ビール

ビールの利き酒
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利き酒のポイント

■泡立ち・泡包持ち

 泡はきめ細かく、長く液面から消えないものが良い評価をされます。グラスに

注いだビールが泡立たなかったり、すぐ消えてしまう場合、その原因の多くはグ

ラスが油等で汚れていることによりますので、利き酒の際にはグラスを洗剤でよ

く洗い、流水でよくすすぎ、ほこりがかからないようにして自然乾焼したものを

使います。

■色・光沢

 透明で光沢があるものが良い評価をされます。黒ビールやスタウトのような濃

色ビールは判定が困難です。淡色ビールでは淡黄色で光沢があるものが良く、赤

味、赤褐色を帯びたものは酸化が進んでいます。光沢を失い濁っているビールの

多くは、限度を越えた低温(

3℃)で貯蔵したり、出荷後かなり時間を経過したも

のに見られるもので、ビール中の蛋白質等が凝固したものです。

■香味

ビールにはいろいろなタイプがあり、それぞれ良いとされる香味は異なります。

淡色ビールについていえば、香りは清涼感のある爽やかな芳香で、味は爽快なほ

ろ苦さと飲み飽きしない味であることが大切です。いずれにしても、いろいろな

香や味が混然一体となって調和している

ことが重要で、このことは他の酒類でも同じです。

■利き酒の手順

 普通のグラスでも良いのですが、上部がややすぼまったたて長のチューリップ

型のグラスを用いると香気の判定が容易になります。また前述のようにグラスの

洗浄については十分に気をつけましょう。利き酒時のビールの温度は

8℃ぐらい

に冷やします。冬は

12℃付近が適当です。数本のビールを利き酒する場合は、同一

条件で注ぐことができるデカンタを用います。グラスの

7分目がビール、3分目

が泡になるよう始めはゆるやかに、次第に勢いよく、きれいに泡ができたらその

泡を持ちあげるようにゆっくり注ぎます。 まず、泡立ちと泡のきめ細かさ、色の

具合、光沢、濁の有無を調らべ、泡持ちの良し悪しを判定します。次いでグラス

を鼻に近づけ香の良否を確かめてから口に含み、味の良否を判定します。さらに

飲んだ後の味についてもその良否を判定します。

 

■飲み方

 ビールの保存状態によって一概に賞味期限は決められませんが、新しければ新

しいほど外的条件に影響される度合は少なく、本来の香味と芳醇さ、スッキリし

た切れ味を楽しむことができます。

 ビールをおいしく飲むには、夏は

68℃、冬は1012℃に冷やします。なま

ぬるいビールはのどごしの爽快感がなく苦味が舌先に残りますし、逆に冷え過ぎ

たビールは味を分からなくし泡立ちも悪くなります。

 グラスに油気が付いていると注いだ時

に泡立たず、泡立ってもたちまち消えてしまい、ビールから炭酸ガスが逃げたり   

ビールと空気が直接触れて酸化したりしますので、グラスの洗浄には十分気を付  

ける必要があります。          

 ビールの上手な注ぎ方は泡をうまく作ることです。利き酒の項を参考にして下

さい。

 なお、ビールの注ぎ足しはタブーです。グラスにビールが残っているうえに注ぎ

足すと、炭酸ガスの抜けたビ−ルに新鮮なビールを足すことになり、味を落して

しまいます。

 

