県側の「回答」 (1998年9月19日)

 8月31日付で辰巳の会に郵送されてきた(配達は9月1日)県側の「回答」を紹介します。

 この回答には、以下のような問題点があります。
 とくに(4)は重大な問題で、今後、辰巳の会としても重視してとりあげていきたいと考えています。

(1)県知事あてに申し入れを行い、知事の見解をもとめたにもかかわらず、河川開発課長名で「回答」が届いた。
 いままでも辰巳の会は県知事あてに公開質問状や申し入れ書などを何回も提出し回答・見解をもとめてきましたが、すべて知事名で回答がとどいています。

(2)辰巳ダム計画の再評価を行うと議会で明言しながら、再評価を行う前であるにもかかわらず、「辰巳ダムは必要不可欠」「引き続き事業を進めて行きたい」としている。

(3)再評価にあたっての情報公開を求めているのに、それにはまったくこたえていない。

(4)辰巳用水の史跡指定は河川開発課の管轄外のはずなのに、「検討していく」としている。
 これはまったく無責任であると同時に、「語るに落ちる」結果になっています。
 文化財保護審議会で「辰巳用水は本来なら文化財指定されるべきものだが、ダム計画があるので指定するわけにはいかない」という発言が会長からあったことが、参加者から明らかにされています。ダム計画の圧力で文化財指定されなかったわけです。
 今回の「回答」で、“(文化財指定を行う権限と義務をもっている)文化財保護審議会の「意見を踏まえ」、河川開発課が辰巳用水の文化財指定を検討する”ことを、公式文書で明らかにしたことになります。県が文化財としての価値の有無の審査よりもダム計画を優先していることが、明らかにされたわけです。

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河開第82号

平成10年8月31日

辰巳の会
会長代行 中井安治殿

石川県土木部河川開発課長 米田昭夫 (公印)

 平成10年7月24日の辰巳ダム建設計画に関する申し入れについて、次のとおりお答えします。

1 犀川沿川の住民の生命と財産を洪水から守るとともに、毎年のように犀川大橋下流の河川水が枯渇している現状を改善するため、辰巳ダムの建設は必要不可欠であり、引き続き事業を進めて行きたいと考えています。

2 公共事業の再評価の実施方法及ぴ設置する機関の組織等については、現在検討中です。
 なお、情報の公開については、昭和62年12月25日から犀川総合開発事業辰巳ダム建設環境影響評価書を、平成7年2月23日から犀川水系辰巳ダム治水計画説明書を辰巳ダム建設事務所において閲覧に供し、公開しているところです。

3 辰巳用水の史跡指定等については、石川県文化財保護審議会の意見を踏まえ、検討していきます。