは,新作アルバムがなかなか出ないから,という理由があった。初期のライブを収録したMAKING MUSICのCD-Rは,先日カンパという形で発表されたが,個人的にはスタジオ録音盤が聞きたい。ライブなら映像が入ったDVDが良い。
 その思いがなかなか叶えられずに7年が経過してしまった。
 一度文ちゃんに,「いつも来ているね。ずっと来るの?」と訊かれて,「CDが出るまで」と答えたことがあった。その文ちゃんも以前ライブの最中に,「早くアルバム作ろうよ! 曲作っても(美潮さんが)みんなボツにしちゃうんだもん。いい加減諦めたら?」などと言っていたことがあったっけ。
 その美潮さんは「歌詞が出来ない。みんな同じ様になっちゃうの」と悩みを告げたこともあったっけ。

 文ちゃんがギターを弾いていた頃のライブでもスバラシイものがあったし,美潮さん自身が「やっとここまで来たよ」と納得の発言をする機会もあった。
 それでも結局アルバムは作られず,大規模な全国ツアーは行われなかった。胸の中にまだモヤモヤしたものが残っていたのかもしれない。
 美潮さんがやりたかったことは何だったんだろうか? 具体的には本人も掴んでいなかったのかもしれない。
 でも,今度こそ,何かを掴みつつあると思う。
 言葉では上手く言い表せないけど,誰か一人がバンドを引っ張って目立つのではなく,美潮さんに合わせるのではなく,美潮さんが合わせるのでもなく,誰かに言われることなく演奏者それぞれがそれぞれの個性を発揮して,それぞれのグルーヴを発して,それが一つになること。そしてその波動が,体験している人と共有出来ること。聴き手の発する波動が演奏に表れること。全体の中の個。個々が一体となったもの。誰に遠慮しなくても,お互いが尊重しあえる関係。
 その世界に相応しい曲と歌詞。歌と演奏が一体化した音楽。

 思えば,高山・清見村以来,たくさんの美潮ファンと会って,会話した。最初はみんな似たもの同士なのかな?と感じたが,世代も性別も仕事も環境も生き方も,それぞれまったく違う人達が集まっていることに気がついた。でもけっこう調和してるでしょ? 違う?
 ウズマキマズウの望むものもそんなものなのかな? 違う?

    ♪あなたが歌うとき,胸はまるくなって〜♪

 新しいアルバムが発表されても,きっとライブに通い続けるだろう。