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■光

 ビールびんが褐色なのはできるだけ光を遮り、品質を守るためです。しかし褐

色びんでも光を完全に妨げるわけではありませんから、極力日光にさらさないよ

う注意する必要があります。日光にさらされるとビールは日光臭という日なたく

さいような嫌なにおいを発生します。

■空気

 製造工程では空気中の酸素が混入して、ビールが酸化されないよういろいろ工夫

がされています。例えば、びん詰工程では始めにビール瓶内の空気を炭酸ガスで

置換して、次にビールを入れて打栓する前に泡だたせて瞬間的に栓をすることで、

びんの中の空気を追い出す工夫をしています。しかし、それでも数ケ月経つとび

ん中に僅かに残った空気中の酸素でビールが酸化され、色が濃くなったり香味成

分が変化して品質劣下を引き起こします。また、蛋白質が酸素の作用でタンニンや

苦味物質と結合して濁りの原因ともなります。

 これらの変化は時間の経過とともに進みますから、先入先出等を行い商品を円

滑に回転させて極力新しい商品を消費者に提供することが大切です。

■温度

 ビールは涼しい所においてもゆっくりですが酸化します。高温になると酸化は

急速に進み、短期間に爽快な香味が失われます。保存温度が高いと褐変を生じ、

琥珀色の光沢のある液体の美しさを損い、濁りの発生も早めますし、味も苦さが強

調されたうま味のないものとなります。逆に冷やしすぎると寒冷混濁という現象

が生じます。低温での貯蔵管理は3℃が限度です。

 なお、ビールの品温がマイナス5℃程

度になると凍結することがあり、この場合、香味の調和がくずれ、それぞれの味

が分離して水っぽくなり品質は著しく低下します。

■振動

 ビールには炭酸ガスが過飽和の状態で溶け込んでいますから、振動を与えてか

ら開栓すると泡が激しく噴き出してしまいます。また振動によりびんの中の圧力

が急に上昇して破びんの引き金にもなりかねません。長時間の振動は濁りの現象

を進め、静かな状態で保存するよりもはるかに日持ちは悪くなります。

■破びん

 ビールビンの中の庁力は

20℃で2気圧程度ですが、45℃になると45気圧にも

上昇します。夏の強い直射日光にあたったビールは

45℃以上にも品温が上昇する

ことがありますから、日光に直接あてたり強い振動を与えないよう気を付けるこ

とが大切です。また、このように温まったビールを急激に冷やすことも危険です。

というのは

40℃近い温度差を瞬時に経過すると、びんが割れる心配があります。

そしてマイナス

5℃以下に保存しても容積増により炭酸ガスのもれや、びん割れ

の原因となるので注意する必要があります。

歴史

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 ビール醸造に関しては、紀元前

3000年の昔に書かれたと言われる古代バビロニ

アの文字による記録に残されており、それによると古代バビロニア人は麦芽を

乾燥して粉にしたものに水を加えてパンを作り、そのパンを砕いて水を加え自然

発酵をさせてビールを造っていたと記されています。当時ビールは女性の手に

よって造られており、単なる致酔性飲料として飲まれただけでなく、通貨の役割

も担っていました。ハムラビ王(在位BC17281688)が作った法典には

ビールの製造や販売に関する種々の取締法規や罰則が制定されています。

 ビール醸造法はエジプトに伝わり、更にバビロニア文化やエジプト文化ととも

に各地に伝播していきましたが、古代ギリシャ民族やローマ帝政時代のローマ人

はワインを愛飲してビールは蛮族の酒であると見下げていたこともあり、ドイツ、

イギリス、フランス等の辺境地域で醸造されていました。8世紀に入ってドイツ

で、それまで薬草等が使われていたのに代わり、ホップが使われるようになり、

その技術がヨーロッパ各地に広がっていきました。

 中世のビール造りは領主や僧院によって行われ、その名残りはミュンヘンの醸

造所等に見られます。その後、都市の発展にともないビール醸造は市民の手に

移っていき、ハソザ同盟の中心地であるハソブルグの富はビールによって蓄積さ

れたと言われるほど拡大していきました。また、醸造方法の差異によってドイツの

ミュンヘンやドルトムント、チェコスロバキアのピルゼン、イギリスのバートン

・オン・トレソト等の銘醸地が育っていきました。

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世紀前半までヨーロッパ諸国の大半のビールは上面発酵酵母を用いたエール

タイプのビールでしたが、ババリア地方で行われていた下面発酵酵母を用いた低

温発酵と長期貯蔵を特徴とした醸造法が冷凍機の発明と普及にともない世界各国

に広まり、下面発酵淡色ビールが世界のビールの主流を占めていき現在に到って

います。

 

■日本のビ−ルの歩み

 日本でのビールは明治

3年の夏、アメリカ人コープランドが横浜の山手に「ス

プリング・バレー・ブリュワリー」を創設し醸造したのが始まりで、エールタイ

プのビールでした。明治

5年には大阪で「渋谷ビール」のブランド名で渋谷庄三

郎が、同

7年には甲府で野口正章が日本

人としてビール醸造の先陣を切りましたが、蒸留酒を加えたビールで本格的な醸

造ビールとは程遠いものであったと言われています。明治

20年代になると淡色の

ドイツ風ビールの醸造が始まり、冷凍設備を設えた工場の出現、ドイツ人技術者

による指導等が相まって品質が向上し、日本においてもビールの主流となってい

きました。この間、数多くの中小ビール醸造場は消滅し、これらに代わって大資

本を背景とした現在のビール会社の母体となる会社が相次いで設立されました。

 なお、ビールの副原料に米等が使われ始めたのは日清戦争後までさかのぼり、

当時の日本人の嗜好に合うよう工夫された製法です。

 現在、キリンビール梶Aサッポロビール梶Aアサヒビール梶Aサントリー梶A

北毎道アサヒビール梶Aオリオンビール鰍フ

6社により製造されています。

 

