勇者の資格

kyo



 
 
 

地上が堕天使によって混乱へと導かれる時、
天は地上へその御使いを送り出しました。
天使の役目は、地に住まう人間のなかから勇者を捜し、使命を与えることです。
 

天使は言いました。
「貴方は勇者に選ばれました。
木の棒と皮のよろい、金20ゴールドをあげますので、お姫様をさらったドラゴンを倒してきてくださいね」
ハートマーク付きのその台詞に、金の髪の勇者候補はぶんぶんと首を振りました。
「………騎士見習いの装備だって、それより10倍はまともだろう。
そんな装備でドラゴンに向かう脳天気な勇者がどこにいるって言うんだ」
天使はちょっと首を傾げて考え込みます。
「おかしいですね。
地上の世界ではこう言って勇者を勧誘することがお約束だったはずでは。
………少なくとも、ガブリエルさまからいただいた資料にはそうあるのですが」
後半はほとんど独り言に近く、勇者には良く聞こえませんでした。
でも、とりあえず間違っていると思ったことは指摘してみました。
「何かが違う」
『何か』どころでなく、『とんでもなく』違うはずでしたが、この勇者候補は小さな事にはあまりこだわらない性格でした───特に相手が女性の時には。
彼は、はっきり言って、女性と仲良くするのが大好きでした。
「まあ、暇だからつき合ってもいいが………そのかわり、君もつき合ってくれないか?」
彼は極上の笑みを浮かべます。
「そう、例えば、今夜、これから一緒にすごしてみるとか」
天使は冷たく勇者(候補)を見ると、しばき倒して、次の勇者を捜しに行きました。
再び勇者を捜し回った天使は、二人目の勇者候補(盗賊)を見つけだしました。
ちょうどお仕事中だった勇者候補(盗賊)は、初め少し不機嫌でしたが、どうにか天使の話を聞いてくれました。彼は盗賊なだけあって、『利益』という言葉に敏感でした。
天使はにっこり笑って言いました。
「儲かるとは限りませんが、不利益にはなりません。
天界に恩を売っておけば、貴方の死後はバラ色です」
「………やっぱ、止めるわ、俺………」
なぜだか勇者候補(盗賊)は天使からのお誘いを蹴ってしまいました。
天使は仕方なく次の勇者候補探しに向かいました。
三人目の勇者候補(騎士団長)は、ちょうど剣の稽古中でした。
勇者として天界の為に働いてくれ、というと、勇者候補(騎士団長h)はその眉を大きくつり上げました。
「それを正気で言っているのか?
そもそも騎士が仕える相手はただ一人………俺は今の王に剣を捧げている。
王が俺の剣を不要と判断されるか、俺が死ぬまでその誓約は俺を縛る………。
その俺に他のもののために剣を振るえとは………
王に対する翻意があるのかっ。それともやはり、貴様、魔物かっっ」
本気で振り回される剣から、天使はあわてて逃げ出しました。

「どうしてでしょう?」
泣きじゃくる天使に、
「………あんたたちも進歩してないわねえ………」
最後の勇者候補(踊り子)は深くため息をつきました。
グラスを片手に、何とはなしに天井を仰いでみたりします。
「………前回もこうやって泣き落とされて勇者やったのよね………確か………」
そういって元勇者の今勇者候補(踊り子)は、再びため息を尽きました。

そして、天使に泣き落とされて再び勇者(一応)に返り咲いた女性のおかげで、かろうじて世界は救われました。
めでたしめでたし………。
 
 

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