昨年度の問題点を解明しないまま今年度の再評価がスタート

(1999年10月28日掲載)


 平成11年度第2回石川県公共事業評価監視委員会が、10月27日、石川厚生年金会館で開催されました。
 前回の第1回監視委員会は、前年度から継続審議になっていた辰巳ダム再評価だけが審議対象であったため、今回から今年度の公共事業再評価の審議が始まることになります。

 今年度の再評価対象事業は、土木部関係6事業、農林水産部関係4事業、市町村から依頼のあった11事業の計21件です。

 市民グループは「監視委員会の運営、辰巳ダム再評価に関する公開質問状」を川島良治委員長に提出しましたが、回答期限の25日をすぎても、委員長からの回答は届いていません。
 公開質問状の内容は、「公共事業の透明性確保」を建前とする監視委員会が密室審議を行った問題や、秘密文書を用意しての県による市民グループにたいするだまし討ちに監視委員・事務局が関与していた問題、審議に先立って委員長が継続を認める結論の文案を用意していた疑惑など、監視委員会の存在意義や委員長の責任にかかわる根本的な重大問題ばかりです。これらの問題について解明しないまま新たな案件の再評価に着手することは、本来、できないはずです。

 今回の監視委員会では、公開質問状が提出されたこと、期限までに回答しなかったことがどのように報告されるか、それにたいして各委員からどのような意見が出されるかが注目されましたが、「市民団体から委員会に対して公開質問状が出されたことについては触れられなかった」(「北國」10月28日付)ということです。

 川島委員長は、期限までに回答しなかったばかりでなく、公開質問状の提出など事実関係を監視委員会に報告するという最低限の責務さえ放棄したのです。

 公開質問状は、事務局をとおして川島委員長に提出するとともに、全監視委員に郵送してあります。委員は、公開質問状が提出されたこと、回答期限が25日であったことを知っているのですから、川島委員長から報告がなければ、質問状の取り扱いについて質問や意見を出すべきであるはずですが、誰からもそのような発言はありませんでした。監視委員会全体として、市民が提出した公開質問状を黙殺したかたちです。

 委員会終了後、報道陣にかこまれた川島委員長は、公開質問状について「ほかの委員とも相談し対応を決めたい」と述べましたが(「北陸中日」10月28日付)、委員全員があつまっている監視委員会の公式の場では一言もふれずにおいて、いったいどこでどのように相談するつもりなのでしょうか?
 報道関係者、傍聴者がいる公開の委員会では一言もふれずに、どこか非公開の場、非公式の場で相談し対応を決めるとすれば、監視委員会はいよいよ「透明性の確保」とは無縁な存在になってしまいます。

 公開質問状を提出した6団体は、26日に開いた記者会見において、「期限をすぎた段階でももし川島委員長から回答があれば、届いた時期、回答の内容を検討して、対応を決める」ことを明らかにしています。
 川島委員長はじめ監視委員会が、公開質問状にたいしてどのような対応をするのか、注目されます。


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