原料

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■大麦

 ビール用大麦には

2条種と6条種とがありますが、我が国では2条種を使用し

ています。その理由として、@穀粒が大きく、形状が均一、A穀皮が薄く、ポリ

フェノールが少ない、B蛋白質が少なく、澱粉含量が多い、C麦芽にする際、発芽

力が均一で旺盛であり、麦芽の「溶け」もよい、E発酵の際、糖分がアルコール

に変わりやすい、等があげられます。

 

2条種は九州、関東地方を中心に日本全国で栽培されていますが、国内産量が

少ないことと製麦設備が少ないため、大部分は麦芽の形でカナダ、ドイツ、チェ

コスロバキア、オーストラリア等の国から輸入しています。

■ホップ

 ビールの特徴的な香味を担っているのがホップです。ホップは桑科に属する多

年生のつるのある植物で、雌雄異株です。ビールの原料には雌花につく毯花を使う

ので栽培農家は雌株だけを植えます。毯花は

8月の中旬頃に収穫され、直ちに乾

操・圧縮を経て低温で貯蔵されます。ホップの品質や収量は気象条件に影響さ

れやすいので栽培地域は比較的限られています。我が国では北海道、東北地方等

気候が冷涼な地域で栽培されていますが、量的に足りないのでドイツ、チェコスロ

バキア等から輸入しています。

 ホップが果たしている役割としては、

@独得な芳香と爽快な苦味を与える、A過剰な蛋白質を沈でん、分離させ、ビー

ルを清澄にする、Bビールの泡立ちをよくする、等があります。こうした作用は

毯花の内部に付着していルプリンに含まれているホップ樹脂(主に苦味質)、

ホップ油等によるものです。

■醸造用水

 醸造用水はビールの品質に大きな影響を与えるので、適切な水質の水が大量に

得られるかどうかが工場立地の最も重要な条件となっています。水質としては無

色透明、無味無臭であり、生物的に汚染されていないことが要求されています。

 一般に淡色ビールには軟水が適し、濃色ビールには硬水が適しているといわれ

ており、硬水とはカルシウムやマグネシウムを比較的多く含む水をいい、それら

が少ない水を軟水といいます。我が国の水は大部分が軟水です。

 

■副原料(米、とうもろこし、激粉)

 ビールの副原料として、米、とうもろこし(コーン)、澱粉(スターチ)が使用

されていますが、その目的はコスト面からの代替品としてではなく、麦汁中の窒

素分、色及び風味を調整してバランスを良くするために使用されています。副原

料はドイツを除いた諸外国で広く使われています。

 

製造法                                            TOPへ戻る

■製麦工程

 この工程は大麦を麦芽にする工程で、この過程で多量の酵素が生成され、大麦

の内容物が分解され溶けやすくなります。 

2条大麦を精選工程を経て浸漬槽に入

れます。浸漬期間は約

3日ですが、この間に、@大麦の洗浄、A穀皮中のタンニ

ン等の味を悪くする成分の溶出、B発芽に必要な水分の供給、等が行われます。

浸漬した大麦を発芽装置に入れ、冷風を送って温度と湿度を調整しながら、約7

日間で発芽させます。大麦の葉芽は穀の内側にそって伸長し、その長さは麦粒の

%からgの長さになり、根は麦粒程度の長さになります。この状態のものを緑麦

芽(グリーンモルト)といい、麦粒は指先でつぶれるほど軟くなっています。緑

麦芽は水分が多く貯蔵に適さないため乾操室(キルン)で乾燥させますが、同時

にビールの香味成分や着色成分となる香ばしい香りと色がつきます(浪色ビール

に使う麦芽は、さらに焙焦機で裾色となるまで熱を加えます)。

 

■醸造工程

 我が国の淡色ビール製造法の

1例について説明します。

 仕込 粉粋した麦芽を湯とともに糖化槽に入れ、

4555℃に保って蛋白質の分

解を行います。次に煮沸釜であらかじめ煮ておいた米、または澱粉を加えて温度

6070℃に上げて糖化を進めます。このもろみ(マッシュ)の一部を糖化槽と

糖化釜との間で移し変えながら

7580℃まで上げて糖化を終了します。このよう

にマッシュの昇温を糖化釜で煮沸したマッシュによって行い、温度をキメ細く

変えて糖化する方法をデコクション法といい、ほぼ一定の温度(絢

65℃)で糖化

する方法をインフエージョソ法と呼んでいます。

 

