前夜の雨がうそのような快晴の4月1日(土)、ハイキング「たんけん辰巳用水」が開催されました。
昨年秋に出版された絵本『たんけん辰巳用水』の読者から寄せられた、「ぜひこの絵本と同じハイキングをしてみたい」という声にこたえて企画されたものです。主催は、石川県子ども劇場文化部、石川文庫連絡会、金沢の水と緑を守る会。10時に錦町バス停に集合。大人・子ども合わせて100名以上が参加する盛況ぶりでした。辰巳用水遊歩道からスタート。東岩取水口まで辰巳用水をさかのぼってたどります。
昔このあたりには、煙硝倉庫と、辰巳用水の水車を動力にした火薬工場があった。
石川県は、辰巳用水のうち辰巳ダムで水没する区間は120年ほど前に延長されたもので比較的新しく、あまり価値がないかのように言うが、とんでもないまちがい。幕末の加賀藩生き残りをかけた火薬製造にとって、辰巳用水の動力確保は死活問題だった。河床の低下で水量が確保できない状態を改善するために、辰巳用水は延長され、現在の東岩取水口がつくられた。歴史上の重みにおいて、東岩隧道の延長は、金沢城の防火用水と堀の水を確保するために辰巳用水がつくられたことと同等の意味がある。
兼六園の曲水の水はすべて辰巳用水から引かれている。もともとは、現在の石引通り沿いの開渠から兼六園に流れ込んでいたが、町中の開渠ではゴミが入り込んだりするので、現在は上流の末町で分水して、専用暗渠で兼六園へ水を引いている。
右手の芝生は、末町浄水場の敷地。
辰巳用水は、途中一部ほんの短い開渠部を含みながら、取水口から4キロ近い隧道(水トンネル)になっている。
辰巳ダム建設予定地にある通称「夫婦滝」。ふたつの滝が途中でひとつになることからこのように呼ばれる。
少し分かりにくいが、写真左下の残雪の下に見える、鉄パイプでつくった囲いのあるところ。小さな土地だが、辰巳ダム本体予定地のすぐ下流側になり、ダンプやブルドーザーがこの土地を通れなければ、工事はできない。
上流側からみた辰巳ダム建設予定地。
写真のなかほど、白く波立っている線は、辰巳用水の取水用の堰。
V字谷のため、周辺からは隔絶した独特の環境になっている。雪国にあって暖地性シダ類のイブキシダ、コモチシダのまとまった群落が見られ、その繁殖の世界最北限になっている。
錦町の辰巳用水遊歩道入り口から10キロ近くを歩いて東岩取水口にたどりつく。雪解け水で水量が多く、涼しい風が汗ばんだ体に心地よい。
水をいちばん取り入れやすい場所を考えて、犀川が直角に曲がるつきあたりに、東岩取水口はつくられている。