9月29日に開かれた石川県議会で、北野進議員(スクラム喜望)が、辰巳ダムについて質問されました。
北野氏は、事業継続を認めた県公共事業評価監視委員会の最終結論とりまとめが非公開で行われたことを取り上げました。
これに対して、中島浩県土木部長は、「委員会の運営は、委員の判断によるもの。一部非公開審議が含まれることに何ら問題はない」と答弁しました。(「北陸中日」9月30日付)実際は、「一部非公開」どころではありません。
8月17日に開かれた監視委員会では、1時間の公開審議ののち、「意見とりまとめ」と称して3時間近くにわたって密室審議が行われたのです。こういうものは、世間では、「一部公開」といわれます。ところで、中島土木部長のこの発言は、まさに「語るに落ちる」です。
監視委では、「審議は公開」「意見とりまとめは非公開」とされましたが、中島部長は「一部非公開審議」と答弁してしまいました。監視委が「意見とりまとめ」の名目で実は実質的な審議をしていたということ、つまり密室審議を行ったことを、議会の場で公式に表明してしまったのです。
北野議員が辰巳ダム建設計画の再検討を求めたのに対して、中島土木部長は再検討の考えがないことをしめすとともに、「広く県民に同ダムの必要性を理解してもらうための説明会を開催する考え」(「北國」9月30日付)を明らかにしました。
監視委の「事業全般について、県民の理解を得るよう最大限の努力をすること」という付帯意見にこたえる姿勢をしめしたつもりかもしれません。
しかし、「公共事業の透明性を高める」という建前の委員会が密室審議を行うことを当然視する立場を、土木部長は議会で正式に表明しているのです。
密室審議を当然視する人たちが開催する「説明会」なるものに、反対派市民が出席できるでしょうか?
説明会で県民から出された批判や疑問が、密室で県の都合のよいように扱われて、「大方の理解を得た」と、監視委の付帯意見をクリアするのに利用されるだけになるのではないかという疑念を市民がもったとしても、仕方のないことでしょう。
実際、「第三者機関」であるはずの監視委員会でさえ、7回・30数時間におよぶ意見交換会の内容を密室で取り扱い、事業継続の結論を出したのです。県の公共事業再評価を監視し公共事業の透明性を確保すると鳴り物入りで登場した「第三者機関」でさえこうなのですから、辰巳ダムの推進を掲げる県がやることとなれば、市民がいっそうの疑念をもつのは当然でしょう。
中島浩土木部長が密室審議を当然視する姿勢を議会でしめしたために、今後、辰巳ダム計画への「県民の理解を得る」ことは、いっそう難しくなってしまったようです。