麦汁煮沸 マッ.シュを濾過して清澄な麦汁とし、ホップとともに煮沸釜に入れ

て充分に煮沸し、ホップの成分を抽出してビール特有の香味と苦味を付与します。

煮沸後の麦汁はホップ粕が除かれ 沈殿槽でエキス絢

11%の麦汁に調整されます。

 麦汁の冷却

 沈殿槽で熱凝固物を除いた後、麦汁冷却機で56℃に冷却して、

さらに濾過を行ってから発酵槽に移します。

 主発酵 

麦汁に無菌空気を送り酵母の増殖に必要な酸素を供給した後、酵母を

添加して

510℃で710日間発酵させ、最終的に発酵液のエキス分は4%程度と

なります。この工程を主発酵と呼び、発酵液中の糖分はアルコールと炭酸ガスに

なり、若ビールができあがります。発酵の終了とともに沈降した酵母は無菌冷水

で洗浄され、添加酵母として反復使用されます。

 

後発酵 若ビールは貯酒タンクに移され、適当に加圧された状態で、0〜マイ

ナス

1℃の品温下で約2ケ月間貯蔵されます。この期間にゆるやかな発酵が進み、

炭酸ガスが溶け込むとともに、熟成して調和のとれた香りと味をもったビールと

なります。

 

濾過・製品化 熟成したビールはビール清澄機で酵母等を除いた後、ビール冷

却機で冷却してビール濾過機で濾過します。こうしてできたのが生ビールです。

以後、加熱殺菌するもの、加熱殺菌しないもの、びん詰、カン詰、樽詰等製品に

応じて、それぞれの製品工程を経て製品化されます。

 

分類                                              TOPへ戻る

 ビールは使用する酵母の種類、発酵法、色、産地等によって数多くの種類に分類

されます。酵母の発酵型式と色と産地によって分類すると次のようになります。

上面発酵ビールと下面発酵ビールの違いは酵母の性質によるもので、下面発酵で

は発酵の終りに酵母は凝集して沈降し、比較的低湿で発酵が行われますが、上面

発酵では発酵中に酵母は液面に浮き上がり、比較的高温で発酵が行われます。

 現在世界各国で生産されているビールの大半は下面発酵ビールであり、特に

チェコスロバキアのピルゼン地方を中心に発達したポップのきいたのどごしのよ

い淡色下面発酵のピルスナータイプが主力となっています。

 

ビールみたいだけど、発泡酒って何?

キリンの淡麗 、サッポロのブロイ、 サントリーのホップス、他にも輸入の発泡酒と昨今いろいろと店頭にならんでいますが、一般にはビールとして、飲んでいると思います。 つまり、日本の酒税法上のもんだいで、ビールといったり、発泡酒と呼んだりするということです。 ドイツでは、麦芽100%でなければ、ビールといえないし、アメリカでは、日本酒は純米酒でなければなりません。 発泡酒の味に関しては賞味して頂きたいです。発泡酒の税額がビールの税額の半額であることに起因して生まれた製品ですね。
発泡酒とは 麦芽を原料の一部とした酒類で、発泡性を有する雑酒(清酒、合成酒、焼酎、みりん、ビール、果実酒類、ウィスキー類、スピリッツ類及びリキュール類以外の酒類)をいう。

ビールは、麦芽、ホップ、水を原料として醗酵させた醸造酒であり、原料にはこの他、米、とうもろこし、澱粉なども一定の範囲内で使用される。

これら、水以外の原料に占める麦芽の割合が66.7%未満の場合または、定められた副原料以外のものを原料と使用した場合に「ビール」ではなく「発泡酒」となります。

 

原料の配分比率による酒税法上の区分と税金

麦芽比率 副原料 その他の原料 カテゴリー 酒税額(円) 350ml缶(円)の酒税額 商品名
66.7%以上 どちらでも可 不可 ビール 222.000 77.7 ビール
  どちらでも可 必須 発泡酒1 222.000 77.7  
50以上〜66.7%未満 副原料とその他の原料の区別はない 発泡酒1 222.000 77.7  
25以上〜50%未満 発泡酒2 152.700 43.445 サントリー麦の薫り
25%未満 発泡酒3 105.000 36.75 淡麗 、ブロイ、 ホップス
副原料:米・その他政令で定められる物品(米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょう、澱粉、糖類)
その他の原料:機能性素材、果実等、ビールの原料として認められないもの(例えばキリン淡麗の副原料とて使用した大麦)

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ラベルの”麒麟”と”キ・リ・ン”の秘密知っていますか?

キリンラガービールのラベルは明治21年の誕生日から”麒麟”をシンボルにしていました。”麒麟”は古代中国の想像上の霊獣で、この動物が現れるのは聖人が世に出る前兆だといわれ、慶事と幸福のシンボルです。

ところでラベルの”麒麟”のたてがみの図柄をよく見ると見つかるのがキ・り・ンの小さな3文字。いつかは、この隠し文字が入れられたのか、明確ではありませんが、大正時代のラベルの一部に、あったことは確認されています。

当時のデザイナーが遊び心でデザインしたという説と、偽造防止説がありますが、明確な理由はナゾであるところが、”麒麟”のラベルをより神秘的にしています。

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